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【肌感覚に学ぶシリーズ】 ~触覚・固有受容覚・前庭覚は、遊びの中で獲得していくもの

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視覚や聴覚以前にある基礎的な感覚である「触覚・固有受容覚・前庭覚」に、感覚機能の基礎があることがわかってきました。

「固有受容覚」って何?人類の同期行動に繋がる感覚の話。 [2]

「前庭覚」って何?~私たちの体が健全に作動する上で大切な、もう一つの感覚機能~ [3]

これらの感覚を成長過程において、子供たちはどのように統合していくのでしょうか。

1、乳幼児期が最もバランス感覚に優れている?

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子供がヨチヨチ歩きをしている姿を見ると、危なっかしいと感じますが、一方で、「なんとすごいバランスで立っているんだ!」とも驚かされます。

考えてみれば、大人にとっての頭の大きさ・重量と、乳幼児にとってのそれは、まるで違います。

大人が6~7頭身に対し、2歳で4頭身・3歳で5頭身程度です。
(大人で考えると、子供の頭身バランスは、頭の大きな着ぐるみをつけているようなもの)
その状態で、立って、歩いて、走りだしているのです。

身体の核でバランスを取りながら、手足を動かし、首や頭の位置を調整する。すべてを動かしながら、変化をキャッチし、力加減等を微調整していく。更には、身体が大きくなっていくスピードも大人の数十倍速いので、それに対しての適応もしながら、フィードバックしているのでしょう。

まさに、触覚・固有受容覚・前庭覚をフル稼働させ、その機能を最も統合・成長させている過程だと考えられます。

 

2、子供たちは自然の中で感覚を統合している

山の地面はデコボコ感や固かったり柔らかかったり色んな表情があります。木や根っこも太陽を取り合うように生えていてその力強さには驚きます。

あの蔦は掴める!と思って掴んでみると実は中身が空っぽでそのまま転んでしまったり、この地面は走れると思って踏み込んだらぬかるんでいて足を持っていかれたりと踏んだり蹴ったりばかりですがその感覚が楽しくて次は上手くやってやろう!と不思議とやる気が出てくるのです。

子供は遊びを通して生きる土台となる感覚を磨いている!~「固有受容覚」と「前庭覚」とは~ [5]より引用)

子供の頃の遊びには、感覚統合に必要な要素がたくさんつまっています。地面の固さや、傾斜を足の裏から感じたり、ジャンプするときの力加減を調整したり、まさにあそびは、触覚・固有受容覚・前庭覚をフル稼働させ、その機能を最も統合・成長させている過程そのものです。

ヨチヨチ歩きをしていたかと思うと、すぐに子供たちは「走り回る」ようになります。走る行為は、歩くよりも更に高度な感覚機能が必要になります。スピードが出ることによって、すべてのフィードバックをより俊敏に行う必要もあるし、踏み出すために、より強い力も必要で相互の筋肉の使い方やバランス力も複雑化します。

さらに、「靴×アスファルト」よりも、「裸足×土」の方が、感覚機能が鍛えられることは間違いありません。ビルやアスファルト、車の多い現代の生活では、外で思いっきり体を動かす機会はどんどん少なくなっていますが、農業体験や、外あそびを通して、人類が発達させてきた感覚機能を発揮させていきたいですね。

これらの基礎的な感覚機能を発達させるには、農業体験のコラムでも書いたような、仲間と夢中になることが大きく関係しているのではないでしょうか。

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