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教室改装、討議の場に

教育ルネサンスに、なるほどな、と思う記事があったので紹介します。
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教育ルネサンス [1]より以下引用です。

東京大学が学生の討議力養成に本腰を入れる。旧制第一高等学校本館で、国の登録有形文化財の東大教養学部1号館(東京・駒場)。駒場キャンパスのシンボルにもなっているこの歴史的な建物で、入試の合間を縫って六つの教室が改装された。

ほかの教室は教卓に向かって50人分の机とイスがびっしりだが、新しい教室は机をコの字形に並べてゆったり。壁には小ぶりのホワイトボードがあり、机をグループ単位で並べ替えた時に使う。暖色系の方が議論が弾むと、いすはオレンジ色、机も明るいクリーム色。録画装置も備えた。

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部屋の狙いは東大生の討議力向上だ。教養学部では新年度から、討議を主体にした授業を全学生が学期に1度は経験できる体制を取る。2学年約6000人が学ぶ駒場キャンパスでは、1学期の授業が約1200コマにもなるだけに、学期に1度といっても大がかりな取り組みになる。

「討議させる授業に自覚的に取り組んでもらうため、この教室を使ってみませんかと働きかけもしたい。場を変えることで、駒場の先生たちの意識をからめ手から変えたい」と教養学部付属教養教育開発機構の山本泰教授(58)。新しい教室では原則として授業見学を認めるという方法も考えられるという。

背景には昨年3月、700人近い教養学部の2年生が答えた「教養教育の達成度調査」がある。「学問的知識」「論理的・分析的に考える力」「知識や考えを表現する力」「他者と討論する力」など6項目が身についたかを聞くと、「討論する力」だけが2割に届かなかった。他の5項目は少なくとも5割近く、「学問的知識」は7割を超えた。

「討議力は、何かを勉強する過程で身につけるハイレベルの力だが、ここまで低いとは思わなかった。本来、大学は知識を教える場ではなく、教員と学生が対等に議論して新しい知を作り出す場だ」(山本教授)

2月半ばには学生を集めた模擬授業も試みた。ミラーリングと呼ばれる討議力養成の手法も体験させた。1人が報告した内容を、もう1人が再説明することで、ずれを観察し、表現力や聞く力を養う。参加者に聞いても、討議する授業の経験の有無に大差があった。今回の取り組みで「身についた」を5割程度に引き上げるのが目標となる。

駒場キャンパスには2007年、最先端のハイテク設備を備えた教室KALS(駒場アクティブラーニングスタジオ)もできている。例えば、英語の論文の書き方を学ぶ授業では、学生が書く英語の文章を、教員が同時進行でスクリーン上に引き出して添削するといったこともできる。文字通り、学生を能動的に授業にかかわらせる場だ。

教室を変えることで教育を変える――小中学校などではすでに取り組まれてきたことが、最高学府でも動き出している。(中西茂)
(2009年3月13日 読売新聞)

>教室を変えることで教育を変える――小中学校などではすでに取り組まれてきたことが、最高学府でも動き出している。<
以前、新しい授業の試み「学びあい」について、なんで屋サロンで継続的に議論したことがありました。(るいネットにもいくつか紹介投稿があります。)

リンク [2]>「学び合い」とは、一斉授業と違いグループになり、一つのテーマを自分達で追求していく授業だそうです。詰め込み教育ではなく「思考させる」ことが目的であり、「なんで思考」で新たな課題が発掘され、皆で答えを作り出す。まさに、現代の子供たちが欲している課題そのものだと思います。<

一斉授業では、ついていける子、いけない子がでて全体として場が盛り上がらないので、子供同士の共認関係を使って場作りをし、授業を活性化しようという試みだと理解できると思います。もちろん、大学での授業ではこのまま当てはめることは出来ないとは思いますが、共認時代の共認空間は原理的に、一斉授業や一歩通行の大学の講義でよりも、学びあいや討議形式のほうが優れていると言えると思います。

大学でもこういう試み、「討論形式の場」作りをハードの面からもサポートしようと言う試みが進んでいるのですね。改めて、「学びあい」などの新しい教育=共認形成の様式の可能性を感じるとともに、大学もいよいよ教育について突っ込んで考え初めているのだなと感じました。

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