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学校ってどうなってるの?81~【聴写の効用その2】

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写真3:豊玉南小1年生の音楽の授業。お気に入りの楽器で好きな音を出しながら、
「おとのマーチ」の歌詞「きいてきいて○○な音がする」に言葉を当てはめ、
みんなで歌い、聴き合う

学力低下現象を色々挙げてみて気づくこと・・・・それは、この問題が単に試験の点数が取れないといったレベルの話しではなく、言語能力(日本語力)の低下を表わしており、また、言語能力を支える「観念能力」(考える力) や、ものごとを吸収し学ぶ原点とも言うべき「同化能力」(真似る力)の衰退現象であることがわかる。【学校でどうなっているの?69より】
次の3つの事例は聴写することで同化能力が上昇し子どもの学力を高まることを教えていると思います。

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続く 

■1,【聞き上手は話し上手】といわれます。聞く力が育つと話す力もグングン伸びていくようです。】
聞く力を育てる方法論 [1](北九州市立香月小学校菊池先生の事例から)

第25回 『聞く力』を育てるちょっとした取り組み
「聞き上手は話し上手」といわれます。聞く力が育つと話す力もグングン伸びていくようです。では、どのようにすればその聞く力が育つのでしょう。今回は、「聞く力」を育てるちょっとした取り組みを考えてみました。
①沈黙の3分間
 話を聞くためには、集中力が必要です。このことを子ども達に実感させる必要があります。
『3分間黙って、聞こえてくる音を全部書きます』と指示します。子ども達は、意外とたくさんの音が聞こえてくることにビックリします。5年生で平均15個でした。そして、10分ほどたった後に、もう一度同じ事を行います。ほとんどの子どもが増えています。この取り組みをした後、先生の話や友達のスピーチを聞かせます。子ども達は集中して聞きます。この「沈黙の3分間」を学期に数回行うと、耳に神経を集中して聞こうとする子ども達に成長してきます。

②連絡は聴写の時間
 毎日の連絡を聴写させて聞く力を鍛えます。話を聞き取らせて書かせるのです。取りかかりは、
・ 朝の会の今日の連絡
・ 帰りの会の明日の連絡
がよいでしょう。最初はゆっくり、何度かくり返すことから始め、慣れてきたらスピードを上げて回数を減らします。早く書けた子どもに読ませて、内容を確認します。
上達してくると、
・ ある程度まとまった話
・ 各授業時間の問題文
なども聴写させます。
聴写できないと自分が困りますから、子ども達も一生懸命に聞こうとします。3ヶ月もすると低学年でもスラスラ書けるように=聞けるようになります。

③読むのは1人
 1人の子どもに教科書やプリントの文章を読ませ、他の子ども達にはそれらを見せないで聞かせるのです。そして、その内容がよく伝わったか、どのように伝わったかを発表させるのです。主に国語の時間に行うといいでしょう。 最初は、読み手の読み方に意見が集中するかもしれませんが、徐々に積極的に聞こうとするようになります。ラジオを活用してもかまいません。
この取り組みを行うと、
・ 物語的な文章であれば豊かにイメージしながら聞く
・ 説明的な文章であれば論理展開に気をつけながら聞く
といった効果があります。

④聞いた後は質問タイム
「話を聞いたら必ず質問する」を学級の合い言葉にします。「質問するまでが話を聞くことである」と決めるのです。聞き方が驚くほど積極的になります。次のような質問の基本形を示しておくと効果があります。
・ ~ということですね。
・ なぜ~なのですか。
・ 例えばどんなことがあるのですか。
・ もし~だったらどうするのですか。
活動をくり返すたびに学級の基本形を増やしていくと、子ども達のやる気は高まっていきます。
話を聞くということは受身の活動ではなく、能動的な活動なのだということを意識し始めます。自然とメモを取り始める子どもも増えてきます。

