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幼児虐待が起こるのはなんで?(9) 同化回路再生可能性はどこに?

ここまで、幼児虐待の原因を追究してきました。
村落共同体の崩壊・分裂、その後の家族形態の変遷にその原因があり、その経緯の中で、失ってしまった同化回路の再生が虐待撲滅への可能性として見えてきました。

更にその可能性の一つとして、前回ママサークル [1]を紹介しました。

彼女たちの集まりは、ママたちが充足体験を積むことによって、不安解消になると同時に同化回路をフルに活用することにつながると思います。

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写真はコチラ [2]から

今回は、多くの母親が、子育てサークルの活動に参加することで,以前
より子育てが楽になったと感じる様になるとの研究論文があったので紹介します。

研究論文【育ちあう個と集団の相互作用過程】 [3]― 子育てサークルの親を中心に―(吉本 朋子)

調査項目次の5項目ですが、1~3に関してご紹介します。
(ヒアリング対象は34名)
1.母親が子育て中に楽になったと感じること
2.子育てサークルに参加したことが母親に与えた影響
3.母親へのどんな言葉かけが子育てを楽にするか
4.子育てサークルに参加する母親の子育てを支えている人たち
5.子どもの年齢

1.母親が子育て中に楽になったと感じること

(参加後)子育て中に楽になったと感じた母親は32 人(94 %)
おもに子どもの成長によって子育てが楽になった(19 人)
おもに母親の変化によって子育てが楽になった(13人)

<代表的な回答(抜粋)>
・初めは泣くことがどのような意味なのかわからなかったけど、最近では何とかなぜ泣いているのか少しずつわかってきた。
・子どもが少しでも言葉が話せるようになり、意思が通じ合えるようになった。
・以前は用事をしている時に泣かれたら、など、必要以上に気になったけれど、なんとかなると思えるようになった。
・泣いたらどうしようって思っていたとき、「子どもは泣くのが体操。放っておいて大丈夫」と言われてホッとした。
・1日1日成長しているのがわかる。

⇒親も子も成長した結果、楽になった様です。
ポイントは子育てサークルで受けた周りからの刺激?
子供の成長を確認できるのも、周りの子供たちを見るからでしょう。
おそらく、密室過程で我が子しか見ていなかったら、成長にも気付く事が出来ず、先が見えない果てしない作業(苦役?)に感じてしまうのでしんどくなってしまうのでしょう。

2.子育てサークルに参加したことが母親に与えた影響

(参加後)人間関係や子育てにいい影響があったと回答した母親は34 人(100 %)

<代表的な回答(抜粋)>
・今はどうしても子どもと二人の時間が長いので、皆さんと関わりあう事で先輩ママのアドバイスが聞けたり、何気ない世間話とかができて、自分自身の変化も楽しめて、あまり子どもに対しても神経質にならなくなり、子どももよその子どもさん達とふれあうのも楽しくなっているような気がします。
・たくさんの方と接し、私自身がストレス解消。
・子どもも少し大きなお友達から刺激を受ける。
・うちの子より歳の大きな子や逆に小さい子がいて、何ヶ月か先の成長を想像したり、また何ヶ月か前の事を思い出したりできることです。うちの子は兄弟がいないので子どもどうしで触れ合える時間をとても大切に思っています。
・色々な方の子育てに関する話が聞けて、色々な見方ができるようになった。
・自分では知らない遊びなどを教えてもらえる事で、子どもも充分身体を動かしたりできる。
・上の子が私から離れてスタッフの方やお友達の所に行ってくれた瞬間が幸せです。上の子がよく歩いてくれるようになった。
・子ども、親とも友達ができた。集団の経験。

⇒親も子供もみんなから影響を受けていますね。
密室の家庭に二人っきりで居たら、こんな影響は受けられないですね。

3.母親へのどんな言葉かけが子育てを楽にするか?

①一番多かった回答(18 人)

「うちの子も同じよ(同じだったよ)」

<代表的な回答(抜粋)>
・自分の子が出来ない事などがあってちょっと落ち込んだりしている時、友達などから「うちの子もこの年齢の時はできなかったよ」など言われたときホッとする。
・指しゃぶりがなかなか直らないが、「うちの子もそうだったから気にしなくてもそのうちとれる」とかほかの子どももそうなんだと聞かされたとき。

⇒悩み事の中身は、食べる物,ミルクの量,子どもの発達具合,断乳,食事の好き嫌い,一人で食べること,歯みがき等との事です。
密室家庭に一人で居ては、「この子大丈夫?!」とびっくり、育児書や雑誌を見て更に不安~!!となり勝ちですが、実はみんな同じなんです。
これが解るだけで、魔法のように不安がクリアになるようです。

