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役に立つ勉強法って?14池谷裕二~記憶とひらめき・直感

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上図で海馬に囲まれた部分を大脳基底核 [1]といい、その構成要素として側座核、扁桃体、線条体( ストリアツム)がある。
《役に立つ勉強法って?13》 [2]より
⇒徐々に社会収束しつつある中・・・能力を高める⇒脳を最大限活性化させるにはどうする?
一般に生物は、外圧に適応するためDNA変異により進化して環境に適応してきました。とりわけ人類は、本能ではとても生き残れないような外圧に対して脳を観念進化して適応してきたといえます。
それでは一体脳が活性化しているときってどういうときなのだろうか。

例えばこれとこれ、意外と関係あるかもしれない」といういわば「気づき」に繋がるものでよく《ひらめき》とか《直感》というのがあります。
そのとき脳はどういう活動をしているのだろうか・・・・・。
池谷裕二さんのビジネスアドバンスの対談 [3]より引用します。
まずは

①加齢ととともに脳の機能は衰えていくのでしょうか? 🙄
②逆に歳をとっていくと増す機能はありますか? 😀
③直感は自然に身につくものなのでしょうか? 🙂
④多くの経験に裏付けされたものが直感? 😮
⑤直感というのは予測する能力? 😯

以下続く
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①加齢ととともに脳の機能は衰えていくのでしょうか。

・加齢とともに衰えていく代表的な能力としては、言語獲得能力や絶対音感を獲得する能力があります。これは大人より子供の方が勝っています。大人になるとできなくなるというわけではありませんが、年齢とともにその能力は衰えてきます。絶対音感に関しては、6、7歳以降ほぼ獲得できなくなってしまうようです。なぜそのくらいの年齢でできなくなるのかはわかりませんが、可塑性を抑える物質が関係しているとみられています。
・実は脳の可塑性というのは、記憶するためには必要ですが、過度になってしまっては危ないのです。子供の脳は大人に比べて可塑性が強く、柔軟性のある脳といえるのですが、可塑性が過ぎると脳が急激に変化してしまいます。情報の吸収が早い代わりに忘れるのも早くなり、情報を長い間保管できないのです。
・脳ができたそもそもの理由は、環境に適応して変化し、情報を蓄積して成長していくため。可塑性が過剰だと、情報の蓄積ができず根底から変わってしまうことになるので問題なのです。

②逆に歳をとっていくと増す機能はありますか。 

「直感」です。どうして直感が歳をとるにしたがって増すかといえば、経験がたまるからです。直感と似た言葉にひらめきがあります。両者は同じ意味で使ってしまいがちですが、実はまったく異なるものです。脳科学者は絶対にこれらを一緒にしません。英語でも直感はintuition、ひらめきは inspiration。
どちらも「ふと思いつく」という点では同じなのですが、思いついたあとが全然違うのです。ひと言でいうと、思いついた理由をいえるのがひらめきで、理由をいえないのが直感です。たとえば「なるほどこういうことだったのか」と思いつくとき、「こうなるからこうなるに決まっている。何であのとき思いつかなかったのだろう」というのは、完全な論理思考なのでひらめきです。「思いついた理由がわからないけれど、実際にやってみると正しかった」というのが直感です。
・脳の部位でいうと、ひらめきは大脳皮質、直感はストリアツム(線条体) [4]という脳の部位で行われます。ストリアツムは、前頭葉とともに歳をとればとるほど大きくなることがわかっています。

③直感は自然に身につくものなのでしょうか。

・先日、棋士の羽生善治さんにお会いしました。将棋を指しているときは、基本的に手を読んでいるそうですが、中盤の難しい局面では手が読めないことも結構あるらしいのです。そのときに何が起こるかというと、「理由はわからないが、次にここに指せば勝てるような気がする」と感じるのだそうです。まさに直感ですね。

・私が同じ盤面を見ても、どの駒をどこに指せばいいのかはわかりません。指したとしても、それはでたらめです。でたらめと直感の違いは何かというと、「経験に裏付けられているかどうか」です。羽生さんは小さいときから将棋を指しているので、本人に理由がわからなくても、ストリアツムが綿密な計算をして正しい答えを出してくれているのです。

④多くの経験に裏付けされたものが直感。

・私はストリアツムを、海馬などより遙かに大切な脳の部位だと思っています。ストリアツムというのは、本来は体を動かすのをコントロールする部位。たとえばコップを手でスムーズに取るなどといった動きをコントロールしています。手が震えてしまうパーキンソン病は、ストリアツムに障害がおこってしまう病気です。
・脳に占めるストリアツムの割合は、爬虫類の方が人間よりも大きい。また海馬は、ほ乳類にしかないので、生物学的には後付けといえます。そういう意味では、ストリアツムは海馬などよりも、生物にとって本質的で重要なものなのです。