⑤事実と意見の「区別ジャンケン」
話の聞き方が不十分な子どもに多いのが、事実と意見の混同です。聞き分ける力が不足しているのです。子ども達の好きなジャンケンでこの聞き分ける力を育てます。教師や友達の話を、1文ごとにジャンケンで示させるのです。ゲーム感覚で行います。
・ パ―・・事実。「昨日は雪が降りました。」
・ グ―・・意見。「とてもきれいだったです。」
・ チョキ・・両方ある。「3センチ積もって、ビックリしました。」

この聞き分けることができるようになると、話を聞き終わった後に話し合いや質疑応答が落ち着いたものになってきます。誤解が少なくなり、冷静に人とのコミュニケーションができる

■2,【「聴き合う」ことのよさ、学び合う喜びを学校生活の中で実感しつつ成長している。】 [2]
【実践事例】東京都練馬区立豊玉南小学校

「聴き合う力」を育て子どもの学び合う力を高める
近年、入学してくる子どものコミュニケーション力に変化が見られるという。
それを敏感に感じ取った豊玉南小学校の教師たちは、
学びの基礎となる力として「聴き合う力」に注目。
教師と子ども、そして子ども同士の関係づくりから子どもたちの学ぶ力を高めている。

①学び合いのためには「聴き合う力」が不可欠
・本来、学校での学習が家庭学習と異なるのは、仲間同士の学び合いが可能であるという点だ。一つの問題をめぐって、「僕はこう思う」「でも○○君はこう言っている」「じゃあ、こうしてみたらどうだろう」など、子どもは仲間と一緒に学習することによって、さまざまな心の動きを体験できる。そうした体験が、子どもの学びを深めていく。

・ だが、「自分を出したがるが、相手の話は聞けない」子どもと、「自分を出すことができない」子どもが増えてしまっては、教室を子ども同士の学び合いの場へと高めていくことは難しくなる。
そこで渡邊校長の発案によって、豊玉南小学校が2001年度から実践しているのが、「一人ひとりの学びを大切にした授業の創造・聴き合う、学び合う活動を通して」という取り組みだ。

・ 「子どもたちが積極的に発言している授業は、一見、活発に見えます。でも子どもの発言が、相手の発言などお構いなしに、思いつきを言葉にしているだけのものと、先生やほかの子どもの発言を受け止めたうえで言葉にしたものとでは、学習の深まり方は全く異なります。また、黙って聞いている子どもたちも、自分の問題として聞いていることもあれば、そうでないこともあります。 ですから、お互いの学び合いの中で子どもの学力を伸ばすためには、まずは子どもに『聴き合う力』をつけることが前提になると思ったのです」(渡邊校長)  ~中略~

②教師との「聴き合う」関係を友だち同士に広げる
・ ただし、1年生の段階では、教師との1対1の関係が成り立っていても、友だちとの横の関係づくりが苦手な子どもが多いと勝沼先生は言う。そこで豊玉南小学校では、教師と子どもとの間にできた「聴き合う」関係を、今度は仲間同士の関係づくりへと展開していく。

・ 「『先生に話すのではなくて、みんなに話してちょうだい』とか、『ほかの人はどんな意見を持っているか知りたいよね』といった言葉掛けによって、子どもたちの眼差しが、教師に対してではなく、仲間へと向かうように方向づけていくのです」(勝沼先生)

・子ども同士の「聴き合う」関係をつくっていくには、教室の中での空間づくりの工夫も有効だという。授業の中で「子ども同士で話し合わせたい」という場面が出てきたら、机の配置をコの字型や円形にして、お互いに顔を見合わせながら話せるようにする。教師はわざと子どもたちの背後に立つことで、子どもたちの視線から外れる。子どもの中には、教師とではなく、仲間と話し合っているという意識が生まれるわけだ。 このような工夫を、子どもの様子を見ながら、臨機応変かつ積極的に取り入れていくことで、通常以上の効果が期待できるという。

③「聴き合える」関係が授業を楽しくする
・豊玉南小学校の取り組みが優れているのは、子どもの「聴き合う力」を育んでいくための実践が、一部の教師によってではなく、全校の教師によって機能しているところにある。

