- 感謝の心を育むには - http://web.kansya.jp.net/blog -

不登校どうする?!8~個室は不登校を増やす?治せない?~

2006年に「一人暮らし」世帯が「夫婦と子」世帯を抜いていた! [1]

おじいちゃん、おばあちゃん、ひいおばあちゃん、兄弟10人など、様々な世代で構成されていた大家族時代には、“自分の部屋”も、“年老いて1人で人生を終える”ことも、想像つかなかっただろう。

一人暮らし世帯の増加は、個室化の最終局面が来ているともいえるのかもしれませんね。

●私権時代の個室化

◆個室化するのはなんで?

 私権時代3000年の歴史を通じて、個室化の欲求が顕著になったのはこの20年である。個室を求めるのは人と一緒にいることの煩わしさによるもので、その中身は、うるさい(干渉されるのが嫌)、厄介、気を遣う、目障り……などである。そして、そのように感じるのは、誰もが自我と警戒心の塊だからである。自我は簡単に傷つくし、人も傷つける。それが分かっているので互いに傷つけまいと気を遣う。秘密や弱みがあれば、それを暴かれまいと身構え警戒しつつ人と接することになる。自我を持ち合わせていなかった(完全に封印されていた)時代には、気を遣う必要も、警戒する必要も無かったはずである。要するに、私権統合ゆえの諸々の緊張や煩わしさから逃避して、密室を求めようとするのである。
 旧私権時代、そのような自我・私権は、強制圧力(権力)によって統合されていた。不当な支配関係に従属している者にとっては、知人や親戚との人間関係の厄介さなど取るに足らないものであり、人付き合いは煩わしいものであったとしても、その程度のマイナスは、マイナスとも意識されない、当たり前のものとして感受されていた。ところが貧困が消滅し、私権の強制圧力が消滅すると、自我と私権存在であることによる人間関係の厄介さが前面に出てくる。そして、職場の人間関係も、私的な人間関係も、男女関係も全てが煩わしくなって密室を求める。

図解にすると…

   貧困消滅→強制圧力▼→人間関係の煩わしさが全面に出る⇒個室(密室)化

ということ。

◆私権時代の個室とは?

貧困が消滅し、私権が衰弱。しかし、私権制度や私権観念が残存しているため、人々は私権を獲得して生きていく存在であり続けなければならない。私権は衰弱しているが、よりいい学校に行くためには、勉強をする必要があり、また、よりいい女を獲得するために、恋愛が必要だと私権観念を共認していた。
また、1970年以降は、貧困という「みんな不全」が消滅していき、それに伴って人々の意識から「社会課題=みんな課題」が捨象され、ミーイズム(自分主義)がはびこっていった時代であった。そんな中で「自己実現」や「自己啓発」あるいは「輝いている自分」などの剥き出しの自分観念を人生の道標に私権課題や自分課題(遊びや趣味)に没頭していった時代でもある。

「勉強しなさい」「何をやっているのか?」と口うるさく干渉してくる両親から逃避し、私権課題に没頭するために一人になれる個室を求めていたし、遊びや趣味のために自分のための個室が欲しかったのだ。

●現在の子供の個室化

◆現代の個室とは?
なぜ、子供は一人部屋=個室を与えられているのか?
子供・両親のそれぞれの理由は下記。

★子供  「特になし」

…私権観念の瓦解と同時に、受験勉強意欲や恋愛などの性的自我も衰弱しており、「なぜ個室が必要なのか?」と問われれば、特に理由ははないのが現代の子供たちの実情。
(好き勝手するために、個室を獲得するのではなく、個室を与えられるので、好き勝手するという構造に…!)

★両親  「自立させるために必要」

…私権衰弱し、受験勉強圧力の低下している現代では、「勉強のために個室を与える」という理由付けが薄れ、残っているのは「自立させるために個室を与える」という観念。
「自立させるために、なぜ個室が必要なのか?」と問われれば明確な理由はないが、「とにかく自立させるためには個室が必要にちがいない」と自分達の経験も相まって、半ば支配観念化している。

 ※参考データ「子どもとのコミュニケーションと住まい」についてのアンケート [2]

現代の子供達は、みんなで勉強できる自習室や家族がいるリビングで勉強している。子供がリビングで勉強できるような設計にする住宅が注目されていることも話題になっている。

私権衰弱し、私権観念も瓦解した現代、個人課題では活力が出ない子供たちは、かつては私権獲得するために一人で個室でもくもくとしていた勉強も、みんなで充足できるみんな課題へと転換させ(ようと)している。

そんな子供たちに、個室を与えることは活力衰弱に追い討ちをかけているのとも言えるだろう。
また、答えを出せない親の「自分で勉強しなさい」「自分で考えなさい」とあらゆる課題を個人課題化させていく、「自分は勉強を教えたくない、考えたくない」という自分を正当化する欺瞞観念が「個室」=「無圧力空間」を作り出し、活力を衰弱させ、関係能力や外圧適応力を低下させていっている。

関係能力・外圧適応力低下し、活力衰弱し、学校に行かなくなった不登校児は、この「個室」から生み出されている。

[3] [4] [5]