- 感謝の心を育むには - http://web.kansya.jp.net/blog -

株式会社高齢社:60歳から75歳の方しか雇わない、そんなユニークな企業の、取組みとは?(1)

なんと、こんな会社まで現れました。名前がまたすごい。

こちらも、堂々と「低コスト」が強みと言っちゃってます。「ただでも働きたい人がいるんだから・・・」

株式会社高齢社:60歳から75歳の方しか雇わない、そんなユニークな企業の、取組みとは?(1) [1]

高齢者に働く場と生きがいを提供することを目的として、高齢者の人材派遣サービス等を行っている、株式会社高齢社の上田研二代表取締役会長へのインタビュー記事を紹介します。
(2013-08-20)インフォアスリート社リンク [2]
宜しくお願いします。まず事業の概要からお聞かせください。

事業は人材サービス事業です。派遣や有料職業紹介事業ですね。
特徴は会社の名前の通り入社資格が60歳以上75歳未満、定年後の人達を対象に人材サービス業を行っているところです。年金併用型でワークライフバランスを取りながら、1人分の仕事を2人でワークシェアリングをするという形で行っています。
最初は自分のいた東京ガスグループを定年退職した人を雇って、東京ガスグループにサービスを提供することが多かったのですが、だんだんとそれ以外の社員や派遣先が増えてきています。

0000033198923601 [3]

なぜそのような特徴の会社を作られたのですか?

1つ目は、1993年私が55歳の頃にアメリカンスタイルの株主第一主義が日本でも強くなってきていたんですが、私はそれがどうも間違っていると感じて、やっぱり人を重視した会社が大事だと思っていました。資本主義に対して人本主義と呼ばれる、伊丹敬之さんが唱えている考えを、そのままではないんだけどそういう経営をしたくて、60歳になったら人本主義企業を作ろうと思ったんです。

2つ目は、1993年に橋本龍太郎さんが講演会で、少子高齢化社会がやってくると。高齢化社会がくるのは皆認識していたけれど、少子化がこんなに早くやってくるとは誰も認識してなくて、これからいろんな問題が出てくるだろうということを聞いて、これは高齢者が働く必要性が社会に出てくるなと思ったんです。若い労働力が今後10年間で500万人も不足する。それを補うには女性・老人・外国人・ロボットを活用しないといけないんです。でないと技能の承継や労働不足の問題が解決できない。

3つ目がですね、高齢者がリタイアすると、最初の半年間くらいは通勤しなくていいしノルマもないし喜んでるんですよ。ところが半年も経つと家にいると家族に邪魔にされ、やることのない“産業廃棄物”となってしまう。仕方ないから1日に5回も犬の散歩にいくと。いよいよ犬も嫌がる。そういう話を聞くと、働く場を作るのは非常に良い事だと思ったんですね。

産業廃棄物ですか。

去年の4月にカンブリア宮殿に出ましてね。そのときに高齢者の事を産業廃棄物って言ったものだから、先輩から“ひどいじゃないか”と電話がかかってきました。いや、そうじゃないと。産業廃棄物はレアメタルもいっぱいあるし今は宝の山、そういう意味で使ったんです。後付けで考えた理由じゃないです(笑)

働くことによって生きがいが出てくる。元気だから働くんじゃなくて、働くから元気になるんです。
そうすると経済効果もあるし、税収もでるし、健康保険料の収支も良くなるし、良い事だらけですよね。

強みはどこにあるのですか?

豊富な経験を活かした仕事ができる上に、低コストな点です。
例えば、私たちはクライアントから休日割増をいただいていないんですよ。派遣社員にも休日出勤手当を払っていません。定年した人は毎日が日曜日のようなものですから。
そうすると、その分コストが下がります。クライアントは嬉しい。クライアントの社員の方も土日休めると嬉しい。それに派遣社員の奥さん、旦那が日中ゴロゴロしてなくて嬉しい。そして高齢社は業績が上がる。その利益でもっと社会貢献ができて嬉しい。

土日の割り増しを付けないと良いことばかりです。これを販促手段にも使っているんですよ。

経営理念はどれくらいの時間かけて作られたのですか?

半年くらいかかったかもしれないですね。
定年した人に働く場と生きがいを提供する。人本主義を徹底する。低コスト、高品質、柔軟な対応力を武器にサービスを提供する。知恵と汗と社徳重視。
これが理念です。特に社徳。人に人徳があるように会社にも社徳があります。これがない会社とは取引しないんです。

会社の理念は、どう社員の方と共有しているのですか?

やはり良い品質の仕事を提供してもらって、高齢社ブランドを作っていかないといけません。
派遣社員の人達は、かつての部下が上司になる所に派遣されることもあるわけですから、定年前の感覚で態度が大きいと困ります。そこで、就労時のお願い事項という冊子を用意して、気を付けるべき点を共有しています。

0000033199069007 [4]

一度リタイアされた方々に、スキルを新しく学ぶ研修などは行っているのですか?

今は皆さんが60歳までに身に付けた経験技術知識を活かせる職場に派遣する事が中心です。
全く新しい仕事を覚えさせるのはかなり困難です。3年という派遣期間の制限もありますしね。

3年の制限は問題です。
65歳で定年になりますよね。派遣して3年経つと派遣の継続ができないわけで、そのとき68歳でしょう。68歳で次の職場を探すのはとても難しくてもったいないですね。制限を撤廃してくれれば75歳くらいまで働ける人はたくさんいますよ。だから65歳以上の人には例外を設けて欲しいと思っています。
問題と言えば、もうひとつは最低賃金制度があって、東京では850円です。70歳過ぎると、必ず能力も落ちますが、そういう人にも850円払わないといけないばかりに、派遣が決まらないわけです。タダでもいいから働きたいという人もいますし、最低賃金制を一律ではなくて、70歳過ぎれば600円でいいとか、柔軟な法律にして欲しいです。

(つづく)

[5] [6] [7]