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役に立つ勉強法って?10~学力向上には、目的意識を共有できる「集団」づくりが重要

ベネッセの調査・研究データで、面白い記事を見つけました。

「『読解力』を育てる総合教育力の向上にむけて―学力向上のための基本調査2006より」 [1]

です。この中でも特に、

「終章 『読解力』向上のための総合学級力の育成と『読解力向上の提言10か条』」 [2]

が特に興味深い内容でした。「学力低下どうする?」や「役に立つ勉強法って?」の一つの答えになるのでは?と思います。今日はその内容を紹介したいと思います。

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■なぜ読解力?

学力低下の根本問題は、「言語能力の低下」←「同化能力の低下」ということは明らかですね。(→聞いたことが無い人はコチラをお読み下さい☆ [3])。この調査では、読解力に限定して調査していますが、読解力≒同化能力ということで、読解力の調査をすることで、学力の程度を計ることができると思います。

■集団づくりが「読解力」の育成に必要

この調査の中で最も注目すべき内容、それが、「集団づくりが『読解力』の育成に必要」という点です。学力や読解力など、いわゆる「能力」と呼ばれるものは、個人に起因するものと考えがちであり、その能力の向上は個人の努力次第と考えがちですが、何と読解力の育成には集団の育成がポイントとなってくるという結果が出ています。この調査では、集団の評価指標として、「総合学級力」という指標を作っています。

■総合学級力とは

この調査では、総合学級力を「目標達成力」「創造的対話力」「協調維持力」「規律遵守力」の4つの領域を総合したものとして捉えています。これらの程度を計るために、コチラの表 [4]
のようなアンケートを実施しています。アンケートでは、個人について質問するのではなく「あなたの学級ではどの程度当てはまりますか?」という設問によって学級全体の特色について判断してもらっています。

■総合学級力と読解力との関係

この調査では、総合学級力と読解力の相関関係を導き出しています。

学級毎に読解力と総合学級力の調査を行い、縦軸に読解力、横軸に総合学級力の4つの領域(「目標達成力」「創造的対話力」「協調維持力」「規律遵守力」)のうち、全体平均値以上であった領域の個数を示しています。つまり、「4つ」が最も総合学級力が高いということになります。

(クリックで拡大)

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上記のグラフからは、総合学級力が高い程、読解力も高いという結果が明確に読み取れます。読解力≒同化能力は、個人だけではなく、属している集団がどのような集団かが重要であることが現れています。

同化能力は、人との関係の中で育まれていくものです。同化能力を高めるには、集団が重要というのは納得です。

■学力向上には目的意識を共有する集団づくりが重要

ところで、学力低下の原因として、「目的意識の喪失」であるということは、多くの場 [5]で語られています。その目的意識の形成にも、目的意識を共有する集団づくりが重要なのではないでしょうか。

上記で紹介した総合学級力をなんで屋的に定義すると、このようになると思います。

(1)集団内で同類圧力の形成が出来ているか

(2)共認充足に基づいた集団となっているか

(3)評価を共有できる集団か

(4)規範を作り、守ることが出来る集団か

(1)によって集団で課題や目的意識を共有します。それらは、集団の共認充足を満たすための物である程、集団の活力が高まるため、(2)が重要となります。そして、その成果に対して評価を行うことで、集団の能力を高度化していくことができます。そして、そのような成果を元に規範を作っていくことで、より充足して目的意識を高めることができる集団が形成できます。

逆に、総合学級力が高かった学級は、上記の流れで目的意識の共有が出来ていたからこそ、読解力も高い結果となったのではないでしょうか?

目的意識にしても、個人の能力にしても、個人で高めようとしても限界がある、というのが重要な認識です。これらを育てることが出来る集団を作っていくことが重要なのではないでしょうか?

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