- 感謝の心を育むには - http://web.kansya.jp.net/blog -

【知能進化を紐解く】個を超えて集団の中で磨かれる適応力(活力ホルモン:テストステロンの作用から見る)

人類の知能進化は、体と心と頭が一体となって外部環境に適応していくことで発達してきました。そして幼少期に感覚統合を鍛えながら知能進化の土台が形成されるだけでなく、思春期を過ぎ成人後も年齢相応の社会期待や集団での役割に向き合うことで、進化し続けていることを紹介してきました。身心の変化が知能進化を生み出す [1]

人類がこの様に幾つになっても成長していくことが可能な背景には、観念動物である脳の進化に加え、その駆動を下支えする活力ホルモン(テストステロン)の動きも重要な関係を持っていることも分かってきました。

今回は、人が成長=適応していく上で重要な役割を担っている駆動物質であるホルモンの働きと、集団性や社会性との関係をもう少し深く見ていきたいと思います。

そもそも、このテストステロンと適応力とはどのような関係なのでしょうか?(特に男性)

哺乳類:繁殖期を迎えメスが発情期に入ると、オス同士は性闘争(繁殖機会をめぐる勝ち抜き戦)に入りますが、この時オスの体内ではテストステロンの分泌が増加しています。そしてテストステロンが多い=強いものが繁殖機会を得て主として強い遺伝子を残していくことを繰り返しています。(個体の肉体の強さ=本能次元の強さに帰結している

霊長類:動物園などでも見る猿山。猿の群れにはボスがいますが、ある実験ではボスとなる個体が群れの中で最もテストステロン値が高いことが分かっています。ここで面白いのは必ずしも肉体レベルの強さだけではなく群れの統率力なども必要とされていることです。従ってテストステロンは本能レベルだけではなく共認機能上での強さにも影響を及ぼしている点はが特徴(猿は本能を超えて心=共認機能を獲得した哺乳類)
因みに人類に最も近いと言われるオランウータンのオスの顔に出るフランジ。これはテストステロンが影響していて、年齢ではなく社会的な優劣関係に左右されて発達するということが分かっています。日本オランウータンリサーチセンター [2]

人類:人類で着目する点は、前者の進化過程(体=本能、心=共認)に加えて、知能=観念機能を獲得している点です。従ってテストステロンも肉体の強さ、心の部分での社会的優劣関係、に加え頭で考える=追求力にまで帰結するのではないかという点。
更に高度な集団性を獲得することで適応する戦略をとっているため、適応力は個体の特性ではなく、集団に帰結するという点。

あくまでも仮説になりますが、
人間においての適応力とは、個体の優劣を超えて集団で適応し、身心のレベルを超えて知能進化へと収束していると言えるのではないでしょうか。加えて、個体の特性強化よりも集団内の成員が一体となって適応していく為の環境づくり(課題や役割、評価や規範)こそが、重要な課題になっているのではないか?

今回はテストステロン=活力ホルモンの視点から見ていきましたが、人類においては個体を超えて集団で活力を創り出していくことこそが最大の適応力。従ってその環境づくり次第で、個体のホルモン分泌も影響を受けるということなのでしょう。
つまり年齢を超えて社会性によるところが大きい(昨今は男性の更年期等の社会問題などが注目されていますが集団で適応するという視点は重要なポイントかも知れませんね)

次回は、女性の性特性ホルモン=エストロゲンについて見ていきたいと思います。

[3] [4] [5]