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試験のための勉強は不要。社会の期待をつかむ、応えるための勉強が必要になってくる。

小学校・中学校の義務教育を終えて普通高校に進学し、大学を出てサラリーマンになる。
今はそれ以外の進路は考えられないくらい当たり前になっているように思います。

でも実際は専門高校に進んで就職する道もあるし、中卒、高卒で仕事に就くこともできます。固定観念をはずして社会には様々な進路があることを考えると中学生の時期は、社会を対象化し、社会とどう関わっていくか?を考える大切な時なのかもしれません。

15年前になりますが「13歳のハローワーク」という本が話題になったことがあります。既成のレール以外に様々な職業があること、仕事観、仲間や社会と繋がる充実感などを伝えていて大きな話題になりました。

そして現在、これまでのような学歴信仰が崩壊し、大学の存在意義も、試験のための勉強の意味も消失してきている中で、社会に向けた中学生の意識も大きく変わってきているように思います。

今回はこの中学生に焦点を当てて、これからの学校、仕事について考えてみたいと思います。

以下「13歳のハローワーク」序文より引用します。
http://ryuhiga.hatenablog.com/entry/20100331/1270050037
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13歳のみなさんは、「好き」ということを「入り口」として考えてください。「国語が好き」「理科が好き」「休み時間が好き」というそれぞれの入り口から入って、その向こう側にある職業の図鑑を眺めてみるといいと思います。確かに、現実的には、自分に「向いている仕事」をしている人は少数かも知れません。でもすべての13歳は、「向いている仕事」につく可能性を持っています。学校の勉強ができない子も、自信がなくて内気な子も、友だちがいなくて寂しい子も、家が貧しい子も、大人になるためのぼうだいな時間を持っているからです。その時間が、可能性なのです。だから、自分に「向いている仕事」が必ずあるはずだ、と心のどこかで強く思うようにしてください。

「好きなことを探しなさい」「好きなことを見つけなさい」とよく言われます。でも、それではどうやって探せばいいのか、どうすれば見つけることができるのか、教えてくれる人はなかなかいません。それは、13歳にとっての「好きなこと」、大人にとっての「向いている仕事」というのは、探せば見つかるというものではないからです。砂浜で貝を探したり、原っぱでバッタを探したり、花畑で蝶を探すように、探せば見つかるものではないのです。つまりそれは、「探して見つける」ものではなく、「出会う」ものなのです。

「出会う」ために欠かせないのは、好奇心です。(中略)わたしたちは、好奇心が刺激されると、努力なしに、自然に心が傾きます。すべては、「ん?これはいったい何だろう」からはじまるのです。

そして、「出会う」ためには、「どこかに自分が好きなことがきっとあるはずだ」「将来的に、自分に向いている仕事がきっとあるはずだ」と心のどこかで強く思う必要があります。そう思っていなければ、何かに出会って、心が傾いたときに、「これかも知れない」と思うことができないからです。また、ぼんやりと日々を過ごすよりも、いろいろなことに興味を持つほうが、出会う確率は大きくなります。「これかも知れない」と思ったものが、実は勘違いだったり、実際はそれほど好きじゃないことがあとでわかっても、がっかりすることはありません。

「自分探し」という言葉があります。わたしがもっとも嫌いな言葉の一つです。自分探しとは、ある本によると、自分はどういう人間なのか、どういう人間になりたがっているのか、どんなことでハッピーになれるのか、過去から現在に至る自分を振り返り、また未来を描き、自分なりの価値観を見つける、というようなことのようです。ただし、それらの答えは自分の中にあるわけではありません。他人や、興味ある対象との出会いの中でしか見つからないものです。自分はどんな人間に興味があるのか、どんなことに好奇心が向いていて、何をすればハッピーになれるのか、というような問いは、自分を探すのではなく、他者と向き合い、興味ある対象との出会いを通して成立するものです。(中略)。

答えなどないのだから、自分なんか探してもムダです。それよりも、わたしたちが生きているこの社会、広い世界と接し、知ることのほうがはるかに重要です。(中略)「興味があること」「好きなこと」がわかっている13歳や、「向いている仕事」を持っている大人は、自分探しなどという言葉にまどわされることがないのです。
(中略)
職業・仕事によって、わたしたちはいろいろなものを手に入れることができます。お金や地位や名声が、あとでついてくることもあります。でも、それだけではありません。わたしたちは職業によって社会とつながっていることを忘れないでください。社会とつながっているという感覚はとても大切です。それは、社会から必要とされている、他人から認められているという感覚を持つことでもあるからです。職業につき働くことで、わたしたちは充実感や達成感、それに友人や仲間を得て、集団や会社や組織に属すことで、自分の居場所を確かめることができます。
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社会を対象化していけるようになる中学時代、しかし実際の社会や、そこで営まれる仕事については誰も教えてくれず、漠然としたイメージしかないとき。具体的な仕事内容を紹介するこの本はベストセラーになり、その後の職業体験学習浸透のきっかけになったとも言われています。

そして15年後の現在、学歴エリートがトップに立つ大企業が倒産の危機に陥り、学歴で学生を選ばない企業がどんどん増え、進学・就職という既定路線が全く意味をもたなくなってきています。

試験でいい点がとれても、就職でいい会社に入れても、その先はどうなるかわかりません。今求められるのは試験で点がとれる暗記脳ではなく、答えのない問題を解決できる追求力へと大きく転換しています。

相変わらず親の世代は高校・大学をでて会社に就職することが当たり前と考えていますが、現実の社会はとっくに変化しています。必要なのは目先の進学や大学のランクなどではなく、いかに本物の追求力、社会に出ていく力を身につけるかということ。

これからは大学に行かない選択、中卒・高卒で働く選択、専門校で技術を身につける選択・・・中学生の進路はどんどん多様化していくでしょう。であればこそ、こんな仕事がしたい・・の根底にある社会にでてみんなの期待に応えたいという気持ちを大切にし、みんなの期待をつかむために社会の変化や意識潮流を追求していく必要があります。

13歳はもう社会の一員。これからの社会を一緒につくっていくために様々な「なんで?」「どいうして?」を追求する。試験のための勉強でなく、社会をつくっていくための勉強がますます重要になってきます。

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