・たとえば訓練すれば誰でも自転車に乗れるようになりますが、これには2つのポイントがあります。ひとつは実際に繰り返すことによってやっと乗れるようになること。いくら「自転車に乗れる本」を読んでも、乗れるようにはなりません。あくまでも実地によって身につくのです。もうひとつは無意識。覚えようと思って覚えられるものではなくて、繰り返していくことにより、あるとき自然に乗れるようになるのです。
・コップをつかむという行動もそうです。実はコップをつかむということはすごく精巧で正確な行動なのですが、幼児の頃にたくさんのつかむ経験、いわば訓練をしたから、私たちは「腕や指にどれくらいの力をかけよう」と考えなくても無意識に行えるのです。自転車に乗るのもコップをつかむのも、ストリアツムが無意識に厳密な計算をしてくれるので可能となるわけです。

・直感もまったく同じで、経験によって蓄積されていきますが、使用されるときは無意識です。だから直感は「論理的な説明ができない」のです。しかし本人にわからないだけであって、本当は理由がちゃんとあるのです。
・経営者の方々も、会社を運営するなかでたくさんの経験を積んでいきます。ある重大な決断をしなければならないときに、ベテランであればあるほど直感で選択しても大きく道を踏み外すことが少ないのは、その直感が豊富な経験に裏付けられているからなのです。
・孔子の言葉では、70歳は「従心」といいます。心の思うところに従って行動し、外れないというような意味なのですが、これはまさに直感を指しているのだろうと思います。本人には理由がわからないけれど、心に従えばいいということです。

⑤直感というのは予測する能力ですか。

・そういう理解でいいと思います。無意識に「こんなシチュエーションって前もあったな、このときにはこのようにしたな」とストリアツムが計算してくれているのです。直感は、一見非科学的なのですが、脳科学のまじめな対象として研究されていて、いろいろと面白いことがわかっています。

海馬とストリアツムには性差もあります。海馬はたぶん男性の方が強いと見られていますが、逆に直感を生むストリアツムは間違いなく女性の方が強くて、その理由もエストロゲンなどの女性ホルモンに関係するということがわかっています。昔からよくいわれる「女の勘」は、科学的見地からも本当だったのです(笑)。しかし直感は男性でも年齢を重ねると伸びてきます。もちろんいろいろな経験を積むなどして鍛えないと伸びませんが、そういう訓練を無意識のうちに受けている脳というのは、本当に尊重しなければいけません。だから歳をとった脳、ベテランの脳というのは本当にすばらしいと思いますね。

参考“物忘れ”は大人の勲章

・歳をとると“物忘れ”が多くなると思うのには、3つの理由があると池谷准教授はいう。一つめは「情報の量」。「子供の情報はそんなに多くありません。たとえば知っている人の名前を挙げてというと、クラスの何十人くらいしかありません。しかし大人になって出会った人の数は、たぶん千人、2千人、もしかすると1万人を超えるかもしれません。数十人の中から1人の名前を思い出すのと1万人の中から思い出すのでは、どちらが難しいかということです」。物忘れが増えたというのは、それだけ沢山の情報が脳に詰まっていることの勲章だそうだ。

・二つめのファクターは「時間」。歳をとると時間が早く感じるようになるそうだ。「子供にとっての“つい最近”は、せいぜい“3日くらい前”まで。ところが大人にとっての“つい最近”は、“半年くらい前”までを指したりします。半年前に覚えたことを思い出そうとしても、半年間復習しなかったら覚えられないのは当たり前なのです。また、3日間と半年間とでは、物忘れの絶対回数は後者の方が多いですよね。時間が経つのが早く感じるようになると、忘れるスピードも速くなったような気がするのです」。
・最後は、「実は物忘れは増えていない」。大人と子供の物忘れの頻度は意外にも同じだそうだ。その証拠に、置き忘れなどは子供の方が圧倒的に多い。にもかかわらず、物忘れしやすくなったと感じるのはなぜだろうか? 「子供は物忘れをしても歳のせいだとへこまないのです(笑)。また、『歳をとると記憶が衰える』などというテレビや雑誌の影響で、歳をとるイコール記憶力が衰えると誤解しているだけです」。私たちは、必要以上に脳の衰えに敏感になりすぎているのかもしれない。

引用終わり

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