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家族ってなに?~私たちがどういう家族のかたちをつくっていくかが問われている。

『一旦、従来の「家族」という固定観念を取り去って、大切な子育て環境をどう実現していくかを考えていく先に、あらたな家族像が見えてくるかもしれません。』

今でこそ一般化した核家族。しかしそれ以前には地域や社会によって実にさまざまな「家族」がありました。しかしそれらすべてに共通しているのが「女性が子供を産み育てていく」環境をどう実現するか?であったようです。

まずは伝統的な世界の「家族」のかたちをみながら、視野を広げ、これからの「家族」を考えてみましょう。

以下(http://blog.miraikan.jst.go.jp/event/20160318211-3.html)より引用します。
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<インド・ナーヤルの母系家族>
ナーヤルでは、「母」を中心に家系が存続します。ナーヤルの女性は、初潮を迎える頃、儀礼的に夫を持ちます。わずか10歳~12歳くらいで結婚をするわけです。そうすることで、女性はナーヤル社会の中で一人前に扱われるようになります。その後、儀礼的な夫とは別に、複数の男性を通い婚の夫として迎えることができます。通い婚の夫は、夜に女性の家に行き、朝には帰るという関係を築きます。そこで子どもが生まれると、その子どもは女性の家、つまり母親の家に属し育てられます。

おもしろいのは、その子どもを教育あるいは扶養する義務を負うのは、その女性の家にいる男性、つまり母親である女性の兄弟なのです。儀礼的な夫、通い婚の夫は一切そうした義務をもちません。それどころか、権利さえないのです。例えば通い婚の夫が、血のつながった自分の子どもにおこづかいをあげたりプレゼントをしたりすることはできません。なぜなら、その夫がもつ財産はすべて、夫の姉妹の家系が握っており、姉妹の子どもを育てるために使われるべきだからです。

しかし、ナーヤルの家族形態がインドにおける民法にそぐわないという実態から、現在ではこうした家族のかたちは減ってきているそうです。

<ヌアー社会の幽霊婚>
アフリカは南スーダン共和国のヌアー族です。彼らの結婚は、男性から女性へ牛を贈ることにより成立します。しかも、とても驚いたのは、例えば未婚のまま亡くなってしまった男性でも、その男性の代わりに家族から女性に牛が贈られれば、結婚が成り立ってしまうということです。つまり、その女性は亡くなった男性(以下「死亡夫」)と結婚するわけです。これを幽霊婚と言うそうです。そして、結婚後にこの女性が他の男性との間に子どもをもうけた場合、その子どもは死亡夫の正式な子どもとして、死亡夫の家系に属します。

<ミクロネシア・ヤップ島の親子関係>
そして最後、3つ目はミクロネシア連邦のヤップ島というところです。ヤップ島の家族は父方の家系が軸となり、タビナウと呼ばれる土地や家がとても重要視されます。また、子どもは、父方の先祖の霊、すなわち精霊のはたらきによって母の体内に宿ると考えられています。なんだか「こうのとり」を思い浮かべてしまいます。母と子は「出産」によって親子というつながりを築きますが、父と子は同じ精霊のもとに生まれたという考え方によってつながっています。
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どれも現在の家族観がぶっ飛んでしまうような形ですね。しかし日本でも戦後まもなくまで「夜這い婚」の風習を残していた地域もあり、生まれた子供を村の子とし育てる習慣も決して珍しいものではありませんでした。

一見バラバラに見える家族像、これらはすべて「女性が安心して子供を産めること」と「子供を養育できること」を実現するかたちです。地域・社会の違いはあれどその「子育て原則」は普遍。夫婦で子育てという価値観はどこにもなく、地域や社会に応じて「子育て原則」を実現してきたのが「世界標準」なのです。

これらの事例から読み取れるのは、
①母と子は出産によって繋がる重要な関係、これは世界共通。
②総じて父親の影は薄いか、全くない。いなければ幽霊でも精霊でもいい。
③養育環境は夫婦間でなく、一族や村など集団によって支えられている。

子育て原則に照らして現状をみてみると・・・

①母と子の絆は今も昔も変わりません。変わったのは母親を取り巻く環境です。子育て責任を一人で背負う不安から、絆が呪いになってしまうケースが・・・この状況を乗り越えるためにお母さんたち自身から「自主保育」や「共同保育」、「企業内保育」の取組みがすでに始まっています。

②生物学的父親にはこだわらない。むしろ社会との接点としての父性(母方のおじとか、普遍性の高い精霊とか)が大切だったのだと考えられます。たしかに少し前までは「働く親父の背中を見て」という言葉もありました。
今はやりの「イクメン」は、核家族の母親だけでは無理なので父親も・・という発想ですが、大切な父性を犠牲にして、母親と一緒に呪いにかかるようものです。

③現在の養育環境は「世帯」という単位に縛られていて、核家族の制度的土台になっているとともに、家計(突き詰めれば課税の対象)になっています。最近一人親家庭の「子供の貧困」が問題視されていますが、フルタイムで働きながら子育てができない現状を集団の力で何とかしなければなりません。

と、課題は多くありますが当事者である母親たちはすでに動き始めています。むしろこれからの問題をどう乗り越えるかは子育て環境を支える集団(地域or企業)をどうつくっていくか?という私たち全員の課題です。

たとえば、
・企業が男性社員に育休を認めるとかでなく、その分の人力を企業内保育の充実に向ける。

・通勤が困難ならばフレックス制を併用、または職住近接を推進する。(職場の近くに住む場合は家賃補助をするとか)

・そうすれば子供たちは働く親たちの姿を見ながら育つことができる。

・企業内保育は立地する地域にも開放、地域の子育ての核になり、企業イメージも向上。(政府の財政支援も拡充の方向にある、当然地域の自治体とも連携して待機児童問題も解決)

働きながら子育てできる環境が整えば、母親は安心して出産・子育てに向かえます。あれ・・・父親の存在理由は?

こういう社会をつくっていくのが親父たちの仕事です。

ここに上げたのは一提案にすぎませんが、みんなで日本の子育てどうする?を考え実現していく時がきています。私は必ず実現できると思います。なぜなら先人たちは知恵を出し合いながら自分たちで子育て環境をつくってきたのですから。

 

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