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【コラム☆感謝の杜】子育ての原点~ 一緒にいて、肌と肌をふれ合わせ、同じものを見る

充ち足りた日々も学びから☆+゜~コラム☆感謝の杜(かんしゃのもり)ですm065.gif

 今回は再び、子育てに焦点をあててみたいと思います。子どもを育むということ、その原点を探りにいきます☆

 >昭和40年から保健所で母子健康手帳とともに配られるようになった「赤ちゃん」という本に、「赤ちゃんは1人で寝かせましょう。添い寝もいけません。だっこも、おんぶも程ほどに・・・」と日本式育児を否定し、西洋式育児を推奨する内容が書かれていました。(西洋式育児から日本式育児へ [1]

 以前のコラムでふれた、この「スキンシップは控える」西洋式の育児。生物学的に考えてみても異質なようで、その子育て手法は直接の祖先であるサル類ではなく、なんとウサギ類に近いそうですm196.gif

では、本来のヒトの子育てってどんなもの??m024.gif

伝統的社会(未開部族)に見る、乳幼児とのスキンシップ [2]:※『昨までの世界 文明の源流と人類の未来』(ジャレド・ダイアモンド著、倉骨彰訳/日本経済新聞出版社より、以下枠内抜粋

 

授乳頻度に関連するのが、赤ん坊が大人と一緒に(とくに母親と一緒に)過ごす時間の長さの、哺乳動物の種による違いである。間隔をあけて授乳する動物の場合、乳児は、授乳時などのごくわずかな時間を母親と一緒に過ごすだけである。いつでも授乳をする動物の母親は、自身のために食べ物を探すときも赤ん坊と一緒である。チンパンジーや旧世界ザルの母親は、背中に赤ん坊を乗せて移動する。

 

ちんぱんじー親子 [3]画像はこちら [4]より

(子どもの視線の先は、母と同じ世界)

現代の西洋工業化社会における、大人(おもに母親)と赤ん坊の時間の過ごしかたは、赤ん坊と母親がいつも一緒にくっついていない、というウサギやアンテロープのパターンを踏襲している。西洋の国家社会においては、母親(やだれか別の大人)が、ときどき赤ん坊を抱え、食事を与えたり、一緒に遊んだりはするが、母親と赤ん坊がつねに行動をともにするわけではない。赤ん坊はふつう、日中はゆりかごやベビーサークルのなかにいることが多く、夜はベビールームのベビーベッドのなかで、ひとりで眠ることが多い。

ゆりかご赤ちゃん [5]画像はこちら [6]より  

(子どもの視点の先は、おもちゃ)

 

一方で、ヒトの子育てとは本来どんなものなのか。原点を探るため、未開部族に着目してみます。西洋式育児の異常性がより明らかになってきます。

 

現代の狩猟採集民の生活を観察調査した結果もまた、日中の赤ん坊が、母親にずっと抱かれているか、別のだれかに抱かれているかのいずれかであることを示している。移動時も、たとえば、クン族の母親は赤ん坊をベビースリングで一緒に連れて移動する。ニューギニア人の母親は赤ん坊を網製のキャリーバッグに入れて移動する。北米の先住民の母親は、赤ん坊をゆりかご板にすっぽりおさめ、一緒に移動する、といったぐあいである。

アフリカおんぶ [7]画像はこちら [8]より

(アフリカのおんぶ)

日本おんぶ [9]画像はこちら [10]より

(日本 肌と肌がふれあっています。)

 

また、狩猟採集民、とくに温暖な地域に住む人々のあいだでは、赤ん坊とのスキンシップを介護者がつねに心がけ、実践しているところが多狩猟採集民の母親と赤ん坊は、ふつうは同じベッドやマットの上で隣り合わせで眠る 、これは高等霊長類の母親と赤ん坊の関係においてみられる特徴と同じである。九〇の伝統的社会を調査し、その文化を比較研究した結果をみるかぎり、母親と赤ん坊が同じ場所で寝ていない例はひとつとしてみつかっていない。現在、西洋社会で実践されている、母親と赤ん坊が別の場所で寝る習慣は、最近になって発明された方法であり、しかも、この方法のせいで西洋人の親たちは子どもの寝かしつけに苦労させられているのである。アメリカでは、小児科医の推奨によって、両親と赤ん坊が同じベッドで寝てはいけないとされている。

たとえば、クン族の赤ん坊は、生後一年間の九〇パーセントを、母親やその他の介護者とのスキンシップについやしている。クン族の母親は、どこにいくにも子どもを抱いている。母親が抱けないあいだは、だれか他の大人が子どもを抱っこする。クン族の子どもは、生後一歳半ほどになると、頻繁に母親のもとを離れるようになるが、それも他の子どもと遊びたいがための行動であって、親離れのタイミングも、子どもが主導権を握り、自然に決まることが多い。さらにいえば、クン族の子どもが母親以外の介護者と接する時間のほうが、現代の西洋社会の乳幼児と、母親を含む大人とのスキンシップ時間よりも長いm051.gif

ベビーカーは、西洋社会で乳幼児を一緒に連れて移動する際に、もっとも一般的に使われる道具のひとつである。しかし、ベビーカーでは、押し手の大人と乳幼児のスキンシップはほとんどないに等しい。さらに、ベビーカーによっては、乳幼児はあお向けの水平に近い姿勢で乗せられる。ときには、押し手の大人に顔が向くように、進行方向とは逆の方向に顔を向けて寝かされる。つまり、乳幼児の視界が押し手の視界と逆向きになっていて、ふたりが同じ世界を同時にみないのである。

ベビーカー [11]画像はこちら [12]より

顔の向きがこれとは対照的であるのが、伝統的に実践されてきた、ベビースリングおんぶといった方法による移動である。この方法ではふつう、介護者が乳幼児を座ったままの姿勢でまっすぐ抱き上げ、視界を進行方向に向かせ、乳幼児と介護者の視界が同じになるようにして移動する。つまり、クン族の社会では、乳幼児と介護者が移動中もつねにスキンシップを保ち、乳幼児と介護者が視点をともにし、乳幼児はまっすぐ抱き上げられた姿勢で移動する。これらは、クン族の子どもの運動神経が、ある面においてアメリカ人の子どもより発達している理由かもしれない。

 

人工ミルクに、ベビーベッド、ベビーカー…大人にとって便利な子育てグッズはたくさんありますが、それはたいてい大人の都合のためにつくられているものですね。

>母親と赤ん坊が同じ場所で寝ていない例はひとつとしてみつかっていない

>乳幼児と介護者が移動中もつねにスキンシップを保ち、乳幼児と介護者が視点をともにし、乳幼児はまっすぐ抱き上げられた姿勢で移動する

一緒にいて、肌と肌をふれ合わせ、同じものを見る。これが子育ての原点!そうすることで、子どもは絶対的な安心感を得ながら、大人と同じありのままの現実世界を学び、大人の行動を注視して真似していきます。こうして子どもは“すくすく”育っていくんですね。m194.gif

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