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目的意識=志が地域も元気にする

もう一つ、高齢者雇用で活躍されている企業を紹介しましょう。

地域を活性化したいという、明確な目標が企業を活性化させているというお話。ここでも、まず高齢者雇用をメリットとして捉えています。それも、人件費が安い、といったことではなく、もてなしの武器になると捉えているわけです。

高齢者による集団事業⇒地域共同体の再生 [1] より

フェイスブック [2]

高齢化社会への対応策として、高齢者の雇用確保のために様々な試みが行われています。
その一事例として、高齢者の雇用確保を出発点としつつ、地域を元気にしたいという明確な目的意識(志)を持って発足し、現在では地域共同体の再生が進んでいる長野県小川村の企業「小川の庄」について紹介します。

20-80代の社員たちが互いに刺激し合いながらビジネスと村の活性化に成功、ますます発展中 [3]
<ダイバーシティ経営企業100選>より引用

◆ダイバーシティ経営の背景
・「小川村は雪深く冬には仕事がない。雇用を生み出し村が自立するために企業を立ち上げたい。自分たちが汗した農産物に付加価値をつけて販売したい。村人に喜んでもらえるように地域を元気にしたい。」夢と希望と理想に燃えた40-50代のメンバーが集結し、1986年5月、同社を設立。
・地域の高齢者の雇用創出が大前提であったが、同社はそれを強みに変えた。田舎らしい郷愁のある食べ物をふるまうことが最高のおもてなしと考え、まず60歳以上の高齢者7名を採用、家庭に伝わる伝統的な味や作り方などお年寄りの知恵をもとに冷めてもやわらかくて食べやすい、同社オリジナル「縄文おやき」を開発、国内外へ販路を拡大している。

庄 [4]

 

 

 

◆取組内容

・「60歳入社・定年なし」で高齢者を継続的に雇用。高齢者の勤務は1カ月単位でシフト表を作り、勤怠管理を徹底している。各人が一通りの作業を身に付けた“多能工”であるため様々な作業に適応でき、互いに融通を利かせることができる。
・最近では20-30代の若手社員の採用も進み、インターネット販売やそれに伴う個人情報のセキュリティ保護などを主に担当。その他、力仕事など高齢者をカバーする役割を担っている。
・高齢者は二、三手先回りして働き、この気配りに若手は学ぶ。一方高齢者は若手の仕事の速さ、効率の良さ等をほめる。互いの良さを認め合い尊敬しあうことで、仕事を通じて社内のモラルが自然と高まっている。年代は20代から80代までと非常に幅広いが、高齢者(60-80代)と若者(20-30代)、それをつなぐ中間層(40-50代)のマネジメント層が、適切に役割分担を行い、互いの能力を認めて尊敬し合い、一体感のある職場の雰囲気を醸成している。sellers_00000060 [5]
画像はこちら [6]からお借りしました。

◆成果
・新商品のアイディアは“お年寄りの知恵”から生まれる。それを50歳前後のマネジメント層も交え議論しながら改良を重ね、市場が求める“売れる商品”に仕上げる。ただ地域が古くから伝承する食品を提供するのではなく、“お年寄りの知恵“に基づく新商品の緻密な開発が売上増を支えている。
・また、創業当初から東京など他地域への販路開拓を指向し、若手社員の入社がきっかけとなって始めたインターネット販売などによる販路拡大で全国展開・海外展開に成功、創業以来売上高はほぼ順調に伸びている。

設立当時は高齢者のみによるスタートでしたが、地域を元気にしたいという志に共鳴した若者が入社して、一員として働くようになっており、高齢者と若手の学び合いも自然に発生しています。
そして、中堅層や若手が“お年寄りの知恵”が新商品を生み出す素となり、中堅層や若手が、世間のニーズに応える商品となるように追求を重ね、販売戦略を練るなど、決して“守り”に入ることなく、地域活性化という軸を保ちながら、常に新しい課題にも挑戦しています。

「小川の庄」が成功している重要なポイントは、高齢者の雇用創出を起点としつつも、それ自体が目的ではなく、働き続けたくなる、住み続けたくなる魅力ある地域を創りたいという目的意識(志)が上位に鮮明にあり、その実現の担い手として高齢者を活かしているスタイルにあります。

社会や地域を対象にした目的意識(志)があるから、高齢者自身も「どうすれば実現できる?」と当事者意識を持って追求し続け、新しいことにも挑戦していきます。
その志が引力となって若い世代を惹きつけ、地域の集団再生へとつながっています。この事例は高齢過疎化という問題に対しても大きな突破口となるように思います。

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