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新教育が目指すもの~仲間と学び志を育む、志をもって社会をつくる。

『神戸大学(神戸市灘区)は20日、2019年度からの入学者を対象に、高い志を持って社会に貢献できる人を選抜しようと、「志」特別入試と名付けた新たな試験を始める、と発表した。大学入試センター試験を利用せず、書類審査や面接、小論文などを行う。センター試験を利用しない入試は、同大では極めて異例で、受験生の知識や思考力、主体性などを多面的に評価するのが目的という。AO入試の一種として行う。』

『同大は「将来的に各分野のリーダーとなり、社会に貢献できる学生を見いだしたい」としている。』
(https://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201701/0009846866.shtml)

いきなりニュース記事を紹介しましたが、とうとう「志」が選考の基準になるとは・・・
でも、それだけ社会を担いつくっていくことのできる人が求められている、ということなのかも知れません。

最近は学校の指導方針に「志」という言葉もよく聞きます。
なぜ今「志」なのか?
今回はその辺を考えてみます。

まず追手門学院中・高のHPより
(http://www.otemon-jh.ed.jp/education/jhs_education05.html)
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『チーム追手門』活動(新・郷中教育)
追手門学院伝統の縦割り教育のことです。中学1年生から中学3年生までの異学年・少人数チームで、上級生が下級生をリードし、共に話し合ったり行事活動を行ったりします。

『志』を育む系統的な教育
本校には、『志』を育む取り組みが数多くあります。将来、大きな志を持って飛躍してほしいという願いを持っています。
○追中宣言(中学1年生)
中学1年生の「宿泊オリエンテーション」にて、中高6年間をどのように過ごしたいのかという『志・決意』を学年全員の前で発表します。「人の役に立ちたい」、「勉強とクラブの両立をしたい」など立派に宣言してくれます。

○「志」作文コンクール(中高全学年)
学院教育理念「独立自彊・社会有為」 を踏まえ、「主体性」を涵養し、自らの可能性を広げ、社会に貢献する高い志を育成します。学院創立記念日(5月29 日)の前日に表彰を行っています。

○将来を考える日(中学1年生〜高校1年生)
本学院の卒業生を講師として招き、自分の将来や職業観、勤労観について具体的に考える機会を設けています。仕事の分野は、弁護士・薬剤師・アナウンサーなど多岐にわたります。

○進路特別講座(高校2年生)
進路ガイダンスや大学の模擬授業を受講することで、学習意欲や進路・進学意識の向上をはかり自ら進路を決めていく力を養います。

○「志・第一志望」宣言大会(高校2年生)
高校2年生の3学期を高3の0学期として、自身の『志』と『第一志望』の宣言を行います。進路実現はもちろん、「社会や人のため」という視点を織り込んだ『進路宣言』を行います。

○卒業生講演会(高校全学年)
講師に迎えるのは、国際NGOで活動する本学院の卒業生や現役の大学生など。生徒たち自身も、その生き方、志に触れ、自らの進路を見つめる貴重な機会となっています。
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以前紹介したことのある「郷中教育」から始まり、仲間との学びあいの中で志を育む。学校の先生方の教育にかける『志』が感じられてきます。

大学も負けていません。
以下東工大のHPより(https://www.koukouseishinbun.jp/2016/08/48561.html)
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東工大が「志」育む新授業 新入生全員がグループ作り 話し合い

東京工業大学が今年度から大規模な教育改革に乗り出した。柱の一つがリベラルアーツ教育だ。文学や社会学、科学史といった教養科目を学ぶことで、理工系の専門分野の知識を社会につなげたり、自分の人生を自由に設計したりするためのカリキュラムが組まれている。目玉の授業が「東工大立志プロジェクト」。新入生全員が少人数のグループに分かれて本音で語り合う中で「学ぶ志」を育むユニークな内容だ。

○池上彰さんらが講義し学生同士で感想を共有
立志プロジェクトは新入生約1100人が、入学直後の4〜5月の学期(同大は4学期制)に受ける。毎週、講堂で一斉に受ける講義と、約30人ずつに分かれてのグループワークという2つの授業があるのが特徴だ。

今年度の講義は、ジャーナリストで同大特命教授の池上彰さんや、劇作家の平田オリザさんのほか哲学者や社会学者、住職らが担当し、7回開かれた。

学生は講義で印象に残ったことや感じたことをノートにまとめ、数日後のグループワークでは、クラスがさらに4人ずつのグループに分かれ、講義の感想などを語り合う。課題図書の書評を書いて互いに紹介し合いもする。授業の最後には各自が、自分たちが学んでいくうえでの「志」を発表し合う。
こうした授業では、先生の役割は知識を伝達するのではなく、学生同士の学び合いを支援することだ。

○「教養の面白さ知った」読書会立ち上げる学生も

1年生は新しい授業をどう受け止めているのか。赤塚啓紀さんは「高校までは社会の授業はつまらないと思っていたが、教養はこんなに面白いのかと思った」と振り返る。今後は学生同士の自主企画として読書会を立ち上げるという。浅沼遥香さんは「ほかの人の考えを聞いたり、書いたものを読んだりすることで自分の考えも変わってくる。先生が親身にサポートしてくれるのがうれしい」と語る。
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前回、「学びの本質は共同体の実現にある」と書きましたが、強い志が学び・追求の原動力になり、それによって共同体・社会がつくられていく、ということのなりそうです。

幼児期からの遊び、探究心は、やがて仲間とともに学び志を育むようになり、その志をもって共同体の一員となり社会をつくっていく。私たちはみんなそういう風に生まれ育っていくようになっているのだなと思います。

現代教育の行き詰まりを前に、進むべき道筋をみんなが探索して掴んだ可能性が、今注目されている「志」なのではないでしょうか。

 

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