- 感謝の心を育むには - http://web.kansya.jp.net/blog -

子どもの言葉の覚えかた~教わっても覚えない。自ら言葉の規則を発見し応用しながら学んでいる。

子どもは誰に教わることもなく、自然に言葉を覚えてしまいます。

早期教育といって幼児期から色々な言葉を教えることもありますが、ほとんどど定着しないということもわかってきたいます。

不思議な子どもの学ぶ力。

今回は心理言語学を研究している広瀬友紀さんのお話を紹介します。

以下(https://hanakomama.jp/topics/36748/)より引用します。
———————————-
幼い子どもならではの「ことばの珍プレー」が教えてくれることを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

さて本日の珍プレー特集のテーマは「死む」「来(き)ない」「~すれる/~しれる」など「コドモの活用形あるある」です。

たとえば「死ぬ」という動詞ですが、標準語でナ行で活用する五段動詞は実はこれ一つしかないのです。一方マ行で活用する五段動詞は、「読む」「飲む」など、身近に多数。

「死む」という「間違い」から、むしろ子どもたちは「読んじゃった」→「読む」、「飲んじゃった」→「飲む」等からの類推を通し、じゃあ「死んじゃった」→「死む」のはず、と応用するチカラをもっていることがわかります。

子どもは大人の言葉をお手本として丸覚えするだけなのでなく、まず大枠の規則を見出し、それを次々新しいケースに適用してゆくのですね。

また「、「来る」という動詞がカ行変格という特殊な活用をすることは国語の時間に習ったような気がしますが、「来(き)ない」の例にも試行錯誤のあとが見て取れます。

これには続きがあって、お母さんが「『きない』、じゃなくて『こない』なんだよ」と直してあげたら、今度は「こたよ!(来たよ、の意)」と言ったとか。

子どもはいつだって規則を発見し、応用せずにはいられないことがわかります。
————————————-
単純に言葉を覚える、暗記するのではなく、大枠の言葉の規則性をつかんで、それを色々なケースに応用しいく。子どもの頭の中で高度な統計・分析が行われているとは驚きです。

また遊びの中で様々なものを観察しながら、絵が描けたり字が書けたりしていくのも、同じような子どもの能力なのかも知れません。

続けて(https://hanakomama.jp/topics/45882/)より引用します。
————————–
子どもが間違った言葉の使い方をするのを聞いたら、大人として、正しい言い方になおしてあげるのが使命だと思いますよね。

「テべりじゃなくてテレビだよ」「きない、じゃなくて、こない、だよ」「死む、じゃなくて、死ぬ、だよ」

その場では「うん」と可愛くうなずくくせに、次の瞬間全く同じ間違いを繰り返すんですよね。言語習得の研究での定説は「肯定証拠からは学べても、否定証拠からは学ばない」です。

肯定証拠とは、ああいう表現があるんだ、この単語はああいうふうにつかえるんだ、という事例に触れたり、自分の発した表現がちゃんと意図通りに受け取ってもらえたりする経験です。

一方、否定証拠とは、「その言い方はしない」という直接的な修正です。そもそも常に大人が横で逐一修正してくれると限らない時点で確実性は低いし、例えちゃんと教えても取り入れられない、というのは日本語に限らずきわめて普通のことです。

平気で同じ「間違い」をするのは、反抗期でも躾の問題でもありません。言葉の決まりについて子ども自身で死呼応錯誤を繰り返し、いつかそのときがきたら「あれ、もしかしてこっちの言い方が正しいのかな?」と自分で発見しますので、放っておいて大丈夫。

うちの子も6歳くらいのとき、「誰々くん、ぼくに対して『死め』って言うんだよ」と言うなり、違和感あるなと思ったらしく、『死ね』と言い直しました。それまでずっと「死む、死まない、死め」だったのですが。貴重な瞬間を目撃できました。

より間接的な否定証拠として「こういう言い方はしないから、実際大人の発話にでてこない」という事実もあげられます。

でも、「出てこない」事実を見出すことは普通不可能ですよね。ならばどうして子どもは自力で、大人からの指導に頼らず正しい規則に迫ることができるのでしょう。

これ、言語習得研究の最大の謎、同時に最大の魅力なのです。
——————————–
子どもは自分の言い間違いに自ら気付いて修正していく能力を持っているのです。そして大人が正しい言い方を教えても聞かないというのが、とても興味深いですね。子どもは自ら学ぶ存在、強制的な言葉には反応しない存在なのです。

とすると、自発性を軽んじ教えることばかりに執着している学校教育は、明らかに子どもの能力に逆行し、子どもの可能性を潰しているのだといえそうです。

[1] [2] [3]