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「少しでも上の学校に進んだ方が幸せになれる」は幻想。社会に出る、その為に何を学ぶか?追求するか?が問われる時代。

中学生でプロ棋士になった藤井4段、進学するか否かが注目されています。せめて高校くらいは卒業しておいたほうが・・・など意見も様々です。

でもこれは特殊なケースではなく、普通の中学生でも進路相談の時期には、「高校に行くのはなんで?」「高校はどうやって決めればいいの?」と疑問をもつ生徒が少なくありません。でもたいていは先生や親から「高校にいったほうが将来の選択肢が増えるから」などと説得され、なんとなく進学しているのが実態でしょう。

そうして現在は高校進学率98%、そのうち普通高校へは73%が進学しているわけですが、改めて考えると、義務教育後は就職もあり進学もあり、法的にも多様な進路が保障されているのも事実です。

なぜこうも高校進学が、普通高校への進学は当たり前になってしまったのか?
今回はこの辺を考えて見ましょう。

以下(http://d.hatena.ne.jp/takashukumuhak/20121113/1352809706)より引用します。
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昨日、2週間続けて日曜日をつぶし、水産高校の宣伝に行っていたということを書いた。少し補足しておこうと思う。

宣伝に行ったとは言っても、正直言って、とにかく宮水に来て欲しい、などとは思っていない。適切な進路選択をして欲しい、と思っているだけである。だから、宮水の宣伝部署にいる他のメンバーがどうしているかは知らないが、私はことさらに宮水を美化したりしない。中学生をだまして宮水に入れても、それはお互いにとって不幸な結果を生むからだ。場合によっては、中学生の話を聞いて、「君は一高とか三高とか向いてるかも知れないよ」とか、「音楽やるにしても、高校は普通科に行って、大学に入る時にそんな選択したら?」とか語ることもある。こうなると、中学校の先生とあまり変わらない。

ともかく、宮水宣伝係として私が語ったことは、およそ以下のようなことだ。
・「みんなと同じ」は価値がない。「みんなと違う」には価値がある。宮城県には、公立と私立を合わせて、全日制だけで100の高校がある。しかし、水産高校は全国に46校だ。日本の高校生全部の中で、水産科に在籍している生徒はたった0.3%、これは価値だろう。

・大学を出ても2割が就職できない時代、宮水は4年連続で進路決定率100%だ。これには3つの理由がある。一つは、授業の内容が産業と直結し、資格もたくさん取れるということ。もう一つは、創立116年と県内で4番目に古く、強いOB人脈があるということ。そしてもう一つは、「少数派の価値」(前述)だ。入るのは非常に簡単な学校なのに、就職内定率が高く、国立大学にも公務員にも取ってもらえる、これはそれらの結果である。

・水産高校は、普通の学校では経験できない特殊で大きなイベントが淡々延々と日常的に行われている学校だ。例えば、航海やマリンテクノという類型(専門)に入ると、60日間かけてマグロを捕りながらハワイを往復するという実習がある。しかも基本的にタダだ。

・水産業とは「魚を捕る」とだけ考えるのは大間違い。船で魚を捕ることもあるが、育てる漁業もある。捕った魚は加工・調理し、流通・販売させる必要がある。船を動かすためにはエンジンの管理も必要だ。水産高校は総合実業高校である。

・国数英を机に向かって勉強するのが好きか?それが好きなら、普通科という選択も悪くない。しかし、人間にはそれぞれ各自の能力や適性というものがある。中学校でぼんやり考えずに生活していると、自然に普通科に進むことになる。それが本当に自分の高校生活を輝かせることになるのか?本当に充実した高校生活を過ごせるのか?ここは考えどころだ。

以前にも何度か書いたことがある(2011年9月22日、23日、2012年2月26日など)が、私の理想は「複線化された社会」である。高校くらい出ておかないと・・・と言わず、小学校か中学校を出た時点で、いろいろな進路が選択できること、しかも上級学校に進むことが「勝ち組」で、それ以外の路線を選ぶと「負け組」というのではない、対等な価値を持つことが絶対に必要だ。勉強したくもないのに仕方なく高校に入って、本人も先生も面白くない思いをするのはナシなのである。「勉強したい」と言って、ほぼ100%が高校に進み、そのうち半分が大学に進んで、大学生が分数の計算が出来ないとか、平均の概念が理解できていないというのはあり得ない。本音は「勉強したくない」のに、やむを得ず進学するという、社会の停滞要素であることが見え見えだ。

しかし、私が大騒ぎをしても、今の「少しでも上の学校に進んだ方が幸せになれる」という共同幻想はすぐには変わらない。だとすれば、せめて高校進学の単純な普通科志向を崩すこと。それが私の今の使命だと思っている。
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本来中学は将来の仕事も考え、進路を考える大切な時期。仕事に就くか、専門の職業を目指して専門高校に進学するか、大学進学を目指して普通高校に行くか、選択肢はいくつもあります。

でも現実は「少しでも上の学校に進んだ方が幸せになれる」という大人たちの幻想で判断を保留し、なんとなく高校に進学し、半分以上は大学に進学して就職するという道をたどっています。そうして学歴がまったく役に立たない就職戦線に挑み、大卒でも2割は就職できない現実に直面することになるのです。

もうすでに学歴信仰は崩壊し、大学に進学することの意味はどんどんなくなっています。すると大学進学のために存在してきた普通高校の存在理由もなくなり「進学幻想」も早晩なくなっていくでしょう。

中学で考える進路は、単純な「進学」ではない。これからは社会に出るのだという意識をもって「なにを学ぶか?追求するか?」をしっかり考えることが重要になってくるのだと思います。

 

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