②次に多かった回答(9人)

「だいじょうぶ」

<代表的な回答(抜粋)>
・「泣いても放っておいて大丈夫,運動だから」
・「子どもは人それぞれ。遅くてもきっといつかできるようになるし。」
・「大人になってできない人はいないから」

⇒納得!なっとく!大体だいじょうぶ~ってな感じでしょうか?
 これ、言ってもらうのとそうでないのとでは、ぜんぜん違うでしょうね。

③ 自分の子育ての不安についての言葉かけがとくになくても、会話しているだけで子育ての不安感が軽減する(8人)

・世間話でもいいので子どもと自分だけの時間以外の時を一緒に共有できること。
・同じ悩みを持つお母さんと会話している時が参考になり、言葉かけは別にないのですがホッとします。
・自分と同じような失敗や経験をした話。

⇒なんにしろ一人じゃないってことが大切。
 しかも、母親である前に、おしゃべり好きな女性ですからね。

④ 子育てをほめられて子育ての不安感が軽減(3人)

・私の子どもはやんちゃで大変ですが、「上手に育てたね」と1回だけ言われたことがあり、うれしかった。

⑤その他

・子どものアトピーのこと、放っておいてほしい。
・子育ての不安感と言われると答えがたいです。でも、身近な人に「こうでないとダメ」とか「こうしたほうがいいんじゃない」とか「母乳は大事だからあげた方がいいよ」など言われるとイヤです。自分がダメ母のような気分になります。
・男の子が二人というと、よくお年寄りの方とかに「男の子が二人は大変ねー」とか言われると、すごく落ち込んでしまうけど、友人に「同性だと遊び相手がいていいね」と言われると、その言葉が励みになります。性別で判断されるのが一番つらいです。

⇒「こうあるべき」と「駄目出し」はタブー!!!
 これって母親に限らないですけど・・・・ね
 悪気が無くても否定的な言葉は応えるってこと。
 「子育て=苦役」と言う固定観念はNG

⑥子育ての不安が軽くなる働きかけ

・何か用事がある時には、お互い子どものめんどうを見合うことができること。
・子どもがしてはいけないことをした時に、他人の子どもでもきちんと叱って下さるとありがたいです。

⇒根本的には「一人じゃないってことが重要!!」

このママサークルの母親の調査結果から同化空間のヒントが読み取れます。

「肯定視に充ちた充足空間」が母親の同化能力を再生し、子供の同化能力を育む。
そして、「肯定視に充ちた充足空間」は集団の中に構築する事は容易であるが、「母と子」若しくは、「夫婦と子」の密室空間に構築する事は、極めて困難。
日本古来の村落共同体がそうであった様に、母親一人、若しくは核家族の親達にこの責任を押し付けてはならないのではないでしょうか?
そういった意味では、企業が家庭を取り込んでいる取り組みなどにも可能性があるかもしれません。⇒参照「男と女の新しいカタチ~家族的企業が増えている♪」 [4]

本日の、最後に、子供達が仲間の中で同化能力を獲得している面白い事例を紹介して起きます。
その空間が「楽しい」という事もキーワードになるかも?です。

現代版寺子屋?「ワンコイン寺子屋」 [5]

▽八百屋で勉強?
「だんだん」は奇妙な空間だ。店のつくりは数年前に閉店した居酒屋のままだが、カウンター席には新鮮な野菜や自然食品が並び、6畳ほどの小上がりでは、子どもたちがノートや参考書を広げる。それをのぞきこむ4人の講師のうち、プロの塾講師はリーダーの河合良治さんだけ。そのほかは20代の派遣社員から70代の元音大講師まで、年齢も職業もさまざまだ。
▽大人も子どもも
寺子屋に来るのは小学生から高校生まで8人前後。子どもたちに混じって、分数の計算問題に向かう73歳の女性の姿もあった。
「子ども時代、戦争や家の手伝いで勉強できなかったことを悔やんでいて、ここにいらっしゃるようになりました。さまざまな年齢が一緒に勉強するのも寺子屋の魅力です」
4月からは平日も週3日、子どもたちが学校の宿題などをする「みちくさ寺子屋」として、小あがりを無料で開放。勉強に飽きた子どもたちは、店の前の路地で、ごっこ遊びやプランターで育てた野菜の収穫を楽しむ。
「わたしも子育てをしながら仕事をしていたので放課後の子どもの居場所の必要性はよくわかります。最近は寺子屋を開いていない時にも『おばちゃん、お茶ちょうだい』と入ってくる子がいる。昔は地域にこういう場所がたくさんあったんでしょうね」

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