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仕事の中で活力溢れる子供たちの姿を見て、大人たちは何を感じたか?

前回までの記事で、仕事の中で子供たちが活力を再生していった事例の紹介をしてきました。
その中でおもしろいなぁと思った点が、その場に関わった大人達の気づき。
子育て課題は、大人たちの普段の仕事や活動と切り離された別物ではなく、一体のものなのではないか?
これは「子育て=集団の担い手育成」課題の大きなヒントになるのではと感じました。

そこで、今回は大人たちの気づきからも子育ての在り方を考えてみたいと思います――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●本気で仕事に取組むことで、親との向き合い方も変わった!
「だるい」「しんどい」「めんどくさい」などの発言が多く、何か言ったら「も~うっざい!」と怒っていた息子が、類学舎の体験に参加したら、「類学舎の仕事の時間を通して、お母さんが日々こんな大変な想いをしているんやなって分かった。強くあたってごめんな。いつもありがとう」と言ってくれて感動した。

●常に相手発の類学舎生の働き方こそ、「傍を楽にする=働く」こと!
初等部生たちと仕事をしていた時のこと。仲間がミスを起こしてしまったとき、責めるのではなく「もっと自分達にもできることがあったのでは?仲間がこの仕事にワクワクして取り組めるように、事前にやる気を上げるような声をかければ変わったかも!」と追求し続けていた。ここまで周りのことを考えて仕事に取り組んでいる大人はいるだろうか。この時点で大人は負けている。

●“仲間と一体になって闘う”の本質を高等部生から学んだ
専門用語が飛び交う建築設計の追求会議に参加した高等部生。「正直怖かった。外圧を捉えて闘う大人の追求レベルを体感して自分の無力さを感じた」と感想を述べたその後から彼の行動は激変した。会議の内容を理解する、相手の指摘を理解するなどを超えて、相手の追求エネルギーを体感することで彼は会議の本質を掴んでいた。現実を直視し闘う仲間の姿に一体化し、感謝し、奮い立つ、こんな若者が存在することに活力をもらった。

●志や実現したいことが一緒だから活力が上がる!
子供たちと、企業で経営・人事を担っている方達との座談会でのやり取り。
子供達がイキイキとした表情で「設計でも教育でも農業でも、社員の志や実現したいことが一緒だから活力が上がる」という仕事での実感を語ってくれた内容に対し、企業の方は「大人って過去の経験に頼って生きていて、しかもそれを押し付けてくる。だから成長スピードが遅いなと感じる」「素直さを持っている人材。素直さを持っているからこそ、新しいことに対しても挑戦できる。そういう意味で、みなさんは素直さの塊!。」であり、まさに即採用の人材レベルとの評価。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

子供達はとにかく対象との一体化充足を軸に、周りに同化し、役割を掴み、もっと追求したいと充足に対する欠乏が芽生えていく。そんな姿を目の当たりした大人たちは、一緒に外圧を捉えて一緒に課題を追求していく環境でこそ子供は健全に育つのだ。
と気付き、活力をもらったのではないでしょか。
そして、今まであまりにも「子ども扱い」「大人の価値観の押し付け」など、一方的になってしまっていたのでは?と。

私達大人も振り返れば、学生時代や職場の中でも一体で課題に取組む中でこそ、気づきや活力、充足感が生まれるし、逆に上から昔の価値観等で一方的に指導されるだけでは「強制感や反発心」などが生まれて本来の課題への活力が削がれてしまった経験は誰にもあるのではないでしょうか。

以前、縄文時代や江戸時代の子育て課題は、常に生産集団の中に包摂されていたことを紹介しましたが、
縄文時代の暮らしは、子育ても生死も全てが自然との一体化の上で成り立っている! [1]
【集団再生のカギを探る】江戸時代の子育てに学ぶ③~江戸時代は、生産単位(職場)が家族~ [2]
現代においても環境(生産集団)さえあれば、子供たちはどんどん活力を持って育っていくことを証明してくれています。

後は、大人自身が大人発の一方的な「育てる」という観念の弊害に気づき、子供とか大人とかという枠から飛び出して、一緒に生産課題を担う中で「育つ」環境をどう広げていけばいいか?を考え、実践していくことが必要なのでないでしょうか。
そうすれば、子供も大人にとっても「子育て」課題はもっと充足課題になっていくのです。

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