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教員の「心の病」が止まらない

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うつ病など「心の病」のために病気休職する教員が毎年数百人ずつ増え続けているそうです。文科省では「保護者や子供、同僚との人間関係に悩む教員が増えている。相談体制を充実させたい」と、教員のメンタルヘルス対策の充実を図ろうとする動きはあるようなのですが、一向に改善の兆しが見えな状況です。

確かに、モンスターペアレンツの問題もああるし、勤務負担が大きく大変だといわれますが本当に理由はそれだけでしょうか?

本日は、教員の「心の病」の動向を追いかけてみます。

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「メンタルヘルス」(心の健康)という言葉は、世間一般にも広く知られるようになりました。よく耳にするようになったのは、バブル景気のはじけた1990年代の初めごろだったと思います。当時の文部省が「教員の心の健康等に関する調査研究」を実施して対策に乗り出したのも、1991(平成3)年でした。しかし、それからもう少しで20年にもなろうというのに、いまだに精神疾患を理由に休職する教員の数は増え続けています。

文部科学省の調べによると、うつ病など「心の病」のために病気休職した教員は毎年数百人ずつ増え続け、2007(平成19)年度はついに10年前の3倍となりました。その数4,995人(前年度比320人増)で、約200人に1人の割合で教員が学校現場を離れたことになります。

Benesse教育情報サイト「教員の「心の病」が止まらない」 [1]より引用

病気休職者数等の推移(平成10年度~平成19年度) [2]のリンクはこちら

精神的疾患による病気休職は4連続で前年度比1割以上の伸びになっていて、病気休職者全体に占める割合は6割を超えています。

また、公立学校に採用された先生のうち、1年を経て退職した先生が毎年増えていっているようです。

公立学校に採用された先生のうち、1年を経て退職した先生が2007(平成19)年度、300人を超えたことが、文部科学省の調査でわかりました。これは、どういうことなのでしょうか。

まず、教員の採用の仕組みについて確認しておきましょう。そもそも地方公務員は、半年間の「条件附採用」を経て、改めて正式採用となります。これに対して、教員の場合は1年間の「初任者研修」を受けることが義務付けられているため、条件附採用期間も1年間に延長されています。採用試験に合格して実際に教壇に立ち、研修も受け、なおかつ教員に不向きだと判断されれば、1年後に正式採用とならないことも、制度上ありうるのです。
ただし、2001(平成13)年度までは正式採用とならなかった人の数は全国でも40~50人前後にとどまり、採用者全体に占める割合も0.5%以下と、ごくわずかでした。それが2002(平成14)年度に100人を、2005(同17)年度には200人を超えました。さらに2006(平成18)年度は295人、2007(同19)年度は301人と増えています。

Benesse教育情報サイト「新人先生、1年で300人以上が「退職」」 [3]より引用

なぜ、学校はこのような状況になっているのでしょうか?
その手がかりは、同じように「心の病」が増加している一般企業の状況から見えてきます。

財団法人社会経済生産性本部のアンケート調査(2008<平成20>年)では、企業の56%が「心の病」は増加傾向にあると答えています。ただし、これは企業により異なるようです。

この調査結果からは、「人材育成」「集団の統合力」「社会との繋がり」を考えることが出来なくなってきている企業ほど「心の病」が増加していることが分かります。

そして、この「人材育成」「集団の統合力」「社会との繋がり」が欠如している集団こそが今の学校なのです。(『教師は不思議な職業!? ~授業どうする!研究会報告~』 [4]を参照) だとすれば、現在の集団としての「学校」自体が、教員の「心の病」を増やしているともいえるかも知れません。

文科省では、今年度から3年間かけて、教員の「勤務負担の軽減」について調査研究を進め、メンタルヘルス対策とともに、事務作業量の軽減などが試行されているようですが、それでは答えになっていないと思います。

個々の教師の資質を超えた、学校という集団、さらに教育制度の大きな構造的問題と捉える必要があるのではないでしょうか。時代は大きく変化しています。これまでの「教育」「学校」という枠組みや固定観念を超えて、考えなければ答えにはたどり着けないのだと思います。

その意味で、下のるいネットの投稿は可能性を感じる新しい切り口を提案してくれています。ぜひ読んでみて下さい。
 「教育の半専任化」 [5]
 「教育の目的は、『圧力に適応できる人材を育てること』」 [6]

次代の「教育」「学校」のあり方を考えていきましょう!(さいこう)

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