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【男の居場所はどこにある】 ~私婚関係から私権の共認へ(1)~

東北地方太平洋沖地震が発生してから2週間が経過しました徐々に被害状況も報告され始め、現地の過酷さが見えてきました。現地の人々は今、集団となって被災地の復興に向けて努めています。

この集団の中から自己中行動をとる人はほとんどおらず、集団すべての人が周りの事を考え行動しています。被災地の現場に向かい闘っている男性たち、その男性たちをサポートするために避難所で食事を作っている女性たちなど、集団の中で役割分担して行動している姿が被災地で見られます。

このような場で食料を独り占めしたり、掠奪したりする人たちはいません。このように大災害という外圧という現実を受け止め、みんなが共同生活を送る中で、自然に男女役割共認が形成されていることに可能性を感じます。

一方で、今日までにウランなどの放射性物質を有する原子力発電所を次々建設し、利権を優先させたことで、今回の原発問題を生み出しています。このような私権意識によって原発問題はじめ、社会でさまざまな問題を生起させています。

今回は、私権意識がどこから出てきたのかを見ていきたいと思います。

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まずは、私権意識の起源に迫ってみたいと思います。私権意識の起源は牧畜であるといわれていますが、そのきっかけは一体何で、その後どのように意識が変化したのでしょうか。

「3/13なんでや劇場(1) 牧畜によって何が変わったのか?」 [1]

それまでの原始共同体から、牧畜が登場することによって何が変わったのか?

狩猟→牧畜が登場した理由は、森林よりも貧しい草原において牧畜によって生産性を上げるためである。狩猟で食えるのであれば牧畜は登場しない。

農耕→牧畜というルートもあるという説があるが、それも狩猟部族に農耕が伝わって、部分的・補助的に農耕をしていた部族である。∵牧畜の起源である追い込み猟→囲い込みは狩猟部族しかできない。

牧畜が登場することによって、何が変わったか?

①これは栽培も同じだが、牧畜によってはじめて、常時蓄積された財が登場する。それ以前も例えば、洞窟に動物の死骸の骨を溜めることはあったはずだが、そこでは財という意識はなく、収穫物の蓄積財が登場してはじめて財産意識が登場したであろう。

②もっと大きな転換は、動物を飼い馴らすという自然の摂理に反する行為が登場したことである。
それまでは自然(動物)は畏敬の対象であり、生命をいただく代わりに感謝の念を捧げていたわけだが、その自然を人間が飼い馴らすというパラダイム転換が起きた。

牧畜では家畜を制御・統制する必要があるが、それはアメとムチによって家畜を支配することと同義である。また、去勢をはじめ性を抑制・管理してゆくが、それらは自然の摂理に反する相当残虐な行為である。このような家畜の制御・統制→アメとムチ→去勢という自然の摂理に反する行為を通じて、家畜を管理・支配する部族に残虐性が刻印されていった可能性も考えられる。

蓄積による財産意識の芽生えと自然の摂理を反し、家畜の制御・統制を取ることが現在の私権意識の起源といえそうです。

では、次に牧畜部族→遊牧部族へと変わる中で、意識がどのように変化したのか見ていきたいと思います。

「3/13なんでや劇場(2) 遊牧によって何が変わったのか?」 [2]

牧畜という生産様式は世界中の至る所に存在するが、遊牧は中央アジアから東アジアにまたがる広大な草原ステップの帯の地帯にほぼ限定されている。ここは乾燥度が高く、家畜の餌となる植物が少ない。そういう生産力が低い地域で牧畜→遊牧に転換したのである。

中略

遊牧になって何が変わったか?

①母集団と遊牧男集団という重層社会に変わる。

②婚姻制が母系婿入り婚→父系嫁入り婚に転換し、同時に母権集団→父権集団に転換した。

③人類500万年間、女たちは女集団の中で生きてきた。母系の段階では女たちの生まれ育ちはみんな一緒であったが、父系になるとそれぞれの集団の女たちの出自はバラバラなものになる。女たちの共認充足空間の中に隙間風が吹くようになり、とりわけ、嫁取り交渉では集団の財が多い方が交渉が有利に運ぶので、各氏族の蓄財意識が高まってゆく。こうして出自の違う女同士の間で私益の対立が発生しはじめる。これが相対自我の芽生えであり、遊牧→父権転換(嫁取り婚)から自我が発生したと考えられる。

牧畜部族から遊牧部族へと変わったことで、より私権意識は高まっていきます。

当初、集団のために不足する食料を補うために派遣された遊牧男集団でしたが、充足存在のいない集団で長期にわたる遊牧生活をすることには、とても耐えられませんでした。

これが、父系嫁入り婚という婚姻制転換へのきっかけになっています。

この父系嫁入り婚転換をきっかけに嫁(女性)も私権獲得の対象となったことで、後の男女対立構造を生み出していくことになります。

今回は、牧畜部族から遊牧部族の私権意識の変化を見てきて、突如私権意識や自我が芽生えたわけではなく、自然の摂理を反して家畜という財を蓄え始めたこと、男女の親和充足空間を失ったこと、婚姻制度の転換という経緯を経たことで、私権意識を高める方向に向かわせたことがわかりました。

特に、婚姻制度の転換は人類にとって大きな変化もたらしたといえるでしょう。

次回は交易部族に変わったとき、私権意識がどう変化していったのかを見ていきたいと思います。

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