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TPPをめぐる俗論を反証する2~アメリカの国家戦略

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(画像はこちら [2]からお借りしました)

 前回の記事「TPPをめぐる俗論を反証する1 [3]」で、TPP議論に潜む数字のトリックを取り上げました。
 これら数字のトリックは、TPP参加が絶対で、その必要性をどうやってこじつけるか?といった政治家やマスコミの意図に因ります。

 では、なぜTPP参加が絶対なのか?
 事のそもそもの発端は、アメリカがTPPに参加するから、日本も参加するといったところにあります。
 詳しくは、「TPP問題の真実~賛成or反対?? 対立構造は目眩ましに過ぎない」 [4]をご覧ください。

 今回は、日本にTPP参加を促したアメリカの「国家戦略」を取り上げていきます。

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アメリカの国家戦略は、大きく以下の二つ

1.相手国に、農作物とそれに関連する商品を輸入させたり、資金を貸し付けたりして、市場を拡大する

2.相手国の食糧を握ることで、外交上の優位に立つ

つまり、食糧を押さえて属国化することです!
それを簡単に図解にすると、

<パターン1>

 自由化等で新たな市場を他国につくる
          
 補助金で安くした農作物を大量に輸出
          
     相手国の農業の解体
          
 食糧のほとんどをアメリカ頼りにする

<パターン2>

     高収量の新品種の開発
          
      途上国に売りつける
          
   高収量だが、設備投資が莫大
          
輸入するために、世界銀行やODAから借りる
          
  払いきれなくなったら、IMFが介入
          
       アメリカの属国化

の2パターンになります。

では、食糧を握られると、どうなるのでしょうか?
以下で具体的に見ていきます。

※元ネタは『TPPをめぐる俗論を反証する 緊急出版『TPP反対の大義』より』(農文協の主張) [5]です。
●世界食糧危機から見えたこと
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(画像はこちら [7]からお借りしました)

「2007年から2008年にかけて起こった世界食料危機は、日本が現在の経済力を維持し続けることができたとしても、食料輸入の安定的保証を取り付けることがいかに難しいかを明らかにした。諸外国と広く協定関係を結べば、輸出規制の禁止も含めて優先的な食料供給を確保できるとの見解もあるが、仮に輸出禁止などの条項を加えることができたとしても、いざというときに自国民の食料をさておいて海外に供給してくれる国があるとは思えない。不測時においてはどの国も、まず自国民の食料確保や自国の市場安定を図るという、国家として最低限の責務を果たさなければならないからである」

経済力がいくらあっても、食べていけるとは限らないということですね。
GDPなんかを指標にしていて良いのでしょうか?

●農産物のアメリカ独占でどうなったか?
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(画像はこちら [9]からお借りしました)

「米国は、いわば、『安く売ってあげるから非効率な農業はやめたほうがよい』といって世界の農産物貿易自由化を押し進めてきたため、基礎食料の生産国が減り、米国をはじめ少数の輸出国に国際市場が独占されつつある。少数の売り手に依存する市場構造では、小さな需給変動に反応して価格が急上昇しやすく、逆に低価格化が起こりにくくなる。また、高値期待から投機マネーが入りやすく、不安心理から輸出規制という食料の囲い込みも起きやすくなり、価格高騰がますます増幅される。たとえばコメは、先般の食料危機時にも世界全体の在庫水準は前年より改善していたにもかかわらず、他の穀物が高騰しているなかでコメに需要が流れるという不安心理が増幅され、コメ輸出規制へと連鎖した」

「米国の都合に振り回された典型例がメキシコである。メキシコでは、NAFTA(北米自由貿易協定)で主食のトウモロコシ生産農家が潰れ、米国から安く買えばいいと思っていたら、こんどは価格暴騰で輸入も困難な事態に追い込まれてしまった」

独占市場になれば、食の囲い込みが発生し、価格も高騰する。価格が高騰すれば、買うことが難しくなり、食べられなくなる人が多くなります。

以上、アメリカの国家戦略(食糧戦略)を見てきましたが、今度はTPPでこの領域を広げようとしています。このままでは、アジア全域がアメリカの属国となってしまう可能性もあります。
食卓への影響も大きくなりそうです。

今回は、食糧問題に焦点を当てて、アメリカの国家戦略を見てきました。
次回は、食糧と合わせて重要な、労働問題に焦点を当てていきます!!

ありがとうございました。
次回もよろしくです!!

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