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学級崩壊やいじめを防ぐ試み・・・「構成的グループ・エンカウンター」

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学級崩壊やいじめを防ぐ試みとして、「構成的グループ・エンカウンター」という試みを紹介します。

■因みに、「encounter」とは・・・

遭遇すること。接触。出会い。

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■「構成的グループ・エンカウンター」とは・・・

>カール・ロジャースが開発したカウンセリングの方法。構成的エンカウンター(予め課題が用意されたもの)と非構成的エンカウンター(予め課題が用意されていないもの)に大別される。 ( Wikipedia [1])

であり、構成的(グループ)エンカウンターとは・・・

>國分康孝が開発した。 リーダー(ファシリテーターに当たる)から与えられた課題をグループで行う「エクササイズ」とエクササイズ後にグループ内でそれぞれ感じたこと、考えたことを互いに言い合う「シェアリング」で構成される。 教育活動として行われることも多い。 (Wikipedia)

また、

エンカウンターとは,ホンネを表現し合い,それを互いに認め合う体験のことです。この体験が,自分や他者への気づきを深めさせ,人とともに生きる喜びや,わが道を力強く歩む勇気をもたらします。

>人間関係が希薄な現代人は,自然にエンカウンターする機会がもちにくくなっています。いま学校では,教師がリーダーとなり,エクササイズを実施し集団でエンカウンターを体験して心を育てようという気運が高まっています。いわば「本音を表現する人間関係の実験室づくり」です。
( 「構成的グループエンカウンター公式ネットワーク」HP [2] より)

・・・と、カウンセリング手法をベースに、工夫や改良を加えながらクラス単位での教育手法へと発展させたもののようです。

■学校での具体的なやり方や効果は・・・

>具体的には、生徒をグループ毎に分け、あるテーマのもとに話し合いをさせるもので、テーマは色々とあるが、心が不安定になっている受験の時期に取り入れたのは、「今の不安はなにか?」「今、何が課題か?」というもの。(課題までも自分たちで考えさせる)
生徒たちからは、受験に対する不安が本音でドンドン出てくる。
その中で、自分の不安は自分だけの不安じゃない、みんな同じだということに気付く。
一足先に受験を経験した生徒からは「こうしたほうがいいよ」等のアドバイスが出てきたりと、話しは尽きず、時間が過ぎても夢中で話し続ける…。

>同年代の仲間と、表層的ではなく、真剣に話し、本音や弱音までも出す。
そして甘えたり支えたりするという中で心が繋がってゆく様がまざまざと感じられた。

( 「るいネット」 [3]「人と関われば人は育つ」「繋がりが人を支える」 [4] NHK 「プロフェッショナル 仕事の流儀」より「人の中で人は育つ」 [5]  )

・・・と、 課題を共有し、あるいは課題そのものを皆で見出し、本音で話合うことで、「自分からみんな」の共認充足体験が得られ、新たな繋がりを再生する効果があるよう。

■実際に「構成的グループ・エンカウンター」を実践し、研究した盛岡市子ども科学館 学芸指導主事の小野寺正己氏によれば・・・

人間は、「人と人との間で育って人間になる。」とよく言われます。人との関りを経ないで人は成長しないのです。積み残しが乳児期にあるということは、母親とその子の人間関係に積み残しがあります。 3歳児は個々に遊んでいるだけで周りとの繋がりが薄いのですが、 4~6歳になると友達との関りがでてくる。 3年生になると「ギャングエイジ」が出てきて、友達のルールが一番になる。親よりも友達の中のルールが優先され、そのルールを守らない子ははずされる。はずされるからルールを守る。まるでギャングのようなことが行われます。しかし、このギャングエイジを経ないと、次の学年には行かないのです。

>次に来るのが、中学校の第2反抗期です。こういう課題を、人との関りの中でキチキチとこなしながら発達して行くのですが、その「人との関り合い」がうまくいかないと悩むことになります。つまり、人間関係を学ばせないと駄目な時代になっている、というのが今の状況です。

>グループ体験をさせるのが一番の目的です。対人関係の中でないと人間は成長できないので、グループを使ってエンカウンターをさせようということです。「エンカウンター」とは出会いということですが、心理学的には「本音と本音の交流で自分や他者に出会うこと。」

つまり、人間は、本来、母親→仲間→社会・・・と、同化対象を徐々に広げていく中で成長し、自己を確立してゆく。
その意味ではアプリオリに「自分」があるのではなく、あくまでも「周り」が原点
しかし、現代の密室家庭において“遊び”を奪われ、無圧力の過保護空間で育てられた現代の子どもたちは、成長に不可欠な同化体験や、共認充足体験が圧倒的に不足している。
結果、人の気持ちが理解できず(=一種の自己中)、「自分」にしがみつき活力は衰弱するばかり・・・最悪は引き篭もる

「構成的グループ・エンカウンター」とは、 グループ体験によって得られる、“実は自分も周りも一緒なんだ”という安心感をベースに“自分からみんな”への転換を促す手法であり、だから学級崩壊やいじめ対策として一定の効果があるのだと思いました。

by kota

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