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「研究の結果宿題はムダ」~世界の公立学校で宿題を廃止する動きがでている。

「早く宿題済ませなさい」が口癖になり、いつも子どものしりを叩くのが日課になっているお母さん。イヤイヤ重い腰をあげて宿題をする子ども。中には宿題が終わらずに泣きながらやっている子どももいたりします。

宿題のせいで、ゆっくり落ち着ける場であるはずの家庭がなんとも殺伐とした空気に。

それでも親は、勉強して学力をつけ、順当に進学し、社会に出て困らないようになってほしい、という切なる願いを込めて子どもに勉強を強いているのです。

ところがこの宿題、海外ではマイナス効果しかないことが明らかになり、廃止の動きも出ているようです。

今回はそんな事例を紹介します。

以下(https://irorio.jp/umishimaakira/20150306/211305/)より引用します。
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ニューヨークの公立小学校「PS116」が、研究の結果「従来の宿題はムダ」と結論付け、算数や作文の宿題の廃止を決定した。これに対し反対している親もいる。

「宿題のマイナス効果が明らかに」
2月、「PS116」のジェーン・スー校長から保護者あてに「今後は従来のような宿題を出さない」という趣旨の手紙が届いた。

手紙には「近年、宿題の効果が話題となっており、宿題のマイナス効果が明らかになってきました」と記され、以下のような宿題の弊害が挙げられている。

子どものフラストレーション
子どもの疲労
他の活動をする時間がない
家族と過ごす時間が減る
学ぶことへの興味を失う

スー校長は特に最期の「学ぶことへの興味を失う」ことが非常に残念だと語っている。

また、宿題に関する研究は様々あるが、宿題が学業に直接影響を及ぼすという研究結果はないとも述べている。

そして、学校で独自に1年以上かけてこうした効果を分析した結果、幼稚園に入る前から5年生までの子どもには、自分のペースで本を読んだり遊んだりといった「教養や社会的情緒的成長」を助ける教育が必要と判断した。

その結果、算数ドリルや作文といった宿題を今後は出さないことにしたという。
日本では軌道修正されている「ゆとり」

日本のゆとり教育でも同じようなことを言っていたような……。日本では弊害などが取りざたされ、実質軌道修正が図られている「ゆとり」だが、このニューヨークの学校では今「ゆとり」を取り入れようとしているようだ。

ただし、同校長は子どもがテレビを見る時間やゲームをする時間は限度を設けるよう勧めている。
親からは反対の声も

一方、保護者のほうは「子どもが十分学べなくなる」「記憶力のいい今が学ぶ時期」と反対の声が多い。

転校させるという親や、参考書を買い与えて独自で宿題をさせるという親もいる。「宿題なし=勉強しない」と恐れる親心はどの国でも同じようだ。

学校側によると、この「宿題の変更」については保護者を含めたリーダシップ会議で承認されているという。
PTAでは「小2で20分が妥当」

ちなみにアメリカのPTAでは勉強時間について、小学2年生までは1日最高でも20分、3~6年生では最高1時間が妥当だとしている。

しかしアメリカの教育機関の統計では9歳(おおむね3~4年生)の生徒の6割が、平日、宿題をするのに多くて2時間かかっているという。

社会的な成長を促す活動を家族と一緒に
スー校長は手紙の中で「これは宿題の形式を変えるということ」とし、別の”宿題”を課すのだと言っている。

「研究により認められた教養や社会的情緒的な成長を促すための活動に、家族と子どもが一緒に参加する機会を持ってもらいたいのです」

是非はともかくとして、こうしたことを意識、議論するのはいいことかもしれない。
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真剣に教育の意味を考えれば、宿題の廃止という決断は正しいと思います。アメリカでは公立学校にも自主的に教育方針を定める権限が認められているので、各地でこのような動きが出ているようです。

でも「宿題なし=勉強しない」と考え反対する親がいるのも日本と同様。実際には親の「宿題を出せ」圧力のほうが厄介なのかも知れません。しかしそんな親たちからも宿題に対する異議が出はじめています。

以下(http://homework.blue/2016/11/04/post-516/)より引用します。
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「宿題減らせ」と親がスト=丸暗記重視の教育に異議―スペイン

11/3(木)【マドリードAFP=時事】スペインの学校が課す宿題が多過ぎるとして、児童・生徒の親でつくる保護者会連合が「スト入り」を宣言した。

宿題によってカリキュラム外の発達が阻害されるというのが理由で、週末の宿題を11月末まで拒否するよう呼び掛けている。

保護者会連合は、スペイン国内の公立校約1万2000校に通う子供らの保護者の組織。同連合のパソス会長は2日、AFP通信に「宿題が有害なのは、火を見るよりも明らかだ」とスト入りの意義を訴えた。

2012年の国際学習到達度調査(PISA)によると、スペインの子供らが宿題に費やす時間は週6.5時間と調査対象38カ国中5番目に多かったが、児童・生徒の学習到達度は伝統的に下位。これに対し到達度上位のフィンランドや韓国は、宿題に費やす時間が週3時間を下回っているという。

パソス会長は、スペインの教育が昔ながらの丸暗記に頼り過ぎていると主張。現代社会では記憶力より情報をいかに活用するかが重要だとし、「社会が大きく変わっているのに、教室の中は昔のままだ」と強調した。
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とうとう親たちも立ち上がったスペイン。丸暗記重視の教育に異を唱えて宿題を拒否する親たちの行動に子どもたちは大喜びかもれません。

学校が始まって150年。近代教育の問題は日本だけでなく世界中で取り上げられ、大きな変化に向かいつつあるようです。親としても、わが子の行く末を案じるだけでなく、子供たちの未来を考え、教育のありかた、世界の動向を知ることも大切だと思います。

実はそういう親自身の意識や行動こそ、子どもたちの学びの姿勢を形成する原点になるのではないでしょうか。

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