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新しい婚姻様式の可能性“ポリアモリー”~2~

新しい婚姻様式の可能性“ポリアモリー”~1~ [1]の続きです。

複数人と同時に性愛関係を築く「ポリアモリー」とは? 浮気や不倫と異なる3つの理由 [2]|ウートピ より引用。

嫉妬とうまく付き合っていく

――頭では理解できたとしても、ポリアモリーを実践するにあたっては嫉妬心とは無縁ではいられない気もしますが……。

深海:わたしが調査で出会った方々の多くは、ポリアモリー実践において嫉妬を経験したことがあると証言していました。ポリアモリーにおいて嫉妬は大きな課題です。

実は、ポリアモリーのマニュアル本というのがあるのですが、そのなかでは、嫉妬で辛さを感じたときは自分で抱え込まずパートナーに相談することが奨励されており、パートナー同伴で専門家のカウンセリングを受けるケースもあります。このように、パートナーの嫉妬に一緒に向き合う姿勢は興味深いと思いました。

一般に、感情は個人的なのものと捉えがちですが、ポリアモリーの場合は皆で共有する“社会的なもの”という側面がみられます

また、ポリアモリストのなかには、嫉妬を「自分のために」「自分たちのために」活用する、という方もいました。一般的な嫉妬では、「なんで他の女とデートしたのよ!」といった感情が先行します。

しかし、私が出会ったポリアモリストは、「自分と彼がきちんと心を開いて話し合えていないかも」とか、「自分は彼とこれからも本当にやっていきたいのか」と自問するきっかけにしたり、自分たちの関係性を見直すきっかけにしたりしていました。つまり、嫉妬を排除するのではなく、嫉妬とうまく付き合っていこうとしていたのです。

――ポリアモリストは、冷静かつ客観的に自分を見られる方が多いのでしょうか?

深海:それもありますが、常識に囚われずに「思考する力」を持っている方が多いという印象ですね。人が人を独占することに疑問を感じたり、結婚制度そのものについて考えたり。「愛してはいけない人がいるなんておかしい」と思い、ポリアモリーの世界に興味をもったという方にも出会いました。

わたしに関して言えば、小学生のときに同時に好きな人が複数いることは「ふつう」でした。でも、いつの間にか1対1の恋愛スタイルが「正しい」と思うようになっていきました。わたしと同じような方は結構いると思われます。

一方、調査で出会った多くのポリアモリストの方たちは、1対1の恋愛スタイルを否定するのではなく、それを唯一正しい愛のかたちとするのでもなく、どうしたら複数の人と「きちんと」関係を築けるのか真摯に考えている方々でした。

変化を積極的に受け入れ、持続的な関係を築いていく

――本書では、嫉妬(ジェラシー)の反対語を「コンパージョン」と記されていました。これは、「愛する者が、自分以外のパートナーを愛していることを感じるときに生じるハッピーな感情」と解説されていましたが、深海さんご自身は「喜びを感じている自分を想像できない」と述べられています。1対1の性愛倫理を生きる人の多くは同じ意見を持ちそうですが、ポリアモリーの実践を続けるとコンパ-ジョンを得られるようになるのでしょうか?

深海:ポリアモリストであればコンパージョンを感じることができる、というわけではありません。コンパージョンに関するエピソードを収集していると、自分自身の心が満ち足りていて、幸せを感じている時に生じていることがわかります。あとは、パートナーのパートナーと、自分との関係も関係してきます。

以前は、「コンパージョンを感じている自分を想像できない」と思っていましたが、もしわたしの心が満たされ、さまざまな偶然が重なったときには、わたしもコンパージョンを感じることができるかもしれない、と今は思います。

――私たちがポリアモリーから学べる恋愛の教訓ってありますか?

深海:たとえば、変化を積極的に受け入れていくことでしょうか。1対1の関係の場合、関係の安定を好み、変わらないことが大切にされます。他方、ポリアモリーの場合は、変化し続けながらも持続的な関係を築いているケースが多くみられます。その際、大切になってくるのが、心を開いた状態でパートナーと交渉を重ねること。「いま、わたしは何を望むのか」という、自分の気持ちをきちんと伝えることです。

誰でも月日の経過とともに心も身体も変化します。自分と相手のさまざまな変化を受け入れて対応していくことは、「いま」を心地よく生きることにつながるでしょう。このようなポリアモリーの柔軟な姿勢は、1対1の関係においても大切だと考えています。

一夫多妻では無く多夫多妻なポリアモリー [3]に戻る。

■ポリアモリーを一生続けていければ社会システムになる

以前にシェア恋愛の話題を書いたが,まさにポリアモリーはシェア恋愛そのものだ。ポリアモリストのためのシェアハウスが日本で登場する日もそう遠くないだろう。

しかしこれを社会システム化していく上でとても大事なのは若い一時期だけ楽しみシェアハウスだけではダメだ。全員で子育てをし,ポリアモリスト同士で介護もしていくような成熟したポリアモリーのコミュニティが登場すれば,江戸時代の長屋モデルのような社会システムになり,キリスト教型の家族モデルから本来の日本らしい生活共同体としての家族像に移行できる。

もちろんダイバーシティが大事なので全員がポリアモリーになる必要は無い。従来通りの1vs1の恋愛でもよく,一夫多妻でもよい。

しかし,このn vs nの関係性が社会で一定のポジションをとれるようになれば,恋愛の自由度が高まり,童貞,処女は確実に減る。結果として子供の数も増える方向に行くだろう。日本でも本格的にポリアモリストが増えていくことを期待したい。

以上、引用終わり。

人とのつながりは、夫婦や親子間であっても、個人が所有・独占できるものではないと思う。また、所有・独占しようと思わなければ、嫉妬・束縛・過干渉といった閉塞的で互いに苦しい感情や行動も抑制される(もしくは生まれない?)のではないか。

人間関係能力は、社会的に必要なものであるが、それを維持し続ける原動力は、規範だけでなく、相手と自分との潜在思念の交感で得られる充足だとすると、生物学上の1人の父と1人の母、たった一人しか選べないパートナーと核家族を構築して、家族単位で個別に子育てから介護まで行うよりも、信頼のおける人たちと誠実に柔軟に充たし合う関係を構築して、みんなで充足も負担も分かち合った方がより充足しそうだとあらためて感じた。

ポリアモリストという選択も社会的に認められるようになれば、“父母、夫婦は一人だけ”という近代観念(思い込み)がとっぱらわれて、一対婚もあり、複数婚もあり、親が誰であってもみんなでみんなの子どもたちを見守り、働き、老いてからも子育て支援などの役割を担う、本来の日本らしい生活共同体が再生することで、子育てや介護のリスクや不安も解消される予感がする。

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