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新たな保育の可能性7~共同体での子育て事例

当ブログhttp://web.kansya.jp.net/blog/2010/07/001076.html [1]でも以前紹介されている、『木の花ファミリー』を改めて紹介します。富士の裾野の大自然の中、循環型農業を営む大家族=共同体を実現した集団で、今回は特にその「子育て」に焦点を当てて紹介します。

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「木の花ファミリー」とは?

1994年、人と人とが支えあい、互いを活かしあう暮らしを志した20名の仲間たちが富士山の西麓に移住、ファミリーの前身となる「木の花農園」を創立。メンバーはみんな農業未経験。何もかもが手探りのまま、失敗を繰り返し、地域の人々にも助けられながら一つひとつを築き上げていく中で、メンバーたちは助けあって生きることを学び、世代や血縁の枠を超えた“家族”としての絆が生まれました。

20名で始まった木の花農園。互いを思いやりながら自然の流れに沿って生きるその暮らしは、徐々に口コミで広まり、年を追うごとに訪れる人が増え、2006年頃からは、ITやアート、国際的な活動など様々な分野に精通したメンバーが次々と加わり、その活動が確実に「農園」の枠を超えたことから、2007年4月、「木の花農園」から「木の花ファミリー」に改名。そこには、この世界のすべての存在を家族とする想いが込められています。

メンバーたちは、田んぼや畑仕事、料理や子育て、オフィスワーク、地域の便利屋、音楽活動など、それぞれの能力がもっとも活かせる役割を担い、年を取った人も障害のある人も自分の力を最大限に発揮して、日々を生き生きと過ごしています。

何もないところから始まった暮らしは、今や100人近いメンバーの食べものをほぼ100%自給自足できるまでになり、近隣および全国へも農産物の直販を行なうようになりました。
2010年には体験型宿泊施設として「木の花庵」を開業し、年間1000人以上のゲストをお迎え、その温かい絆の中で、うつ病などの「ケア滞在」をする方の多くが回復、社会復帰をとげています。
大人数が共に暮らしながら生活に必要なものを共有し、循環型農業による自給自足を基本とすることで、日本人平均の3分の1の環境負荷(エコロジカル・フットプリント*)の生活を実現、「すべてが家族」― そんな生き方を、日々の中で楽しく実践している。

画期的なエコビレッジとして世界的にも注目されており、イギリスの雑誌「リビングライトリティ」に掲載されたようです。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=259360 [3]

 

では、このような最先端を行く共同体での子育てとはいかなるものでしょうか?以下、http://www.konohana-family.org/ [3] から転載します。

トップ [4]

●ファミリーの子育ては、血縁を超えた大家族の絆の中で行われます。
木の花ファミリーには現在、0歳の赤ちゃんから高校生まで23人の子どもたちが住んでいます。大人たちはみんな、自分の子ども、誰かの子どもという区別をしない平等な心を大切にし、みんなで子育てを分担しています。子どもたちは、たくさんの大人たちに見守られて、多様な視点の中で育ちます。

●「社会の子ども」として
日々の暮らしの中で大切にしていることは折にふれて伝えていますが、特殊な教育をすることはなく、子どもたちはみんな地域の保育園や学校に通っています。学校を卒業した後の進路についても、コミュニティ内に残ることを求めたり制限をかけたりすることは一切なく、それぞれが能力に応じた多様な進路を選択できるように、家族みんなでサポートしています。子どもは私たちの所有物ではなく、社会の子どもであると考えるからです。

●子どもミーティング

children-mtg-260x160 [5]木の花ファミリーでは、ファミリーみんながそろっての夕食の後に、毎晩「子どもミーティング」を開いています。子どもたちはその日にあった出来ごとや気付いたことなどをみんなの前で報告し、大人も交えて、活発に意見を交換し合います。2歳の子が「おさんぽにいきました」と教えてくれるかわいらしい報告もあれば、高校生からの「携帯電話を持ちたい」という相談もあり、時には1時間以上かけて、大人と子どもが真剣に話し合います。そんな中で子どもたちは、自分の想いをしっかりと相手に伝えることを学び、多様な意見に触れることで他者を尊重することを自然と身に付けていきます。ファミリーを訪れるゲストともすぐに打ち解けて仲良くなれる子どもたちの様子に、ゲストから驚かれることもしばしばです。

●子育ては、子どもに育てられること

kids-and-childcareteam-260x160 [6]子どもは、私たちの姿を映し出す鏡。大人たちは日々子どもと接する中で、相手の反応を見て自分の姿勢を振り返る、ということをしています。ファミ リーには、小さい子たちの日常の世話をする「子育てチーム」がありますが、このチームは別名「子に育てられチーム」と呼ばれています。子育てを通して、大 人たちもたくさんの学びをいただいているのです。
ファミリーには子育ての相談に訪れる方もたくさんいらっしゃいますが、数日間の滞在のうちに子どもとの適切な距離感を学び、自らの姿勢を改めること で、関係が劇的に改善していきます。子どもはいつでも、その瞬間に感じたことを忠実に表現し、私たちの姿を正確に映し出して多くのことを教えてくれます。私たちよりもさらに進化した時代を生きる彼らは、未来からやって来る教師なのです。
===以上転載

未来からやって来る教師』とは、全くその通りだと思いました。活き活きと日々を送る大人や子供たち、そんな情景が眼に浮かびます。そんな木の花ファミリーが開催するイベントに参加して実体験された方のレポートを紹介します。

http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=206752 [7] より

基本的にみんなが家族であるので、子どもたちは、生みの親こそいるものの、特定の個人の子どもではなく、皆の子どもとして育てられている。

実際、誰が誰と誰の間の子どもなのかというのは区別できなかったが、大人も子どもたちもそれをすんなりと受け入れている様子だった。部屋も個人の部屋はないに等しく、同じ部屋に何人かが共同生活をしている。

驚いたのは、子どもたちの人懐こさと言語表現力の豊かさだが、これも共同で保育されていることと、子どもながら料理や畑仕事を手伝うという役割の賜物だろう。

いかがでしたか?木の花ファミリーは外部に対して閉鎖された集団ではありません、むしろ現代社会の歪に精神を病んだ人達を初め、誰でもウェルカムな共同体を形成しているといえます。そのような共同体で様々な大人達に接し、固定された価値観に染まることなく、何と言っても他では得難い大自然に包まれて、すくすく育つ、心豊かな子供たちをイメージできるのではないでしょうか。

木の花ファミリーの場合は、農業と言う生産様式を軸に集団化し、共同体を形成していますが、他の生産様式(即ち一般企業)でも共同体化が出来れば、同様の子育ては可能であると考えます。都会の真ん中でこのような企業集団が生まれれば、様々な可能性が開けそうです。

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