・ 「どの先生も1年間に3回は研究授業を受け持ち、3回のうちの1回は、授業後に協議会を開きます。協議会では、子どもたちの学びの姿を確認するためのビデオを活用したりしながら、子どもの『聴き合う力、学び合う力』を育む働きかけができていたかを、全教員で話し合っています」(渡邊校長)
  この研究授業が定着するまでには、抵抗感を持つ教師も少なくなかったという。

・ 「自分の授業をほかの先生から批評されたときに、まるで自分の人格を否定されてしまったかのように落ち込んでしまう先生もいました。しかし、回数を重ねていくうちに、研究授業や協議会が、先生の技量を評価する場ではなく、子どもの『聴き合う力、学び合う関係』をつくっていくための議論の場であることを理解してもらえるようになりました」(渡邊校長)

・全教員が一つになって子どもの力を高めていくための豊玉南小学校の取り組みは、今年5年目を迎えた。今、その成果は確実に表れつつある。勝沼先生は次のように話す。
  「今、多くの小学校で、塾に通っている子どもが、学校の授業を真面目に受けようとしないという話を聞きます。でも『聴き合う力』をうまく利用すれば、塾に通っている子どももそうでない子どもも、同じような刺激を感じながら授業に参加することが可能になります」~中略~
「聴き合う力」があるからこそ、新たな発見や思考が生まれるのだ。 「だから本校の子どもたちは、高学年になっても、塾に通っている・いないにかかわらず、『授業が楽しい』と言ってくれますね」(勝沼先生) さまざまな育ち方をして入学してくる子どもたちの言葉を、まずは教師が聞き、受け止め、そして、子ども同士をつないでいく。そのことで、新入生たちは確実に、「聴き合う」ことのよさ、学び合う喜びを学校生活の中で実感しつつ成長している。

■3,聴写することで同化能力がアップする
脳力開発は塾の社会的役割である。 [3]
・塾で国語を教えていて、脳力開発の一貫で『聴写』ということを組み込んでいます。こちらが読む古典を生徒たちは耳で聞き取り書き写すというものです。ほぼ1ヶ月毎週の授業で行いました。もう少し様子を見る必要がありますが、その成果はかなりあると感じています。

・具体的には、国語以外の教科も含めて生徒たちの板書を写すのが速くなったこと、演習中に集中力が上がったことです。ただ、こういったことはテストで点数が上がるというような生徒たち本人にとって目に見えるようなものではないので、講師である私たちが意識的に少しの変化に気付く必要があります。「前回よりも集中していたよ」とか「ノートに写すの速くなったね」とか、こちらからが評価することで子どもたちに自身の変化を気付かせます。もしかしたら講師側もより生徒を注視できるようになったのではないかと思います。

・また、私自身この聴写で子どもたちの同化能力に驚いています。20人前後の生徒がお互いの鉛筆で書く音も聞こえる中で、初めのうちは速い遅いの差がありましたが、その音が揃ってきました。というのも生徒にきっちり書き取らせること自体を目的としてしまうと、ゆっくり読んで書き取らせるということになりますが、そんなことしても充足には繋がりません。ある程度の速さで、その速さを次第に増していくことで、子どもたちは周りの力も借りて書き取るスピードも上がってきます。初めて5回目の授業では1回目に比べかなりのスピードで聴写できるようになっていました。

・この調子で夏頃にはどうなっていくのか非常に楽しみです。耳で聞いたことを速く書き取れるようになることは学力の一貫だと思います。会社に入社してくる新卒の中には、会議でメモがとれないという者もいます。塾なので希望の高校に合格させるのは当然の役目なのですが、最近、難関の中学受験を突破した生徒でさえ入学後燃え尽きてしまうという現象もあるくらいですから、合格させて終わりというわけにはいきません。入学後いや社会に出てからも役に立つ力も付けてあげることこそが塾の社会的役割であると思います。 どうしたら新概念を使いこなせるようになるの?

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