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新たな介護の可能性 7.地方活性化と高齢者の役割創出の可能性

神山町 [1]

写真はこちら [2]よりお借りしました。

みなさんこんにちは。お盆は田舎に帰省されたでしょうか。

さて、私の田舎の東北地方は過疎化が深刻な地域が多いです。私の田舎の隣村に住む祖母は現在一人暮らしで、昔はメロンやスイカを作って出荷していましたが、今は農業を引退して年金暮らしをしています。でもまだまだ元気です。

地域をみても、若い人がどんどん地方を離れ過疎化が進んでいます。農業も廃れ、このままでは村の存亡の危機さえ感じます。村は自然が豊かで、おいしい作物が作られ、祖母が作る料理も美味しいものばかりでした。正直もったいない思いがあります。このような地方の良さと元気な高齢者を活かし切れていない地域は日本中にあると思います。

そこで今回は、地方活性化と高齢者の役割創出を考えるべく、それら取り組みが上手くできている事例を紹介し、今後の地方と高齢者の取り組みのヒントを得たいと思います。

「食」を通じて地域づくり、人づくり~農村レストランが女性たちの交流拠点に~

地域づくり団体探訪 熊本県人吉市有限会社 ひまわり亭の事例http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/book/monthly/1304/html/r03.htm [3]

ひまわり亭② [4]

写真はこちら [5]よりお借りしました。

農村レストランを開業

本田さんが地域づくりに携わるきっかけとなったのは、夫の勧めで参加した地元の異業種交流会だった。そこで地元の若い経営者や全国各地のまちおこしグループの人たちと交流する中で、自分も何か地域のために活動したいと思い、地元の主婦仲間に声をかけ、平成元年にボランティアグループ「ひまわりグループ」を結成した。そして、一人暮らしの高齢者への声かけを兼ねた手づくり弁当の宅配や郷土料理の伝承・創作等の勉強会、地域のイベントに手づくりの料理を作って参加するなどの活動を始めた。

こうした活動を通してグループのメンバーは、食の大切さや地元の農産物のありがたさ、お年寄りの経験や知恵はかけがえのないものであることを強く感じるようになる。また、同時に「生涯現役で生きがいになることをやりたい」という思いや「活動する女性たちの拠点が欲しい」という話が出るようになり、平成10年に農村レストラン「ひまわり亭」を開業する。

 キーワードは「もったいない」

ひまわり亭のコンセプトは「もったいない」である。地域にあるものを活かさないのはもったいないとの考えから、女性やお年寄りの知恵・経験・技・感性を活かすべく、スタッフは女性高齢者を中心に採用し、建物は築120年の古民家を移築、開店当初はスタッフがそれぞれの自宅から鍋や茶碗、湯のみ、座布団などを持ち寄った。そして、料理には地元でとれた食材を使い、できるだけ無駄なく使いきるようにしている。

地域づくりの拠点として

「ひまわり亭はレストランをやることが目的ではない。地域づくりの拠点であり手段となっている」と本田さんは語る。農村レストランの経営というコミュニティビジネスを立ち上げたことで、自立した活動が継続的にできるようになった。そして、みんなが集まれる場所ができたことで、様々な人たちが集まるようになり、地域づくりのネットワークがどんどん広がっている。そうして地域内がうまくつながり、循環していくまちづくりを本田さんは目指している。

ひまわり亭① [6]

■「住民ができることは住民がする」を基に、集団再生により地方活性化と役割創出を実現

秋津野ガルテン http://agarten.jp/garteninfo/gaiyou.html [7]

秋津野ガルテン① [8]

写真はこちら [7]よりお借りしました。

秋津野ガルテンの概要

田辺市上秋津地域に平成20年11月1日オープンした秋津野ガルテンは、大きなクスノキと旧上秋津小学校の校舎がシンボルとなっています、都市と農村地域の交流を楽しむための体験型グリーンツーリズム施設です。(※ガルテンとはドイツ語で庭)

地元のお母さんたちがつくるレストラン

農家レストラン「みかん畑」は、一流のシェフがつくるレストランではありません。地元の野菜や旬の山菜を使った食材を使い、地元のお母さんたちが料理をつくるスローフードのレストランです。お母さんたちは、地産の食材を知り尽くし、どなたでも楽しんでいただける、おもてなしの家庭料理のプロフェッショナルです。(後略)

秋津野ガルテン② [9]

写真はこちら [7]よりお借りしました。

みんなでつくった秋津野ガルテン 

秋津野ガルテンを運営する農業法人株式会社秋津野は、全株主の半分以上、そして取締役員の3分の2以上が農業者です。出資者は489名で資本金5180万円でソーシャルビジネスで地域の活性化のための事業を行う株式会社です。(中略)

