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「家庭」の根幹がぐらついている

最近、20代の若者と話していると、とても面白い疑問をぶつけられる事がある。

「結婚ってなんでするんですかね?」

とても思考を揺さぶられる 🙄 質問である。

そして、実はこの疑問は、「家庭」という最小単位集団の根幹が崩壊寸前である事をも、意味している。
hakuunrou2006A62.jpg [1]

この質問は世代間格差がとてもはっきりする部分だ。

恐らく、結婚そのものを疑問視する風潮は、90年代辺りから既に出始めてはいたと思われる。
それは、年々増加する未婚率からも見て取れる事だが、最近の20代が抱く疑問は、もっと根が深い。

それは、本当に『意味』の探索に向かっているからだ。

先日のエントリー「家族が社会の最小単位のウソを解き明かした本~『親子という病』より [2]」でも、家族幻想の現実的な崩壊が紹介されていたが、その入口である結婚観も、明らかに変りつつあるのだ。

例えば、るいネット [3]にも男女双方の結婚観に対する投稿がいくつかある。

続きの前に、いつもの ポッチリ、お願いします :nihi:

結婚したら生活できない! [4]

というのは女子高生に面接した時「将来結婚はどう考えてるの?」という質問の回答である。

最近ティーンの女の子からよく聞かれる言葉だ。

彼女たちにとってもはや将来の選択肢に結婚というのはほとんどないようだ。

経済的に成り立たないといことだけでなく、やりたい仕事ができなくなるというのも背景にあるようだ。

現在のティーンの女の子にとって最重要課題はいかに仕事のスキルを身につけるかということのようだ。

かといって、かつてのキャリアウーマンのように生殖は放棄しているわけではなく、子供を産みたいという願望は強く持っている。

結局現在の男女関係において生殖はもとより生産活動にもかかわりたいという女性の期待に対して応えられる男がほとんどいないことの裏返しでもあると思われる。

このような辛口な意見に対し、一方の男側も

結婚に興味が無い男性が急増中? [5]

結婚によって生じる経済的、時間的、精神的な制限がきわめて大きいという意識を皆持っているようで、収入と時間を自分の好きなように使える今の状況を変えたいと思っている人は少ない、といういことだと思います。
 
 さらに結婚して子供がいて、住宅ローンを抱えていて、月の小遣いが3万円程度で一生懸命働いている40代の“おじさん”たちを見ていると、正直幸せそうに見えないのが大きな原因の一つかと思います。周りの人の話を聞くと、20代で結婚しても、子供がいない場合は離婚(若年離婚)する割合が高いようです。

という事で、男も女も将来へ向けての多様な可能性探索の中から、「結婚」というキーワードがドンドン遠のいているという実態が垣間見えます。

むしろ、結婚はいろんな意味で足枷にしかならず、むしろしない方が良いのでは?という方向での探索が活発化しているとも言えます。巷で話題の「婚活」も、30~40代に限られた話、もっと言えばその親が一番必死な状況であり、むしろこの流れは所謂『私婚』の最後の灯火となる可能性をも秘めていると、私は思います。

さて、これほどまでに「結婚」に対する意識が明確に変化してきたのは何故か?

その根幹にあるのが、「私権の衰弱」という構造にあるのです。

実は、恋愛も結婚も家庭も、全ては私権の共認とその正当化の為の近代思想を土台として形成された制度の上に成り立っています。そして、当ブログでも度々言及していますが、その歴史は驚くほど浅い。現在、我々が当り前と思っている現在の家族という概念は、極めて不合理かつ現実離れしたものでしかなく、その浅い歴史は早くも幕を閉じようとしているのです。

今後、この私権⇒私婚の共認へと至る歴史・背景については順次追求課題として取り組んで行きます。

大元の構造まで辿り着けば、「結婚制度」を疑問視する若者の登場は、むしろ自然な事と感じ取れるようになると思われます。
そして、「結婚」や「家族」だけが答えではない、とはっきりした時点で、いよいよ新たな男女関係、あるいは子育て環境の探索は、みんなにとっての可能性としてより明確に意識されるように変るでしょう。

そして、ここで大事な認識を一つ。

社会制度は、政府によって作られるものではありません。みんなの意識が新たな規範を生み出し、その規範を普遍化する為の補助機能として、制度化が計られる、という手順こそが、本来の在り方なのです。よって、現状の制度とは常に仮の姿でしかなく、それらは様々な思考・探索の道具としてはなんら根拠には成りえない。時が経ち、人々の意識が変れば、それに合うように制度も変えて行く、というのが真っ当な判断。

よって、皆さんも一度頭の中にある旧制度の枠組みをすっぽり捨ててしまった上で、一緒に考えて行きましょう!

「シリーズ 家庭と市場」は、今後も歴史探索と可能性探索の両軸で進めて行きます。

お楽しみに~。

PS.これまでの「家庭と市場」にまつわるエントリーも、新たにカテゴライズしました。

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