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お年寄りと子どもは波長が合う?~老人ホームと保育園が同居する施設「江東園」

小さな子どもをつれて歩いていると、公園や道ですれ違うお年寄りの方の多くが微笑んでくれます。子どもが「おじいちゃん」と話しかけるととてもうれしそうに「ぼく何歳?」と返してくれます。

子どもとお年寄りって何か波長が合うのかな?と感じていましたが、それを保育の場でとてもうまく実践している例がありました。

お年寄りと子どもが同居する保育園「江東園」を紹介します。以下(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=197765)より引用します。

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■全国でもめずらしかった”同居”施設
「おじいちゃん、おばあちゃん、げんきですかぁー!」園庭に元気いっぱい、可愛らしい声が響き渡ります。
その声に負けじと、「元気ですよぉーー!!」お年寄りの大きな声がかえってきます。ここ江東園で、毎朝繰り広げられる光景です。
江東園の1日は、お年寄りと園児たちのラジオ体操から始まります。
ラジオ体操が終わると、子どもたちは一斉にお年寄りのところに駆け寄り、思い思いに抱きついたり話しかけたり、なかにはだっこをせがむ子もいます。お年寄りも子どもたちもとても楽しそうです。

ここ江東園では、毎朝の体操から始まり、子どもたちがお年寄りの部屋に遊びにいったり、施設のあちこちで、お年寄りにだっこしてもらう子の姿や、絵本を広げている姿を目にします。子どもたちの行動範囲は全館といいますから、まさに「一緒に暮らしている」といえます。
老人福祉施設として、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、デイサービスセンターの他、ホームヘルパーステーション、在宅介護支援センター、区の委託を受けた機能訓練所、熟年ふれあいセンターなど、高齢者に関わるさまざまな事業を展開しています。

■人それぞれ違いがあることを自然に受け入れる
「保育園を併設し、子どもたちと行事を一緒にやる機会が多くなっていったのですが、やがて日常的に交流をもつようになり、今の形になっていきました。
ちょうど一つ屋根の下で暮らす大家族のようなもので、現在、0歳児から99歳までの方がいます」と林副園長。「大人になると、障害がある人や、肌の色が違う人を差別してしまうことがありますが、ここでは子どもたちは、違いを自然に受け入れあいながら一緒に生活しています。人は知らないことに対して違和感や反感を覚え、それが差別を生むのではないでしょうか」

江東園でも一緒に行動する前は、幼児がお年寄りをこわがったり、笑ったりしたこともあったといいます。「今では、車イスに座っているお年寄りたちを、当たり前のことと受け入れています。」

■必要とされることがお年寄りにとって嬉しい

施設としてもお年寄りと子どもたちが、自然に関わることができるようにきっかけ作りを怠りません。希望するお年寄りは、子どもたちのおやつの配膳のお手伝いや、昼寝の着替えや、寝かしつけなど、基本的に自由に保育室に出入りしています。
また、月に1,2回、あえて骨付き魚をランチに出すことで、お年寄りが子どもたちに骨をとってあげるなどの機会を作ります。
「子どもとどのように関わるかは、お年寄りの価値観に任せています。体調もありますから。ただ、お年寄りの時間の流れ方と子どもの時間の流れ方はとても似ているようです。
大人社会は忙しくて、子どもたちも、日々早く、早く、と言われがちですが、お年寄りは子どものペースに合わせる余裕があります。それが、子どもが安心して、自分に自信をもつことにつながっているのではないでしょうか。

また、子どもは『おばあちゃん、絵本を読んで』など、お年寄りを心から必要としています。お年寄りにとっても『人のために役に立つ』とことが生きる力になっています。お互いに必要とするいい関係を築いていますね。
また、連れ合いを亡くした喪失感や寂しいという思いも、子どもの元気な声が聞こえることで救われる、という人もいますよ。それに、重度の認知症のお年寄りもなぜか子どもの前だとしゃんとします。」と林副園長は話します。

なかには、子どもが「機関車トーマス」が好きだと聞き、いろいろ調べるお年寄りもいます。子どもとの関わりは、お年寄りの新たな興味を開くきっかけにもなっています。
また、1歳から2歳の頃からおむつを取り替えてきた子どもが、成長していく姿も嬉しいことのひとつです。卒園した後も、仲良くなったお年寄りのところに遊びに来る子どももいて、それがお年寄りの生き甲斐にもなっています。

■死も自然な形で受け入れる子どもたち
お年寄りは子どもたちに、時には「お行儀が悪いよ」「残さないで食べなさい」など注意もします。それを子どもたちは素直に受け入れます。
暴れて遊んでいる子どもも、車イスや松葉杖のそばでは静かに通るというように、思いやりが自然に身についている、ともいいます。
お年寄りと一緒に暮らしていると、時には亡くなることもあります。そのときは子どもたちに自然な形できちっと話をして最後のお別れをしてもらいます。「死」というテーマも自然な形で受け入れてもらおうとしています。
このような施設運営を続けるためには、子どもたちの家族の理解が不可欠でしょう。
「保護者の方たちもボランティアできていただくなど、お母さんたちにもお年寄りに接する機会を設けています。お母さん達もお年寄りと暮らした人が少なく、初めての経験が多いようです。なかには『お年寄りが好きなので、ヘルパーをやってみたい』というお母さんも生まれています」。

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古くからの共同体がなくなり、都会では核家族が増え、地域のお年寄りとの接点をほとんどなくしてしまった現代の子どもたち。でも、近所ですれ違うお年寄りの方々は総じて子どもが好きでとても可愛がってくれます。

江東園では老人ホームと保育園という施設の同居により両者のふれあいを実現していますが、今暮らしている街でも、お年寄りの集まりや活動と保育園のコラボなど広い可能性を秘めているように思います。

昔から農作業にでている父親、母親たちに代わって幼い子どもたちの世話をしてきたのはおじいちゃん、おばあちゃん。私たちにとってごく自然だった関係を改めて見直してみてはどうでしょう。

 

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