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『安心基盤をつくっていくためには?』:「食」への期待6~「食」を取り巻く新たな試み①

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新年明けましておめでとうございます!

昨年は本当に忘れられない年となりました。
震災原発事故を契機に、今まで以上に「安心・安全」というものの重要性、大切さを見つめ直す年だったように思います。

失われてしまった日本の 「安心基盤」を再構築するためにも、当ブログも昨年以上に追及していきますので、2012年 もどうぞよろしくお願い致します!

それでは、本文です。

『安心基盤をつくっていくには?』:『「食」への期待』シリーズということで、これまで以下の記事をアップしてきました。
1.食卓に迫る放射能の危機  [2]
2.腐らない農産物の正体 [3] 
3.遺伝子組み換えの仕組みと人体への影響 [4] 
4.驚愕の「白い粉」。食品添加物の実体に迫る [5] 
5. 骨抜きにされる法規制① [6] 
骨抜きにされる法規制② [7]

「食」を取り巻く状況がいかに危機的だったのかその実態をお送りしてきたわけですが、今回は、食にまつわる新しい取り組みを全2回で紹介したいと思います。特に消費者、生産技術、流通から見た新しい流れに注目し今後の可能性を探っていきます。今回お送りするのは①②までです。

①変わる消費者の意識
 ・安心できる食材を求めてネット通販へ
 ・食欲から食抑へ 企業の社員食堂レシピ本がヒット 

②変わる生産技術 
・微生物触媒による放射線除染浄化分解技術

③変わる食の流通(コンビニ・スパーマーケット)
 ・食品添加物が少ない、店内調理するコンビニへ
 ・店内で栽培した野菜を食材に 店産店消のファーストフード
 ・「地域の食育」を担うスーパーマーケット
 ・「地産地消」のスーパーマーケット

④食を通じた新たな繋がりの萌芽 
・レシピコミュニティーサイトで情報共有→共同体の再生へ
 

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①変わる消費者の意識
■安心できる食材を求めてネット通販へ 拡がる宅配野菜

3.11の震災以降、「食の安全」に対する意識がいっそう高まる中、産地や添加物を確認する方や、スーパーなどで地元の農家さんが生産した野菜のコーナー、無農薬野菜ショップなどを利用されている方が増えています。

しかし、肝心の放射性物質の検査には多大な時間とコストがかかるので、現時点では「検査の予定はございません」 「国の規制値に従っております」「ご要望が多いので、検討したいと思っております」と答えているところがほとんどです。

子育て世代を抱える消費者は、食材の放射能汚染が拡がり続ける状況の中で、より安全性の高い食材を求めてネットで食材を宅配するサービスに収束し始めているようです。

生鮮野菜の宅配大手のある会社では震災後、放射性物質の自主検査体制を構築し、安全対策を実施したところ野菜の「注文品」が4.9%増加したそうです。(財経新聞より→リンク [8]

そこで独自に放射性物質の検査を行って数値をサイトで公表したり、国の暫定規制値よりも厳しい基準値を設けたりと、対策がしっかりされている宅配野菜サービスを比較してみました。今のところ、Oisix(おいしっくす)、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやが、独自にきちんと対策されているようです。

【オイシックス】 リンク [9]

検査する方法:自社による全アイテム検査
放射性セシウムの基準値:370Bq/kg
(国の規制値=500Bq/kg)
特徴:多くがサンプル検査なのに対し、全てを毎日検査している

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【大地を守る会】リンク [11]
検査する方法:自社による青果物全品目検査 及び外部検査機関サンプル検査
放射性セシウムの基準値:10q/kg
(国の規制値=500Bq/kg)
特徴:測定データの公表。放射能不検出のみを扱う商品あり
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【らでぃっしゅぼーや】リンク [13]
検査する方法:外部検査機関と自社によるサンプル検査
放射性セシウムの基準値:牛乳・乳製品20Bq/kg その他は50Bq/kg
(国の規制値=500Bq/kg)
特徴:厳しい基準値(国の10分の1)を設定。作付前の土壌も検査対象にしている。
[14]

【パルシステム】リンク [15]
検査する方法:外部検査機関と自社によるサンプル検査
放射性セシウムの基準値:牛乳・乳製品40q/kg その他は100q/kg
(国の規制値=500Bq/kg)
特徴:自前の機器を導入し検査精度を上げる努力をしている。 [16]

今後ネットで食材を買うという新しい流れは、さらに広がっていくことが予測されます。産地偽装食材の放射能汚染の問題を契機に、消費者側も安心できる安全な食材を求める意識がますます高まっています。産地や値段だけを気にしていた消費者も、今や 生産者側の生産プロセス、管理体制、流通経路にまで目を光らせるようになっています。

