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子育てに必要な力ってなに?

今日は、児童養護施設で働くOさんに議論の場に参加頂き、実際の子どもたちとの生活についての話を伺いました。

その中で、現代家庭に欠けていると思われる部分や、子育てにとって不可欠な要素とはなにか?といった辺りでいくつかの気付きがあったので、ブログにて紹介してみようと思います。

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(写真はこちらのサイト [2]からお借りしました)

現在、Oさんの働く施設では、2歳から18歳までの子ども達が40人ほどで集団生活を送っています。
その中で、各ホームごと子ども達6人に3人の担当が交代制で保護者としての役割を果たすのが日課。

文字通り、家庭でいう親の役割を担っているのが、Oさん です。

しかし、ここでの生活には、核家族家庭との決定的な違いがあります。

なんでしょう?気になる方は、ポチッと押してから、続きをどうぞ。

一つ目は、血の繋がっていない異年齢の子ども達が、それぞれ年齢に応じた役割を施設の中でしっかりと担っていること 😀 。

例えば、晩御飯を食べ終わった後、年少組みは床掃除、年長組は、お皿洗い、部屋掃除、などなど。いかにサボろうか 🙄 と知恵を絞りあったりもしているそうですが、下の子ども達は、お兄さん、お姉さん達のような役割を早く担えるようになりたい!と張り切って みたり、上の子は下の子のお手伝いにちゃんと「よくできたね!ありがとう 😛 」って言えるようになったり。ちょっとづつ、お手伝いが上手になり、誉められるととても嬉しそうに 喜んでくれるんだとか。

共同生活の中での共通課題。年齢に関わらず、しっかりと生活の場に根ざした役割があれば、自然と圧力も高まるし、活力も沸いてくる。また、共通課題さえあれば、お互いの間にある「他人」という壁は、簡単に越えて行ける、という事を示す事例です。

二つ目は、子どもに対してしっかりと 圧力 が働いているという点。

児童擁護施設の位置付けは、あくまでも一時保育であり、可能な限り親も子もいずれは一緒に暮らせるようになる事を目指す、という事になっています。
しかし、実態はなかなか簡単には家庭復帰はできないそうです。子どもがいくらしっかりと育っても、それを受け入れる家庭側の環境が整わなければ、家には戻れない。例えば、父親とは上手く行っていても、親権を持つ母親が認めないが故に、家庭復帰できないなんて事例もあるようです。

施設側は家庭に代わって子どもをしっかりと育てる、という課題が日課となり、単に保育園のように一時期的に預かるだけとは訳が違う。場合によっては、施設からそのまま自立可能な状況にまで育てる事も有る訳です。そうなってくると、子ども達にはしっかりと社会性や規範を身に付けてもらわなければならない。

そこで、特にOさんの勤めている施設では、子ども達の為にしっかりと圧力を掛け続ける事が共認されており、そのおかげで子ども達の心がちゃんと育まれている、という話を聞きました。ようは、甘えやゴマカシを許さない厳しい目、というものを大人がしっかりと持って接する事で、初めて子ども達にも気持ちが伝わるという事なのでしょう。そのように本気で接してくれる大人こそが、子ども達の求める親への期待そのものなのだと思います。

もちろん、Oさんの施設で一番厳しいのは施設長のお姉さん(60歳)。そのお姉さんの厳しい指導に、若い指導員・保育士の方々にまずは圧力がしっかりと働き、そのおかげで子ども達にも厳しく接する事ができる。さらにそのお陰で、そこの施設の子ども達はみんな周りに対して優しい子ども達に育っていくそうです。

外圧が働く⇒必然的に外=周り(の圧力)に意識が向かう。⇒みんなで生活している事が意識の中心になる。⇒周りへの期待や感謝が自然と育まれる。

という循環ですね。

逆に圧力を排除してしまうと、ひたすら自分だけの世界、内向きの意識となっていく。どんどん自己中化

現在の密室家庭では、子どもに降りかかる圧力を極力排除し、無圧力な消費者に育て上げてしまってる可能性が非常に高い。むしろ、核家族ほど子どもの自己中化を促進している疑いはおおいに有り得ます。

児童養護施設には、虐待や放任にあったかわいそうな子ども達がひっそりと肩を寄せ合って生活しているようなイメージがありますが、実際には密室家庭に問題があるだけで、子ども達には初めからなんの問題も無いのです。むしろ、保育・生活環境としては、密室家庭よりもよっぽど優れた環境が整っている。

今回、Oさんに実態を伺って、改めて感じた事があります。

人が人として成長する為に必要な事はなにか?

それは、共同性や集団性・社会性であり、その中心を成すのが、心の育成(周りの気持ちがわかること)ではないでしょうか。

人には、心=共認機能があり、その共認機能は共認圧力に磨かれて、育つもの。
その共認圧力をしっかりと掛け合える環境が無ければ、心は育たない。そして、それは密室家庭の母子間だけでは不十分である、ということ。

むしろ、Oさんの勤めているような施設での生き生きとした生活実態こそが、広く社会のお手本とすべき環境にあるんです。
その施設で立派に対象性を身に付けて育った子ども達には、『みんなでの生活って、こんなに楽しいんだよ!』と自信を持って世の中に発信して貰いたいな~と想いました。

今回、とても貴重なお話を聞かせていただいたOさんと仲間達に、この場を借りて感謝いたします。

かわいでした。

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