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これからの子育てどうする?~共同体の事例:木の花ファミリー

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写真はこちら [2]よりお借りしました。

都市化と核家族の進行で、家庭は密室化し、子供も親もどんどん閉塞していくばかり・・・ 本来は、両親・親戚も越えて地域ぐるみで子育てをするような集団生活を行っていたので、現代社会の生活様式のままでは上手くいかないのは当然です。

そこで、当ブログでは、これまで子育てや教育に関して“可能性”を感じられる、最近の取り組み事例を探索して紹介してきました。
大地の学校 [3]
森のようちえん [4]
田んぼの学校 [5]
幼老複合施設 [6]
相可高校 レストラン「まごの店」 [7]
モーハウス [8]

これまで紹介した事例には、農業を通じた自然とのふれあいや協働作業による一体感によって生きる為に必要な能力を身につける取り組みがありました。今回は、農業生産を行い、子供は皆の子として血のつながりのない大家族を形成している農業共同体「木の花ファミリー」 [2]の取り組みを紹介します。

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概要
%E8%BE%B2%E6%A5%AD.jpg [9]「木の花ファミリー」 [2]は富士の麓、静岡県富士宮市にある農業共同体。1994年に「地球を汚さない生活をしたい!」の思いから、血縁を越えた家族として20名のメンバーで「木の花農園」設立。2007年に農園に留まらない活動を表現する為に「木の花ファミリー」に改名。11種の米や200種を超える野菜や穀物を栽培し、お米・野菜・味噌・醤油に至るまで無農薬有機農業で食糧の殆どを自給して、近隣・全国に農産物の宅配も行なっています。18世帯57名が赤ちゃんから高齢者に至るまで、一家族として生活しています。収入は生産物や加工品の他、体験費用や講演料で得て、均等分配し、税法上は大人全員が個人事業主として納税しています。
写真はこちら [10]よりお借りしました。

子育て:木の花ファミリー憲章に向けて (4) 子育てより [11]引用

%E7%94%B0%E6%A4%8D%E3%81%88.jpg [12]子どもを生んだ母親は2ヶ月間静養し、その後子どもと一緒に過ごしながら家の中で軽作業をします。半年間子どもに母乳を与え、その後離乳食に入ります。ここからは子育て担当者が主に面倒をみます。(中略)これ以降はスキンシップが大切になります。みんなが親の木の花ではたくさんのスキンシップを与えられ特定の存在に依存することもなくなります。
言葉を話せるようになると、子ども(2歳ぐらい)たちは食前の祈り、いただきます、ごちそうさまの音頭を取るようになります。その場の空気を読み、呼吸を合わせ、全体をリードします。メンバーとしてのデビューです。
木の花では夕食後毎日、おとなたちの前でこどもミーティングが行われます。この場ではおとなのアドバイスを交えながら子ども同士でお互い語り合い学びあいます。そして週1回、子どもたちだけでグループミーティングを行うようにもなりました。子どもたちが自主的にお互い学びあおうとして生まれたものです。子どもの自主性を尊重してきた結果でしょう。こんな環境の中、子どもたちはけじめのある生活を学んでいきます。

学校教育は、高校まで通う事をファミリーでの義務教育と位置づけ、更なる進学希望者は全員で援助しているようです。
写真はこちら [13]よりお借りしました。

経済:木の花ファミリー憲章に向けて 経済・概要 [14]より引用

木の花ファミリーでは「お金のいらない世界」が実現しています。メンバーはそれぞれの能力に応じた価値を全体に対して提供し、生活に必要なものを対価なしに受け取ることができます。
ファミリーにおいて、仕事は生活と一体です。労働は報酬を得るための手段ではなく、皆が安心して暮らすための自発的な貢献と考えられています。ファミリーは対外的にさまざまな事業を通じて利潤を得ていますが、その利潤は「家族みんなのもの」であり、全体および個人の必要を過不足なく満たすために使われています。
ファミリーではすべての資産は「家族みんなのもの」と考えられています。メンバーは現金や不動産等の個人資産や共有資産を保有しますが、自発的な意志によってそれらの資産を全体のものととらえています。

ファミリー全体の売上を分配すると一人当たり年間80万円くらい。そのうち生活費として30万円を拠出し、教育費や臨時支出などはみんなで負担しています。

精神性と集団統合の為のミーティング
%E9%A3%9F%E4%BA%8B.jpg [15]「心を磨く」と表現される万物との調和を志向する精神で、成員が常により良い生き方を追求する姿勢を保っている事が、長く共同体性を維持する軸になっているようです。その精神を基に、設立以来毎晩欠かさず開催されている「大人ミーティング」、大人たちが見守る「こどもミーティング」が、現実の生活の中で発生する問題を解決し、集団を統合する為の共認形成の場になっています。そこでは、日々起きる問題を巡り、状況や成員の想いがありのままに報告され、各人がそれに対して包み隠さずに、思いのたけをぶつけ、互いに指摘しあって方針を紡いでいます。HPなどの言葉を見ると、多少宗教的な表現も見うけられますが、ミーティングで摺り合わせられた内容や、そこから生れた方針は、実際に成し遂げている事を見る限り、成員の潜在思念と自然の摂理が判断軸である事が伺えます。
写真はこちら [13]よりお借りしました。

木の花ファミリーは、農業技術も追求して向上させ続け、NPOや自然療法、体験事業にも取組むなど、既存の枠組みを大きく超えた取り組みを実践しつつも、現代社会に適応しています。現代社会に背を向けて隠遁生活を送るのではなく、現実社会に開いて新たな試みを実現している点で、次代の可能性を強く感じさせる実現態の一つだと思いました。

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