これは、単に商品を買うだけだった消費者からすれば、大きな意識転換 です。

取り組み方次第では、分断されていた消費者と生産者との関係回復や地産地消の流れも作り出せるように思います。また今後も消費者の意識が大きく変わっていけば、食材を流通させている企業のサービスも良い方向に変えていける可能性も見えてきます。

■食欲から食抑へ 企業の社員食堂レシピ本がヒット
企業の社員食堂レシピを掲載した珍しい料理本がヒットしています。体脂肪計シェアナンバーワンを誇る「タニタ」(東京都板橋区)を取り上げた『体脂肪計タニタの社員食堂 500kcalのまんぷく定食』 (1200円、大和書房)。食堂で出されているメニュー31品のほか、実際に“やせた”という社員の声も掲載され、説得力抜群。1月末の発売から約2か月で、すでに8万5000部を発行し、“健康的にやせられる料理本”として注目を集めている。
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タニタの社食では100以上あるレシピの中から、メインと2種類の副菜、ご飯と汁物がセットになった定食を毎日1種類提供している。そして、メニューには3つのルールがあるのだとか。①平均500Kcal②野菜を100g~200g使用③塩分は3g前後 このルールを守って、みんなが満足する美味しい味になるよう、調理には小さな工夫がたくさん凝らされています。

またタニタは、カジュアルダイニングを展開する株式会社きちりと業務提携し、レストラン事業を展開することで合意したと発表しています。その旗艦店舗となる「丸の内タニタ食堂」を、2012年1月に丸ノ内国際ビルディングにオープンする。

同食堂はタニタ社員食堂のコンセプトを忠実に再現したメニューを取り揃えているだけではなく、業務用の体組成計を備えたカウンセリングルームも設け、常駐する管理栄養士など(営業時間内)がアドバイスを行うサービス(無料)も提供する「新業態のヘルシーレストラン」 (タニタ)。

この事例も、消費者の意識が大きく変わってきていることが垣間見えてきます。
これは本能を過剰に満たす快適な生活や豊かすぎる食生活の弊害(成人病、癌の増加等) が明らかになるにつれ、それを見直そうという潜在思念が無意識のうちに働いているからなのでしょう。

今や「もったいない」という節約意識を超えて、食欲をはじめとする本能の抑制に向かっている ように見えます。それこそが一番健康になる方法だと気付き始めているのかもしれません。

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②変わる生産技術  
■微生物触媒による放射線除染浄化分解技術
食材の放射能汚染が拡がり続ける中、農業の生産技術においても新たな動きを見せています。高嶋開発工学総合研究所が研究している技術で微生物の力を利用し放射線の除染浄化分解するというものです。すでに福島川俣町山木屋の5000坪の実証現場では、放射性物質分解消去実験が開始されています。 [18]
 ブログによれば、

「この度の福島県の計画避難地域内で、複合微生物動態系解析による複合発酵を用いた微生物触媒により除染浄化分解が証明されています。なお、経済産業省の副大臣、総括審議官等から「表土の除染と浄化は分かりましたが、元素の軽減・消失・分解は理解できないので、土壌深部に溜まっているのではないか、その調査をしていただけますか」との依頼があり、最終報告書のとおり、法律上のボーリング測定法を用い、第三者機関により地下3mまで50㎝刻みでボーリングサンプル採取し、公的機関の同位体研究所により核種分析を行った結果、すべてN.D.で、放射線エネルギー量は自然放射線量以下であることが証明されております。」

と書かれています。また埼玉県の日高市で、高嶋博士の複合発酵技術を応用した水の浄化と堆肥活用で養豚業を行なっている、柳田ファームという農場があります。柳田さんは、高嶋博士の協力の元、試行錯誤を繰り返しながら、微生物等を利用した複合発酵による汚水の自然浄化システム等を実用されているそうです。

原発事故による放射能汚染の拡がりから、EMBCに注目が集まっていますが、このファームでは実際に複合微生物動態系解析による複合発酵(EMBC情報微生物工学)を活用して、無抗生物質・無薬品の畜産を実現されています。

東北の被災地では震災以前と比べれば風評被害や放射能による土壌汚染、水質汚染により、農業は壊滅的な状態が続いています。こうした技術の確立が可能になれば、再び消費者と生産者との信頼回復も可能性が見えてきます。被災地の農地を再生する技術として今後も注目していきたいと思います。

㈱高嶋開発工学総合研究所による公式ブログ→リンク  [19]
現地での測定と証明の最終報告書加筆修正版(PDF)→リンク [20]

「食」を取り巻く新たな試み②に続く

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