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“定年”は、これまでの人生を一旦リセットし「これからの人生をどう生きるか?」をゼロから考える良いチャンス

企業の高齢者採用の流れはもう止められないようですね。地域コミュニティーをベースにした珍しい事例というわけではなく、ごく必然としての流れがそこにはあります。

“定年”は、これまでの人生を一旦リセットし「これからの人生をどう生きるか?」をゼロから考える良いチャンス [1] より

 老人達の定年に対する意識の変化を感じさせる事象。
昔は「定年までに貯めれるものは貯めて、後は悠々自適」が理想像だったが、’02年の私権の崩壊を契機にして、「生涯現役」「死ぬまで現役で働きたい」といった、役割収束・課題収束へと意識が大転換。

今や、“定年”は、これまでの人生を一旦リセットし、「これからの人生をどう生きるか?」をゼロから考える良いチャンスとなった。

後は、この“これからの人生をどう生きるか?”の問いに「地域や社会を守る」という言葉が与えられることで、大きな“志”が形成され、すさまじいエネルギーが生み出せそうな予感。

モスバーガー [2]

東京・五反田。午後9時を過ぎた頃、勤めを終えたサラリーマンや若者で溢れるファストフード店「モスバーガー」の店内の光景はちょっと変わっている。接客係も厨房係も、ファストフード店にしては年齢層が高い。初老の従業員たちが緑色の制服に身を包み、忙しそうに働いているのである。

「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか」

孫のような年齢の客に物腰柔らかな口調で応対する。モスバーガー五反田東口店では、在籍するアルバイトの2割、約10人が60歳以上だ。彼らは、親しみを込めて「モスジーバー」と呼ばれる。比較的時間の余裕があるため、早朝・深夜にシフトを組むケースが多いという。

食品メーカーで働いていた中村和夫さん(62)もその1人だ。在職中からモスバーガーでダブルワークを始め、現在は週5回、午後11時から翌朝5時まで、接客や閉店後の店舗、調理機材の清掃点検などを任されている。

「3階まで商品を階段で運ぶので運動にもなります(笑い)。私たちが裏方としてメンテナンスすることで、お店の営業の支えになっているという存在感を持てることが、やりがいになっています」(中村さん)

時給は公表していないが、深夜割り増しを含めて月収は約20万円だという。客の反応は上々だ。同店をよく利用する30代のOLはこう語る。

「おじいちゃんやおばあちゃんの笑顔は、マニュアルにはない温かみが感じられて和みます。自分の親くらいの人が明るく頑張って働いている姿を見ると、なんだか励まされているように感じる。若い私も頑張らなきゃと思えるんです」

日本の65歳以上の人口は、昨年9月時点で3186万人。総人口の25%を占め、今や4人に1が65歳以上という時代になった。だが彼らは、一昔前の“年寄り”とは違う。介護なしで元気に生活できる「平均健康寿命」は男性70.42歳、女性73.62歳と伸びており、「体も元気でまだまだ働きたい」という気持ちを持つ人が多い。中村さんのように、最近は定年後の生きがいや経済的理由から、生涯現役を希望する高齢者が増加している。

一方、採用する企業側もそうしたリタイア世代の登用に積極的になっている。高齢者に仕事を斡旋するシルバー人材センターでは、民間企業からマンション清掃や警備員など求人の問い合わせが増え、受諾件数が10年で1.12倍に伸びているという。総務省の労働力調査(2013年)によれば、就労する65歳以上は636万人で過去最高。うちアルバイトや派遣などの非正規雇用は203万人を占めている。

背景にあるのは、少子化による労働力不足だ。2014年度の経済財政白書によれば、労働力人口はピークの6793万人(1998年)から2013年は6577万人に減少、女性や高齢者の雇用を促進しなければ、2030年にはさらに約900万人減ると予測されている。

モスバーガーも当初、高齢者のスタッフを雇用したのは「人手不足から」(広報担当者)で、積極的に高齢者の働き手を求めたわけではなかったという。しかし、雇用してみると、予期せぬ嬉しい“副産物”があった。

高齢者の方々は無遅刻無欠勤で非常に真面目に働いてくれる。それにお客様の反応も良かった。弊社は若い世代が中心の客層でしたが、同世代の方が働く姿に安心感があるためか、高齢者のお客様が増えるという相乗効果もありました」(同前)

同じファストフード業界では日本マクドナルドも60歳以上を「シニアクルー」として採用している。

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