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婚姻史シリーズ(9) 台湾アミ族の母系社会

Posted By iwaiy On 2008年12月29日 @ 12:57 AM In 家庭と市場 | No Comments

「婚姻史シリーズ」興味深く読んでいます :D

これからの「家族のかたち」「集団のかたち」を考える上で、母系の再生は大きなテーマとなるように思います。

今日は、永らく母系制社会を維持してきた、台湾アミ族の集団構造を紹介します
アミ族は台湾東部の山岳地帯に住む少数集団です。

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●部族-氏族構成
ガサウ>マリニナアイ>ロマの三層構造で構成される。
・ガサウ:祖先or故地を同じくする集団≒同生地族
・マリニナアイ:具体的に系譜関係を辿れる範囲の自律的集団≒母系出自集団
・ロマ:集団の基本単位≒単位集団

●ロマの母系制規範
ロマの長は、多くの場合最年長の女性。
ロマの家屋敷、田畑は家長が所有。財産は基本的には母から娘へと相続。姓も母系継承。首長などの地位は、母方オジからオイへと継承。基本的には婿入り婚規範。

(※現在のアミでは、これらの母系制的な様相はほとんどみられなくなっているそうです)

母親を「太陽(cidar)」と称す。
赤色の伝統的な服飾や羽の冠、花の冠、肩帯びに付いた円形の貝殻、腰帯に付いた鈴などはすべて太陽である母親を象徴。歌の中にも母親という言葉が頻出。

●信仰
アミ族は「kawas」を中心とする固有の宗教をもつ。
西方に暮らす造物神maladawは土地森林、動植物、争いおよび年齢階級組織を掌握、北方に暮らす女神のdogiは寿命、生育、性別、婚姻、健康、族別などを掌握、東方に暮らす海神kafitは海域や氣象、航海、漁、地震および台風を掌握。祖霊は南方に集まっており、集団を見守る。

●首長制(長老制)
アミの村落には、政治システムの中心となる首長が存在。
政治的首長と首の祭司が一致した型と、それらが別々分担された型がある。首長の選び方は、首の祭司あるいは政治的首長と首の祭司の兼任であれば、特定の家筋に基づく世襲。政治的首長のみの場合は、男子年齢階梯組織の上位男子による選挙。

政治的首長としての役割は、男子年齢階梯組織の統率、犯罪防止や裁定、用水路・道路の開設や補修、他村との交渉、共同狩猟・漁労の獲物の共同分配、首狩りや戦争の軍事的指導であり、宗教的首長としては、首の祭事、粟その他の農耕儀礼など。

●男子年齢階梯組織
アミのほぼ全域に見られる地域社会組織、首長制とともに地域政治の中核。
男子年齢階梯組織は、12、3歳の少年から60歳前後の老人までが所属(義務)。
①pa-karong-ay(12、3歳~15、6歳)、②kapa’h(17、8歳~42、3歳)、③ma-to’asay(44、5歳~61、2歳)に大別。その下に3~7歳を一組。

村には男子集会所が1つもしくは複数あり、pa-karong-ay以上は、夜はここに集まり、宿泊することが義務。
集会所においては、年長者が若者たちに狩猟の仕方、共同作業の仕方、村の規範、神話、伝承、敵との戦い方などを教育、訓練。
また、敵の侵入、他村からの夜這いに対する見張りなどの治安維持の役割も果たしていた。

男子年齢階梯組織は、首長と青年組頭の指導の下に、村内の道路や灌漑水路の建設や補修、祭儀の執行、治安の維持、他村からの不法侵入の見張り、村の行政運営費用の徴収、村の規範の背反者の処罰や罰金の徴収など、様々な公共的な仕事を行った。特に、収穫祭の執行は、重要な役割。

(※戦後、徴兵制度や青年層の都会への流出により、多くの地域で男子年齢階梯組織は崩壊したそうです)

★男女の役割分担と調和により、集団の統合と存続を維持してきた、そのシステムには注目すべき点がたくさんあるように思います。

◆台湾アミ族についての参考サイト
・台湾の母系制社会を営むアミ族 [1] 
・花東縦谷 [2]  
・世界民族博覧会 [3]  
・ウィキペディア「アミ族」 [4]  
・台湾アミ族の社会組織とその変容について(pdf) [5]  


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URLs in this post:

[1] ・台湾の母系制社会を営むアミ族: http://bbs.jinruisi.net/blog/2006/12/000088.html

[2] ・花東縦谷: http://www.erv-nsa.gov.tw/user/Article.aspx?Lang=3&SNo=03000099

[3] ・世界民族博覧会: http://wee.kir.jp/taiwan/twn_ami.html

[4] ・ウィキペディア「アミ族」: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9F%E6%97%8F

[5] ・台湾アミ族の社会組織とその変容について(pdf): http://www.obirin.ac.jp/pdf/gs_master2002/20041209.pdf

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