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家族崩壊…日本は貧困大国???

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某経済専門誌の最新号の特集が「家族崩壊」。

タイトルにつられてつい買ってしまいましたが、中身を見ると???な記事ばかり。
(みごとにはめられました)

経済専門誌らしくいろいろなデータを掲載していましたが、「知らぬ間に日本は貧困大国に」というタイトルが付いたデータに大いに違和感を感じたので調べて見ました。

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某誌で掲載されたデータは、OECDが作成した「対日経済審査報告書」で引用され、2006年7月に日本の格差拡大を示すデータとして日本のマスコミにも紹介されたもの。

相対貧困率」という耳慣れない指標ですが、ウィキペディア [1]によれば次のような定義になっています。

⇒国民の経済格差を表す指標で、「年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合」の事。

⇒絶対的貧困率と異なり国によって「貧困」のレベルが大きく異ってしまうという特徴を持つ。この為裕福な国Aにすむ人が相対的貧困率の意味で「貧困」であっても、貧しい国Bにすむ人々よりもずっと豊かな暮らしをしている、という事もありうる。よって相対的貧困率は「貧困率」という名前であるが、貧困を表す指標ととらえるよりも国民の経済格差を表す指標ととらえたほうが正しい。

この定義を見ただけでも、「貧困大国」という表現はないだろう!!と思いますね。
何か、別の意図があってこの表現なのか?それとも、都合の良いデータがあったから安直に採用しただけなのか?

関連するデータも含めて、解説しているサイトがあるのでそちらを見てください。⇒(社会実情データ図録さん [2]

●そのデータによると、OECD諸国の中で、日本はアメリカに次いで貧困度が高いというようなグラフになっています。(結構あちこちで引用されているようです。)

しかし、実感とは全くそぐわないですよね。

●まず言えることは、生活に困る人が大勢いるという意味での貧困状態を示している指標ではないということ。ウィキペディアの解説にもあるように、あくまでも格差を示すもの。
別のいろいろなデータを見れば、日本社会は既に豊かになっていて、その中での格差がどうしたというものでしかないことは明らか。

●上で引用させていただいた、「社会実情データ図録」さんの解説によれば、年齢別所得格差が大きいことが、相対的貧困率を引き上げることになっているようで、そういった日本社会の特徴を無視して一部のデータだけを取り上げて云々するのはいかがなものか?

●なお、「社会実情データ図録」さんでは、他にもいろいろなデータを示してくれています。
所得水準と貧富の格差相関図 [3]」を見ると、日本は先進国の中でも最も貧富の格差が小さい国のひとつになっています。

また、ジニ係数というやや分かりにくいデータによる「所得格差の国際比較 [4]」によると、日本はOECD諸国のだいたい中位ぐらいにあるようです。

家族崩壊」という社会状況にあることには異論はありませんが、その原因のひとつに「貧困」があるといった分析では、そこから先の「どうする?」という答えは全くピントはずれのものになってしまうことは明らか。

以前よりも所得格差が広がっていることはそのとおりだとしても、それを問題視しても何の解決にも繋がらないでしょう。

むしろ問題にすべきは、豊かな社会になったけれど、人々の活力が衰弱していることであるし、家族にひきつけて言えば、現代の家庭は人々の活力を再生する場になっていないこと。
そして、個々の家庭だけでは子育てもうまくできない状況になっている ことこそ問題視しなければならないはずです。

市場システムが根本から変わろうとしているいまこそ、社会の最基底部にある家族という集団のあり方を根本から見直すことが求められていると思います。

by わっと

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