「得られた収益は、地域全体の公益のためだけに使う」ものとして、教育の振興や住民福祉、環境保全等の活動に対して財政支援を行うなど、自主性を尊重するとともに住民同士が一つになった現在の村づくりの基礎を形成しました。

人の和はその後もさまざまな組織や運動へと広がり、生産農家と住民との交流イベントの実施や環境への取り組みなどがおこなわれました。また地元を支えてきた農業に関しても、多品目の周年収穫体制の確立や農道の整備や集落の排水事業など、地元のみんなが参画し、みんなで行う全員参加のまちづくりを行ってきたのです。

地域課題解決にソーシャルビジネス

「いたずらに行政をあてにするのではなく、住民ができることは住民がする。そして必要に応じて行政の支援・協力を仰ぐ。多くの住民の総意は行政を動かす力になる」ことを、これまでの地域づくりで住民が経験し学んできました。今、農業を取り巻く環境は厳しく、廃園や遊休地の増加、担い手や労働者不足など、さまざまな問題があります。しかし農業があるからこそ柔軟な雇用の創出が可能になるのではないか。グリーンツーリズムはその解決法のひとつとして注目されています。

役場を「住民総合サービス株式会社」と位置づけ、大胆な行財政改革と産業創出に取り組み、官が本気になって地方活性化と役割創出を実現した例

「ないものはない」離島・島根県海士町に人が集まる秘密とは? 「役場は住民総合サービス会社」という山内  道雄町長の改革

http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/07/ama_n_4232760.html [10]

海士町① [11]

写真はこちら [10]よりお借りしまた。

「ないものはない」。日本海の島根半島沖合約60キロに浮かぶ隠岐諸島、その島のひとつである島根県海士町を訪れると、まず迎えてくれるのはこの言葉だ。

コンビニエンスストアがない。ショッピングモールもない。本土から船で2、3時間かかる離島の暮らしは都市に比べ、確かに便利ではない。それにも関わらず、人口約2400人のうち、島外から移住してきた人は1割に及び、その多くが20代から40代の働き盛り。少子化で統廃合寸前だった高校にも、全国から生徒が入学し、2012年度から異例の学級増となっている。

離島の異変はそれだけではない。魚介の鮮度を保ったまま都市に出荷できる「CASシステム」を第三セクターに導入、豊富な海の幸を商品化して全国で人気に。島で育てた隠岐牛やブランド化した「いわがき・春香」なども都市の市場で高い評価を得ている。

海士町は確かに不便な離島だが、「ないものはない」というその言葉にはこんなメッセージが込められているという。「地域の人どうしの繋がりを大切に、無駄なものを求めず、シンプルでも満ち足りた暮らしを営むことが真の幸せではないか?何が本当の豊かさなのだろうか? 東日本大震災後、日本人の価値観が大きく変わりつつある今、素直に『ないものはない』と言えてしまう幸せが、海士町にはあります」

■まとめ

以上みてきたように、地方活性化と高齢者の役割創出を実現している面白い事例だと思います。地域と高齢者が主体的に取り組んでいることがわかります。特に地方は、豊かな自然を基盤に、基幹産業、伝統工芸、農業など継承すべきものが豊富で、若者とのコラボの幅も広いと感じます。

ここで、なぜこのような取り組みが可能なのか気になります。紹介した地域や高齢者の原動力を考えてみると、以下が挙げられると思います。

共通:豊かな自然のもと暮らしたい。集まってやることの楽しさ。交流を通じて食の大切さ、地元農産物のありがたさ、お年寄りの経験や知恵のかけがえのなさを感じた。生涯現役で生きがいになることをやりたい。

・農村レストランひまわり亭:⇒集団再生、自給志向、節約志向

・秋津野ガルテン:市場の矛盾・限界⇒集団再生、お上に頼らない

・海士町:⇒自然回帰・健康志向

また、共通意識として市場社会に矛盾を感じ、脱市場に可能性を感じていること。自給・節約志向にみられるような自然再生と、集団再生(核家族の限界)を試みていることがいえるのではないでしょうか。また、お上に頼らず出来ることは自分たちでやるという意識も顕在化しています。より、本源的な社会を実現したいという意識が高まっていると感じます。

さらに、豊かな自然を見直し、自分たちの町、村を盛り上げたいという強い意志が、若者や他の高齢者、企業や自治体にも伝わり、賛同し集うことが実現していると考えられます。

今回紹介した事例以外にも、まだまだ地方活性化と高齢者の役割創出の可能性はあると思われるので、今後も追求していきます!

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