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秘訣は、「聴き」上手で「訊き」上手

『学力低下』が社会問題となり、これまでの『ゆとり教育』にかかわり、新たな教育のあり方が模索されています。一方、新しい指導要領に現場の先生は困惑している?ということも聞かれます。が、そんな中、頑張っている先生もいます。そんな先生の授業を紹介します。

その先生は、東京都の中学校で国語を教えるN先生。授業は、中学2年生に詩を書かせるというものです。N先生は、生徒たちに指示を出さないどうでう。でもぜだか、生徒たちから言葉があふれ出て、いくつもの詩が生まれてくる。その秘訣は、生徒たちの微妙な意識の変化を「聴き」、生徒たちがみずから気付くように「訊く」ところにあるようです。

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「Benesse教育情報サイト」 [1]のコラム[こんな先生に教えてほしい] [2]から紹介します。

N先生は、どう詩を書けばよいのか、考える手がかりとして、
  ◆物事を見つめよう。
  ◆社会を見つめよう。
  ◆自分を見つめよう。
  ◆誰に読んでほしいかを考えよう。
という、四つのポイントを伝え、授業を始めます。

N先生と生徒のやり取りはこんな感じだそうです。

1人の生徒が詩を書き上げてきました。
詩の題名は、『豆のような人』です。背の小さな同級生の友達へエールを送る詩でした。先生は、詩の中の言葉に注目し、生徒に向き合いました。
先生:これだよね。「なぜあなたは笑顔をつくるんですか」って。
つくらなくてもいいんだよな。そのまんまでいいんでしょう?
でも君がいないと、そのままの泣き顔や怒った顔ってできないかもしれないからね。
生徒は、先生の問いに、ただうなずいているだけですが、緊張した顔が少しずつ微笑みに変わっていきました。
最後に先生は、「いいですね、清書してください」と伝えました。

そのあとに来たのは、『豆のような人』を読んで『納豆のような人』というパロディーを思いついた生徒です。
N先生は、読み終えて、
先生:『豆のような人』がもし先になければ、この詩は生まれなかったかもしれないね。
ここさ、いいね。「ねばり強さは成長の遅い植物のようなものだから」って。
なるんでしょう、そういう人に?
また生徒は、うれしそうにうなずき、微笑みました。
最後に先生は、「『○○君(『豆のような人』を書いた生徒の名)の詩を読んで』って入れといてあげよう」と付け加えます。

一度書き上げたものの気に入らず、その後、えんぴつの動きが止まってしまった生徒がいました。
先生は静かに隣に行き、話をします。
先生:一つのきちんとした作品にまとめようと考えないでほしいな。
まだ、君の中に言葉がいっぱいありそうな気がするから……。
まず、それを出してみればいいじゃない。
出してみたら?
それからでいいよ。詩にしようというのは……。

コラムの作者:桑山裕明さんの曰く、N先生は「聴き」上手「訊き」上手

なるほどです。「聞き上手」という言葉がありますが、N先生は、単に「聞く」だけでなく「聴く」と「訊く」の二つをしているようです。生徒たちの微妙な意識の変化を「聴き」、生徒たちがみずから気付くように「訊く」ことをしているのですね。

確かに、一方的に聞くだけではいつもでたっても生徒たちの想いは分からず、想いが分からなければ何を教えたらいいのかが分からない。それに、知識を与えるだけでは生徒が分かったことにならず、生徒が自らそれに気づくことが必要ですね。

では、子どもたちの微妙な意識の変化を聴くには何が必要か?子供たちの表情やしぐさを注視するとともに、子供たちが生まれ育った社会状況や意識潮流を勉強することも必要になりそうです。

「聴き」上手「訊き」上手であることは、学校の授業に係らず、家庭でも、職場でも、人と人がかかわる上で大切なことだと思いました。(さいこう)

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