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日本の精神 5 ~豪農の規範意識~

江戸時代の社会統合様式は、各地域・村・町ごとの自治に委ねられていた事が知られていますが、その中でも村落共同体を取り仕切る役割を担っていた豪農の規範を調べてみました。

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写真はこちら [2]からお借りしました。

参考論文
江戸末期における豪農の規範意識 : 竹村広蔭の場合 [3](PDFのボタンを押すと全文が開きます)
より

当時の豪農は、お上と農民(小作人)との間に挟まれた中間管理職ですが、支配者というよりも指導者としての色彩が強く、いかに生産性を高めるか?⇒その為には小作人の活力 :tikara: をどのように高めるか?といった事に頭 🙄 を使っていたようです。

現在で言えば、企業の経営者に近い役割を担っていたのが当時の豪農ですが、常に働く側の事を考えながらの統治を行っていた面からみると、現在よりも優れた組織統合論を持ちえていたように想われます。

その一例を紹介します。

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■豪農の家政管理
家業:作業の計画性を高め効率化を図ること、土地や草木の有効活用、俵や綿は自家調達すること等に努めながら、家業の全般を常に掌握し、さらに金肥を施すことのような農業上の重要事項は、当主自らが直接に取り仕切るべし。

金品出納:金銭のきめ細かな記帳と決算に加え、蔵の出し入れには必ず当主が立ち会うこと。

対人管理:使用人の労働に向けての徹底管理、食事の維持。対外事項の節約に努めながらも、庄屋衆、出入の者、寺院、さらには乞食・非人との関係も維持するよう努め、家政の社会的環境を保全する。

現在の苦労を厭わず、将来の安堵を楽しみ、節約することを面白く心得て怠り心なく。

■村政 農業、農民に対する規範意識
幕末に向けての財政は厳しく、かつ村の大半を零細農が占める状況の中、新田開発や製紙等に取り組むものの、見通しの立たない商品開発に関心が持てず、頓挫。そんな中、勤農へ向けて零細農達に自尊心、使命感を持って農業に向けての意欲を高めようと、次のような農業観を描いた。

「農業は、天皇、将軍、諸侯、旗本の櫃のごときものであり、国の本である。人命を救い、魚中禽獣をも助ける。仏教で言えば功徳にあたる善行である。農民はおおみたからである。和漢の古書においても農民は工商の上に立つものとして重んじられている。また、農業への精励を動機づける欲心は、農業がこのような本質を持つものであるがゆえに、最も清いものである。」

他にも、

・暦を基本とし、時々の気候をふまえ、地味を考慮し、~特性を確認し、それに即した工夫を重ねる

・神の加護のもとで成り立ち受け継がれてきたことを厳粛に受け止め、天照大神~氏神、先祖への礼拝を欠かさず

・浄めの掃除による塵芥は肥やしとする

など、彼の描いた規範の主旨は、農民が自らの尊厳をかけた自立的な生き方を志向することを期待したものであり、生きものである作物に生きものとして心を通わせながら、その生長特性を正確に把握し、自主的な努力によって適切な方式を考え出す事を望むものであった。

しかし、時代は幕末、封建制度の弛緩と共に従来の平穏な相互関係も次第に崩れ始める中で、上記のような家政・村政は利害を越えた信頼関係を成立させようとした努力の表れでもあったようだが、実際には米銭による関係調整から、私的な欲心が争いを招く危機と常に隣り合わせにあり、自らを最も厳しく律する事で村内秩序を保つ事に苦心していたようです。

詳細は引用元の論文にて是非一度読んで頂きたいと思いますが、現在の統合階級(政治家・官僚・学者・マスコミ)などとは比べ物に成らないほど、常に「みんなの事」を考え、集団の秩序を維持する為に闘っていたかが伝わってきます。また、人だけではなく自然の摂理に同化して、万物に学ぶ姿勢が説かれている事にも、感銘を受けました。

当時の農村に働く圧力は、私権圧力よりも生存圧力(貧困圧力)が主体であり、それに対していかに集団として組織化して立ち向かうか?ということが考えられていたのではないかと感じました。

そして、現在の主圧力は、社会圧力、すなわち社会によって形成される共認圧力(同類圧力)です。当然、これらに立ち向かう(問題解決に向かう)為には、核家族といった末端の最小集団では全く役に立ちません 😥 。これらの課題に答えを出す為には、家庭を越え、私的な利害関係を超えて超集団としての秩序形成の場が必要になります。あるいは、規範の喪失自体も大きな社会問題の一角ではありますが、みんなで共認形成に向かえば、それらの充足体験が結晶化し、自然と新たな規範が形成されて行くでしょう。

共認圧力の働く場
るいネット [4]
が、お勧めです。

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