平成19年度版国民生活白書では、最近の家族の姿をいろいろな角度から取り上げています。
その中に、おもしろいデータがありました。
「家族が最も大切」と思う人の割合が増えているのに、親子の対話の充足度は低下している…もよう
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平成19年版国民生活白書における解説は以下のとおり。(リンク [1])
あなたにとって一番大切なものは何かという問いに対して、家族と答えた人は、1958年当時は1割程度しかなかったが、70年代以降一貫して高まり続け、2003年には約5割となっている。
一方、親子の対話における充足度は以下に見るように大きく低下してきている。
一見して矛盾するこの二つのデータはどう解釈したらよいのだろう。
「最も大切と思うもの」のグラフでは、80年代以降まさに「家族」がダントツ。
家族以外のものは信頼に足るものではなくなってきている様子が見て取れる。
かつて、国民皆が貧しく、豊かさを求めて一生懸命に生きていた50~60年代は、「自分」と「愛情」が最も大切なものだった。
戦後教育で刷り込まれた、個人と愛情(恋愛)こそが最も価値あるものという意識。
ところが、70年代に入り、国民のほとんどが豊かさを獲得すると状況は様変わり。
個人や愛情・精神といったものも含めて、あらゆる既成の価値が意味を失っていった。
結局、最後に残された頼れそうなものが家族しか無かったという顛末だろう。
その証拠に、2つ目のグラフにある親子の対話の充足度は低下する一方だ。
社会の閉塞が進み、不安がますます増大していく一方なのに、他に頼れそうなものが無いから目先にある家族が最も大切と思い続けている。
しかし、いくら親子の対話をしても、社会に起因する不全や不安を払拭することはできないし、社会の閉塞はますます進んでいくから対話の充足度は低下する一方…
という状況をこれらのデータは如実に示しているのではないだろうか。
白書では、親子が一緒に過ごす時間が少ないから、といった実に表面的な分析しかしていない。
学者や官僚、マスコミなどに答えを期待しても肩透かしを喰らうばかりだ。
この状況を突破する答えは、現実の中で生きている人々が集うネットのような場の中からしか出てこないのだろう。
by わっと