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新しい学校1 軽井沢風越学園~何を勉強するのかは自分が決める

今の日本の学校は何かおかしい。子供たちは楽しんでいない。

何とかしたい、と考える人は日本中に居るようです。最新の「新しい学校」の紹介です。

グリーンズ [1] さんから

 日本の公教育は、こんな学校から変わっていくのかもしれない。2020年開校。異年齢・自己主導で学ぶ幼小中“混在”校「軽井沢風越学園」が目指す“新しい普通の学校”とは

今日ご紹介するのは、そんな“新しい普通”をつくるお話。舞台は学校です。

年齢で分けられ、同じ方向を向いて机を並べる「クラス」。
教室の前に立つ先生から、全員が同じことを教わる「授業」。
生徒に教科を教えることをミッションとした「先生」。

誰もが思い浮かべる日本の“普通の学校”って、こんな感じでしょうか。

これらの、何十年も続く“普通”を捉え直し、“新しい普通の学校”をつくる動きが、長野県軽井沢町の豊かな自然の中で、産声を上げました。

発起人は、元楽天副社長で「森のようちえん ぴっぴ」の保育者でもある本城慎之介さん。22年間、公立小学校教諭として既成概念にとらわれないさまざまな教育の実践に取り組んできた岩瀬直樹さん。「教育とは何か?」を追求し続け、『教育の力』等の著書で知られる教育哲学者・苫野一徳さんの3人。

経営、実践、哲学というそれぞれに得意分野を持つ3人の出会いから構想が生まれた幼小中“混在”校「軽井沢風越学園(以下、風越[かざこし]学園) [2]」。2020年4月の開校を目指して学園設立準備財団をつくり、現在は地域の方々への説明会を開いたり、教職員の採用を進めたり、カリキュラムの構想を練ったり、足場固めの真っ最中。校舎の建築はまだ始まっていませんが、この夏にはサマースクールも開催予定です。

風越学園では、少なくとも先ほど提示した3つの“普通の学校”像は、すべてがらりと変わるよう。みんなが真似したくなる、真似できる“新しい普通の学校”とは? なぜ今、どのように“新しい普通”をつくろうとしているのか?

本城さんと岩瀬さんのインタビューを通して、3年後には子どもたちの学び舎となる風越学園の情景を覗き見てみましょう。それはひょっとしたら、「20年後の社会」を見に行くこと、なのかもしれません。

本城慎之介(ほんじょう・しんのすけ)
1972年、北海道生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学院在学中の1997年に三木谷浩史氏と共に楽天株式会社を創業し、取締役副社長を務める。2002年に退任後、株式会社音別を設立し、「教育」をテーマに活動を始める。横浜市立東山田中学校長(2005年4月~2007年3月)や学校法人東京女学館 理事(2007年~2014年)を歴任するなど、現場と経営の視点で教育に取り組んでいる。2009年より軽井沢町で野外保育・信州型自然保育の運営と保育に携わる。中3、中2、小6、小4、年長の5児の父。2009年より軽井沢町在住。

岩瀬直樹(いわせ・なおき)
1970年、北海道生まれ。東京学芸大学教育学部初等教員養成課程国語選修卒業。埼玉県の公立小学校教諭として、4校で22年間勤め、学習者中心の授業・学級・学校づくりに取り組む。2008年度埼玉県優秀教員表彰。2015年に退職後、東京学芸大学大学院教育学研究科 教育実践創成講座 准教授として就任。学級経営、カリキュラムデザイン等の授業を通じて、教員養成、現職教員の再教育に取り組んでいる。教師教育学会所属。大2、中3,小4の3児の父。

異年齢、自己主導で学び、探究する。
これが、“新しい普通”の学校像!

おふたりにお話を聞く前に、まずは風越学園の概要をご紹介しましょう。

「軽井沢風越学園」は、2020年4月、長野県北佐久郡軽井沢町に開校する予定の幼稚園と義務教育学校。3歳から15歳まで、12年間一貫教育を行う私立の学校法人です。一般的に使われる“一貫校”という表現をふたりはあえて避け、“混在校”という言葉を使っています。

目指す学校像は、“すべての子どもの「自由」に生きるための力を育むと同時に、「自由の相互承認」の感度を育む場所”。この社会を自由に生き、互いの自由も認め合える人を育むことを「公教育の使命」と捉え、より多くの人が「自由だ」「幸せだ」という実感をもって生きられる社会の担い手を増やすことを目指しています。

その理念を実践するためにデザインされたカリキュラムは、とてもユニーク。「“同じ”から“違う”へ、“分ける”から“混ぜる”へ」を軸に据え、3つの柱として「自己主導」「協同」「探究」を掲げています。それぞれを少し詳しく、見ていきましょう。

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コントローラーを子ども自身が持つ「自己主導」の学び

風越学園における学びの最大の特徴は、学びのコントローラー、つまり主導権を大人ではなく、子どもが持つということ。これまでは大人が決めていた「何を、どう、どこまで学ぶか」を、風越学園では、子どもが「自己主導」で決めていきます。一人ひとりが自分の学習計画をつくり、それに従って自分で学び、自分で深めていく。「先生、今日は何やるの?」から、「私はこれをやる」への大きな転換です。

異年齢が交じり合う「協同」の学び

とはいえ、自分ひとりで学んでいくと、行き詰まってしまうこともあります。そんなときに支えてくれるのは、「教えて」と気軽に声をかけられる仲間の存在。助け合い、支え合う「協同」の学びの関係性をつくるため、風越学園では、異年齢で混じり合いながら学びます。机を向かい合わせに並べて、一人ひとり、進路も学び方も違うのが当たり前の環境のなかで、「教えて」「一緒にやろう」と声を掛け合いながら、それぞれの学びが進んでいきます。先生が前に出て一斉に教えるこれまでのスタイルとは、180度異なる教室の風景が広がります。

 

~続きます。

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