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幼児虐待が起こるのは何で?(11)「充足に充ちた子育て環境の実現」

「幼児虐待が起こるのは何で?」を10回に渡って追求してきましたが、家庭を取り巻く環境、つまり意識潮流そのものの中に、虐待の原因構造や解決に向けての答え(同化・充足の重要性)が見えてきました。

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生物、あるいは人類の進化過程というのは、常に不全と向き合い、そこから充足(適応)する為に進化を積み重ねてきた歴史そのものであり、幾度もの【実現の歴史】であったと言い換える事が出来ます。

そしてまた、子育てという課題は、この実現の歴史を何度も何度も反復しながら、少しづつ変化し、変わりゆく外圧に適応して行くという、種にとって最大の充足課題でもあります。

最大の充足課題だからこそ、出産・子育てに集まる期待は大きく、それ故にその充足可能性を見失ってしまった時の反動はあまりにも痛い。 😥

虐待の起こる最大の原因は、子育てというみんなの充足課題を、たった一人で担わなければならない状況(密室の家庭)を産み出してしまった事にあるのだと想います。

しかし、家庭というのは幸いにも、それ単独で成立する構造にはなっていません。

近代化(市場化)・都市化した現代、家庭は生殖と消費専属の場となり、生産の場からは完全に切り離された存在となりました。結果的に、高齢化や福祉等、社会にぶら下がる事で社会的負担ばかりを増大させ、自立手段を失ったが故に必然的に要求主義的にならざるを得ない空間が出来上がってしまったのです。その極端な事例が、モンスターペアレント 👿 や虐待 :confused: といった現象を生み出した原因と言っても過言ではありません。

この、社会と断絶して存在する家庭という空間を、改めて社会との密接な関係性の中に取り入れていく事。これこそが、虐待を防ぎ、みんなの充足課題を実現して行く最適解となるのではないでしょうか。

つまりは、生物の適応原理である、生殖と生産の場の一体化です。そして、その萌芽はすでにいくつかの企業における共同体的試みとして、実践され始めているようです。

参考リンク
社内行事が復活!?~“家族的企業”が増えている。 [2]

男と女の新しいカタチ~家族的企業が増えている♪ [3]

協同組合法:出資・経営・労働を一体化した働き方をしている人たちは10万人を越えている [4]

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画像は、「社員の子育て応援宣言!」登録企業の松山株式会社 [7]様からお借りしました 😀

そしてまた、家庭という枠組みに閉じ篭ること無く、社会に目を向けて行けば、そこには人の育つ土壌、そして誰もが充足の得られる可能性が存在しています。

10/17なんでや劇場(7) 現代~近未来 対象への同化こそが新しい認識を生み出す [8]

同化能力の形成過程は3段階に分けられる。
①赤ん坊は、学習本能によって、トコトン真似る=同化することで吸収する。

②小学校~高校では、観念力の基礎となる言語能力を鍛えるには徹底した暗誦・反復であり、その効果は実証済みである。ex.類塾の事例では、暗誦用テキストを毎晩15分反復した生徒は、半年で偏差値が20ポイント上昇した。

③問題はその先にある。5/30なんでや劇場「観念力を鍛えるには?」で最後に提起した問題は「現在は旧観念に代わる新理論が求められる時代だが、新理論の創出にはどのような能力が必要とされるのか?」である。では、新しい認識はどのようにして出てくるのか?リンク [9]

まず興味or疑問をもって対象に同化すること。その際、蓄積されてきた事実認識群が同化する手掛かりになる。

従って、対象に同化しさえすれば新しい認識が付け加わることによって、より正しく状況が掴め、もって事実を追求すること(原因を追求すること)が可能になる。

新しい認識の創出は超難問というイメージを抱く人が多いが、問題意識を元に対象に同化しさえすれば、誰でも新しい認識を生み出すことはできる。

それに対して、対象に同化しさえすれば、素人でも新しい認識群を生み出すことができる。そこで重要なことは、我々は対象に同化するために追求するのであって、私益のために追求するのではないということである。

また、古代宗教や近代思想は価値観念であるが、同化することによって獲得される認識は事実の認識群である。そこには善悪などの価値判断は入っていない。認識収束の時代において、価値観念では万人が共認することはできない。

事実だからこそ万人が認識を共認できる。だからこそ、その認識が統合原理となり、万人が紡ぎ出す事実認識の体系が、次代の社会統合の核となるのである。

同化能力の形成過程を再度まとめると、

①トコトン真似る=同化することで吸収

②言語能力を鍛える為の暗誦・反復

③対象に同化し、新しい認識群を生み出す

という形になります。

さらにこれらの認識から、具体的な行動規範を定めると、

『まずは充足、その為には同化、そして実現へ』

という形になります。この規範は、家庭や企業、あるいは仲間空間等、あらゆる関係性に適応可能な羅針盤となります。
そしてまた、子育てをするにも、充足をするにも、全てに共通で必須となるのが、同化対象の獲得です。つまり、相手がいないと成り立たない、という極めて根源的な部分に再度注目 😯 して行く必要があるのです。

実は世界的に見ても、日本の現在の核家族家庭のような、孤独な子育て環境というのは極めて稀な事例であるとの報告もあります。母子間でももちろん同化は可能だし、充足も出来ますが、それでもやはり多様なおしゃべりによって充足の得られる人間が、まだ自在にしゃべる事のままならない赤ちゃんと二人きりの日々を送る、というのはやはり閉塞感 🙁 が漂います。

家庭というのは最末端の本源集団である事には間違いはありません。しかし、この社会の現実は各家庭単独では無く、人々の集合体・群・共同体の共認によって作られています。だからこそ、上述したように生産と生殖の場とを繋げる、みんなの課題として子育ても捉え直していく必要があるのです。

江戸時代の路地のように、会社のあちこちで仕事場面に入り交じって、子供たちがじゃれ合っているような姿をイメージしてみても、然程違和感はありません。というか、実は私の勤めている会社でも、最近良く目にする光景となってきました 😮 。

何よりも、子供たちの楽しそうな姿を見て、女性達が充足し、その姿を見てまた男達が闘争活力を上昇させて行くという、同心円(二段編成)の構造は、最も安定的な縄張り形態なのだろうとも想います。

一足とびに各企業内に子育て空間を持ち込む、という訳には行かなくとも、家庭という聖域を飛び出し、子育て課題をより多くの人々と共有して行く試みは、様々な形で実現できるはず。

改めて、子育て課題も

『まずは充足、その為には同化、そして実現へ』

を羅針盤として、みんな課題として取り組んでいきましょう!

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