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【肌感覚に学ぶ】「前庭覚」って何?~私たちの体が健全に作動する上で大切な、もう一つの感覚機能~

私達が生きていく上で重要であり、常にフル稼働させている「触覚」。
それに加えて「固有需要覚」と「前庭覚」と言われる二つの感覚機能が、私達が仲間と同期行動を行い、様々な危機を乗り越えてきた土台になっています。

前回は、「固有受容覚」について紹介しました。リンク [1]
今回はもう一つの大切な感覚=「前庭覚」についてみていきます。

1人ひとりの「感覚の特性」を考えよう!よく聞く感覚統合ってなに?【LITALICO発達ナビ】 (h-navi.jp) [2]の記事を参考にさせて頂きます。

■前庭覚とは?

前庭覚は自分の身体の傾きやスピード、回転を感じる感覚です。
受容器は耳の奥にある耳石器と三半規管です。
前庭覚には主に以下の5つのはたらきがあります。

①覚醒を調節するはたらき
前庭覚は覚醒(脳の目覚め具合)と大きく関連しています。
例えば授業中に眠くなったとき、頭を振って目を覚まそうとした経験はありませんか?
これは脳がぼんやりしているときに、前庭覚を取り入れることでシャキッと脳が目覚めてエンジンがかかりやすくなるからです。

②重力に抗して姿勢を保つはたらき(抗重力姿勢)
私たちが地球上で生きていくためには身体が重力に負けていては生活できません。
何か活動をするときには重力に抗して身体を持ち上げて姿勢を保つ必要があります。
この重力を感じるのは前庭覚のはたらきです。

③バランスをとるはたらき
バランスをとるときに自分の身体が傾いているかどうかを素早く感じるのは主に前庭覚のはたらきです。

④眼球運動をサポートするはたらき
くるくる回転したら目が回りますよね。
これは回転という前庭覚が眼球を動かす筋肉と連動し、目が回るという仕組みで起こります。
このように前庭覚と眼球を動かす筋肉には関連があります。

⑤ボディイメージ(身体の機能を把握する)の発達を促すはたらき
前庭覚は、固有受容覚とともに自分の身体の機能を把握するために必要な感覚の一つです。
身体の機能が把握できることで、この距離なら跳べるかな?この高さなら飛び降りれるかな?などを把握し適切に環境への挑戦を行うことができます。

「固有受容覚」の紹介リンクでも「前庭覚」の話が出てくるように、この二つの感覚機能によって私たちの身体が健全に作動します。

例えば「姿勢をまっすぐ保って座る」という動作ひとつとっても、バランスの感覚(前庭覚)と、重力の働きにあらがう力(固有受容覚)がともに発達していくことで、できるようになっていくそうです。私たちが毎日無意識に行っている動作や行為は、これらの感覚が下支えとなっています。

それらの身体感覚が作られていく過程は、赤ちゃんをイメージすると分かりやすいと思います。
たとえば、座りながら、母親が手をたたいてあやす様子を真似して手をたたくとき、結構赤ちゃんって不安定で、今にも転げそうになってますよね。でもしばらくすると、不安定な状態を察知して体を調整して徐々に安定してくる。

肌を通じて感じた大量の情報(外識=触覚)と、
私達の体が置かれている状況(傾いている、スピードが出ている、回転している)を察知し(=前庭覚)、
筋肉と関節を通じて対象との関係を掴む(=固有受容覚)ことによって、
私たちは外圧に反応し判断や行動をしています

その機能が育まれる基盤は、赤ちゃんであればお母さんと同じ動作を真似する本能発の「同期行動」にあり、
そこから、発達途中の筋肉や関節、バランス感覚を育んできたのではないかと考えています

それを解明するためにも、触覚・固有受容覚・前庭覚の3つが、お互いにどのように働いているのか?その関係を掘り下げていきたいと思います!

(参考リンク)
前庭覚?固有覚? 子どもの発達の理解に欠かせない感覚統合の話|イッチー/かろやかにダサい日記|note [3]
自分の身体を知るための感覚。「固有受容覚」ってなあに? (liino-kids.com) [4]

[5] [6] [7]