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「母もきょうだい4人も私も不登校」 17歳少女が伝えたいこと

「学校へ行く、行かないを問題にするのではなく自分自身がどうするかが一番大事」

・・・社会に出て、社会の圧力を知った人なら激しく同意できるのではないでしょうか。

https://dot.asahi.com/dot/2018012500063.html [1] より引用します。

 

熊本市内の中学校で教職員向けの研修プログラムで教壇に立つのは、通信制高校に通う成毛侑瑠樺さん(なるげ・うるか/17歳)。小学3年生から不登校になり、いまは「“学校”をつくりたい」という夢のために動き始めた。どんな学校を求めているのか。教師たち、大人たちに伝えたいことは何なのか。全国不登校新聞の編集長・石井志昂さんが聞いた。

 

*  *  *

――まずは成毛さんが不登校になった理由から聞かせてください。

 

すごくふつうの不登校だったと思います。

 

私の記憶では不登校の始まりは小学校3年生です。学校へ行きたくない私は、毎朝のように泣いてわめいて親に引きずられて……という日をくり返していました。それ自体は多くの不登校家庭と同じだと思いますが、少し変わっているのは、私がわが家で3人目の不登校だったということです。

 

ひとりは4歳年上の兄ですし、もうひとりは母です。

 

――え? お母さんも不登校だったんですか。

 

母は学生時代、不登校だったそうなんです。不登校だったからこそ、子どもたちには「学校で楽しい思いをさせてあげたかった」と思っていたそうです。

 

その後は私も含め家族5人、みんな不登校になりました。母も最近では「不登校はうちの文化」だとまわりに話しているそうです。母は学校へ行く、行かないを問題にするのではなく「自分自身がどうするかが一番大事だよ」というスタンスで私たちと向き合ってくれていると感じています。

 

――なるほど。そんな成毛さんは「学校をつくること」が夢だそうですね。

 

はい。正確に言えば「公教育の場を整備したい」というのが私の夢です。私立学校をつくりたいとか、フリースクールをつくりたいということではなく、公教育全体を変えたいというのが私の夢です。

というのも出会ってきた先生たちのなかには「どう学校へ行かせるか」ばかりを考えていて「不登校した人の気持ちを見れていないのでは」と感じる人もいました。

背景には先生の勤務状況が過重労働であるとか、公教育全体が閉ざされているなどの指摘も聞いています。

でも、もっと学校という場はよくなるし、よりよいかたちを考えられるのではないかと思っています。

 

 

■スケジュール優先の修学旅行

 

――“公教育の場を整備したい”という夢を持つ直接のきっかけはなんだったのでしょうか?

 

中学校で別室登校をしていたことと修学旅行がきっかけでした。

「教室に入れなくても 自分のペースでいい」

中学には教室へ入れない人用の教室が用意されています。その教室に通うことを「別室登校」と言いますが、私も別室登校をしていました。

この別室の先生たちがすごくいい方々だったんです。小学校では「とにかく教室へ戻りさえすればいい」という対応でしたが、別室の先生たちは自分の意見を押し付けず、私の気持ちを一番に考えてくれました。

具体的には、私に無理のない時間帯で時間割を組んでくれたり、学ぶ内容も複数の選択肢を用意してくれました。

別室に通うまでは「教室に入れない自分は、なんてダメなんだ」と思っていました。いつも下を向いていたような気がします。でも気持ちが受けとめられることで「いまの自分でもいいんだ」と思えるようになりました。それからは前向きな気持ちになっていき、中学2年生からは教室へ戻っています。

 

そんななかで沖縄への修学旅行がありました。沖縄ですから、私としては戦争のことを勉強したいと思っていましたが、修学旅行はとにかく「スケジュール優先」なんですね。

 

修学旅行中、戦争当時の写真が展示された資料館に入ったとき、同級生たちは、お化け屋敷に入るような感じだったんです。なんていうか、ちょっとふざけた感じというか、少なくとも「学ぼう」という感じには私からは見えませんでした。でも、そういう同級生に対して先生たちが一番気にしているのはスケジュールです。生徒がなにを感じ、学んだのかよりも、いかに生徒が時間どおりに食事をすませ、目的地へ移動し、黙って話を聞き、アンケートを書いたか。

 

■生の声をワークショップに

 

沖縄には思わず立ちすくんでしまう資料や聞き入ってしまう話もありましたが、そういうことに心を動かされる時間さえ区切られてしまいました。

もちろん何十人もの子どもがいるわけですから、しかたがないことですが、やっぱり疑問を感じざるをえませんでした。

じつは別室から教室へ移ってきて、学校の授業や先生たちのスタンスに違和感を感じていたので、修学旅行を機に「学校を変えたい」とハッキリ思ったんです。そして変えるためには疑問や不満だけではなく改善点を考えようと思い、行き着いたのが「公教育全体の環境整備」でした。

 

――なるほど。成毛さんは環境整備に向けて、何から取り組みたいと思っていますか?

 

やりたい方向性は見えているんですが、現実的な手がかりまでは見えていません。ただ、私の話を聞いて「ぜひ」と声をかけてくれた先生たちが、昨年10月に教職員向けの研修の時間を持たせてくれました。

研修は学校に対してさまざまな思いを持つ中高生の話をベースにしたワークショップにしました。これを機に教員と生徒の対話の機会をもっとつくりたいと思い、現在は「教員と小中高生対話プロジェクト」と称して、いろんなイベントを重ねていきたいと思っています。

今後も、どういうかたちになるかはわかりませんが、私なりに夢を追っていければと思っています。

 

――ありがとうございました。

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