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学校ってどうなってるの? 10 ~教育再生会議って?

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「学校ってどうなってるの?5」では、規範の再生や自己中生徒への懲戒強化など、学校再生に向けての政府教育再生会議の方針について扱いましたが、シリーズ第10弾では、改めて教育再生会議の基本スタンスについて調べてみました。

 ■「教育再生会議」とは?

教育再生会議(きょういくさいせいかいぎ)は、教育改革(再生)への取組みを強化するため安倍内閣によって新たに設置された機関である。2006年10月10日の閣議決定により設置された。会議そのものは内閣に、担当室は内閣官房に属する。( Wikipediaより)

■メンバーは?

閣僚

安倍晋三(内閣総理大臣)
塩崎恭久(内閣官房長官)
伊吹文明(文部科学大臣)

有識者(委員)

野依良治(座長) 化学者(ノーベル化学賞受賞者)
池田守男(座長代理)経営者(資生堂相談役)
浅利慶太      演出家(劇団四季代表)
海老名香葉子    エッセイスト(林家三平の妻)
小野元之      元文部官僚(日本学術振興会理事長)
陰山英男      教育者(立命館小学校副校長・立命館大学教育開発支援センター教授)
葛西敬之      経営者(JR東海会長)
門川大作      文部官僚(京都市教育委員会教育長)
川勝平太      歴史学者(国際日本文化研究センター教授)
小谷実可子     元五輪選手(シンクロナイズドスイミング)
小宮山宏      工学者(東京大学総長)
品川裕香      ノンフィクションライター(教育問題を題材)
白石真澄      評論家・大学教授(関西大学政策創造学部教授、少子高齢化と地域システムの研究、バリアフリーの研究)
張富士夫      経営者(トヨタ自動車会長)
中嶋嶺雄      政治学者(国際教養大学理事長・学長)
義家弘介      元教育者(内閣官房教育再生会議担当室長兼任)
渡邉美樹      経営者 (ワタミ社長・学校法人郁文館学園理事長)

※教育再生会議の庶務は、内閣官房に置かれる教育再生会議担当室において行われる。
担当室事務局長 – 山谷えり子(内閣総理大臣補佐官)

「委員には教育現場の経験者が二人のみ」「教育問題を専門に研究している学者が一人もいない」などの批判が出ているようですが、むしろ、 今まで何の答えも出せなかった専門家に拘らない方が良いと思います。
(参考: 「素人の社会活動19 素人と創造」 [1]

因みに、事務局長の山谷えり子氏は、ジェンダーフリー教育に反対し、家庭科の教科書や教育機関での性教育を問題視し、国会で取り上げたりもしている方です。

■3つの分科会にて構成

●第1分科会:学校再生分科会
・・・学力向上、教員の資質向上、教員免許更新制度、教師評価、学校評価・選択制、開かれた学校づくり、教育行政など

●第2分科会:規範意識・家族・地域教育再生分科会
・・・心の教育、伝統・文化の教育、規範意識、規律、体験活動、読書、家庭教育、生活習慣、家庭・地域との連携など

●第3分科会:教育再生分科会 
・・・高等教育、産業界との連携、教育バウチャーなど教育制度、9月入学、大学入試など入学、卒業に関する制度、国際化など

 ■ これまでの報告・取りまとめ等 
 ~「社会総がかり」での教育再生
(参考:教育再生会議HPより) [2] 

○いじめ問題への緊急提言(平成18年11月29日)

○第一次報告「社会総がかりで教育再生を~公教育再生への第一歩~」 (平成19年1月24日)

○教育委員会の抜本的見直しについて(第一分科会)(平成19年2月5日)

○「社会総がかりで教育再生を・第二次報告~公教育再生に向けた更なる一歩と「教育新時代」のための基盤の再構築~」 (平成19年6月1日)

これまでに上記の報告がなされていますが、第一次報告をより具体化した第二次報告の要点は・・・

・「ゆとり教育の見直し」

授業時数10%増を実現するために夏休みや朝の15分、土曜の活用を。

・「学校への競争原理導入」
学校間の競争によるレベル底上げ及び成果に応じた予算配分。

・大学、大学院は「研究・教育などの評価」
・・・に基づく交付金の大幅な傾斜配分。また、教員の人事・給与も年功序列をやめ、業績に連動した給与体系導入。

・小中学校では「学校選択制」を導入
教員給与も勤務評定を踏まえた給与体系。

・「高い規範意識の育成」に首相こだわり
「徳育」の教科化。

 ・「生命や家族の大切さ、子育ての意義・楽しさを理解する機会を拡充」
但し、母乳育児や子守歌の効用をうたった「子育て提言」は、政府・与党内からも異論が噴き出し、最終的に断念。

<以上  「asahi.com」 [3] より要点まとめ>

評価圧力の導入など、注目すべき点はいくつかありますが、とりわけ「子育て提言」・・・つまり、学校だけでなく聖域たる「家庭」にもメスを入れようといている点が重要だと思います。

これは、約7割の親が「家庭の教育力の低下を実感している」と答えた文科省調査や、親の規範意識の低下(ex.学校給食費の滞納総額が全国の小中学校で22億円に上る!)などの現実を受け、家庭の教育力の再生に取り組むべく検討されたものですが、政府内外から家庭の内部に踏み込むような内容への批判が集中したため、参院選への悪影響も考慮しあえなく断念・・・。

ちなみに、「親学」として提言に盛り込まれる予定だった主な内容は・・・

<以下  「YOMIURI ONLINE」 [4]より引用 >

▽若い時から子育てを自分のこととして考える

▽早寝・早起き・朝ごはんを習慣化する

▽保護者は子守歌を歌い、赤ちゃんの瞳を見ながら、おっぱいをあげる

▽母乳が出なくても抱きしめる

▽授乳、食事時はテレビをつけない

▽乳幼児期には本の読み聞かせを行う

▽小学生時代は今日の出来事を一緒に話す

▽PTAに父親も参加する

▽あいさつの励行

▽「ありがとう」「もったいない」などの言葉を大切にする

<引用終わり>

他にも「遊び場確保に道路を一時開放」「授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない」「企業は授乳休憩で母親を守る」などもあり、結構うなずける内容も多いですね。

ただ、もの足りなさを感じざるを得ないのは、社会的な規範の乱れや子育ての崩壊といった諸問題現象を前に、本来「こうあるべき」といった旧い家族規範や昔ながらの子育ての仕方をただ持ち出すだけでは“なんとなく良さそう”止まりであり、本当の問題解決⇒方針化に至る感じがしない点です。

「なんで?」子育てを自分の課題と捉えられなくなったのか?
「なんで?」読み聞かせや子守歌、あるいは母乳や見詰め合うことが大事なのか?
「なんで?」テレビには害があるのか?
「なんで?」規範や子育ての崩壊現象が進んだのか?

他にも「なんで?」を上げだしたらきりが無いですが、それらを底の底まで追求することなしには、皆が心から納得する方針化には至れないと思います。
・・・だから、内外からの根拠の無い異論反論に真正面から答えられず、断念するしかない。

これからは、“潜在思念”で感じる大きな方向性を、明快な言葉によって構造化してゆくことなしには何も実現しないし、人々の支持も得られなくなると思います。

(kota)

読んでくれてありがとう~ 😀

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