- 感謝の心を育むには - http://web.kansya.jp.net/blog -

予防接種どうする?~恐怖の前に事実を知ることから。日本脳炎の場合。

子供の頃、日本脳炎やジフテリアはとても怖い病気だと教わった記憶があります。
たとえば日本脳炎は蚊によってウイルスが媒介され、発病したら治す手立てはなく、4割の人が死に至る、生存できた場合も半数以上に麻痺や精神障害などの後遺症を残す・・・という具合です。

こんなに怖い病気が防げるのだったらちゃんと予防接種をしなくちゃ、と思うのも当然のことでしょう。

一方で、ワクチンの接種による副作用が毎年発生している。とくに重篤な中枢神経系の障害が毎年数名発症している。と聞けば、ワクチンは怖いと思うのも当然のこと。

でもこの「怖い」という意識は曲者です。冷静な判断を曇らせ、どちらの立場に立っても、対立意見をとことん否定しないと安心できない。そんな意識につながっていきそうです。

恐怖の前に事実を知ること、そこからはじめてみましょう。

まず公の見解?~見てみましょう。

以下国立感染症研究所HP(http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/449-je-intro.html)より引用。
————————————-
世界的には年間3〜4万人の日本脳炎患者の報告があるが、日本と韓国はワクチンの定期接種によりすでに流行が阻止されている。日本では、1966 年の2,017人をピークに減少し、1992年以降発生数は毎年10人以下であり、そのほとんどが高齢者であった。しかし、1999年以後、10歳代2 例、30歳代・40歳代各1例と比較的若年の患者が発生していることは注目される。

日本脳炎は、フラビウイルス科に属する日本脳炎ウイルスに感染しておこる。このウイルスは、伝播様式からアルボウイルス(節足動物媒介性ウイルス)とも分 類される。日本などの温帯では水田で発生するコガタアカイエカが媒介する

また、感染しても日本脳炎を発病するのは 100〜1,000人に1人程度であり、大多数は無症状に終わる。

死亡率は20〜40%で、幼少児や老人では死亡の危険は大きい。精神神経学的後遺症は生存者の45〜70%に残り、小児では特に重度の障害を残すことが多い。パーキンソン病様症状や痙攣、麻痺、精神発達遅滞、精神障害などである。

特異的な治療法はなく、対症療法が中心となる。高熱と痙攣の管理が重要である。脳浮腫は重要な因子であるが、大量ステロイド療法は一時的に症状を改善することはあっても、予後、死亡率、後遺症などを改善することはないと言われている。

日本脳炎は症状が現れた時点ですでにウイルスが脳内に達し、脳細胞を破壊しているため、将来ウイルスに効 果的な薬剤が開発されたとしても、一度破壊された脳細胞の修復は困難であろう。日本脳炎の予後を30 年前と比較しても、死亡例は減少したが全治例は約3分の1とほとんど変化していないことから、治療の難しさが明らかである。したがって、日本脳炎は予防が最も大切な疾患である。

予防の中心は蚊の対策と予防接種である。日本脳炎の不活化ワクチンが予防に有効なことはすでに証明されて いる。実際、近年の日本脳炎確定患者の解析より、ほとんどの日本脳炎患者は予防接種を受けていなかったことが判明している。ワクチンは第I 期として初年度に1〜2週間間隔で2回、さらに1年後に1回の計3回、各0.5mlの皮下注射を行うことによって基礎免疫が終了する(3歳未満は 0.25ml)。第I 期は通常3歳で行われるが、その後第II 期として9〜12歳に、第III 期として14〜15歳にそれぞれ1回追加接種を受けることとされている。
————————————-
恐ろしい病気が予防接種によって阻止されていること、接種を受けていない人が発症しているということが述べられています。

一方「新・予防接種へ行く前に」(ジャパンマニシスト社)によると、同じ国立感染症研究所のデータをもとに次のような検証をしています。
————————————–
戦後の混乱期には数千人規模の発症をくり返していましたが、1960年代の後半から激減し、細菌の20年間は毎年一桁でそのほとんどが高齢者、20歳未満の若年層では0~二人で推移しています。

日本脳炎ワクチンは、2005年に「積極的勧奨差し控え」の勧告が出るまで80%以上の高い接種率を維持してきました。それでも毎年、何らかの理由で接種漏れになる子供は20%程度は存在し、つまり少なくとも百万人程度は未接種でした。
(中略)
積極的勧奨差し控えのあいだのほとんどの年で、若年者の発症はありませんでした。
(中略)2000年に、国立感染症研究所が、日本脳炎ワクチンを接種した子供たちと非接種の子供たちの抗体保有率を調べています。

これによると、接種群では4歳で90%が抗体を有していて、これはワクチンによって人為的に獲得させたものでしょう。ところが非接種群でも10歳になると約80%が抗体を保有している。つまり自然感染していることがわかりました。

非接種で抵抗力のない約百万人の若年層では、毎年の感染率を10%と仮定すると感染者は10万人となり、「感染者100~1000人に一人が脳炎を発症」とする厚生労働省の試算からすれば100~1000人の脳炎患者が発生しなければなりませんが、毎年の患者発生はほぼゼロで、自然感染しても発症せずに抵抗力をつけているのが現実です。
————————————–

しかも、日本脳炎ワクチンで2003年には6人にADEM(急性散在性脳脊髄炎)が発症、2004年には重症心身障害になる事例が報告され、ワクチンと健康被害の因果関係が認定された経緯があります。上記2005年の「積極的勧奨差し控え」の勧告とはこの経緯を踏まえたものです。(健康被害をだしていながら「積極的な勧奨を差し控える」というのはいかにもお役所的ですが)

しかし2009年から、より安全なワクチンができたということで厚労省は積極的勧奨を再開し、現在にいたっています。
毎年数千人の発症を起こしていた時代では、日本脳炎ワクチンは一定の効果があったのだと思います。しかし栄養状態が改善した現代では抵抗力が増し、感染しても発症していないというもうひとつの事実も見逃せません。現在の生活実態から見れは日本脳炎ワクチンの必要性はほぼなく、ワクチンの危険性そのものをしっかり見極めることが優先されるように思います。

ただ東南アジアにはまだ多くの発症例があります。海外旅行の再にはワクチンの有用性をしっかり理解して接種を受けるなど、現実的な判断と対応が求められると思います。

[1] [2] [3]