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食の崩壊の背景にある問題とは?

少し前の「食事の変化に見る家庭の実態」 [1]という記事で、現在の家庭における食事の実態を紹介しましたが、コメントを頂いたりうママさんだけでなく私も含めて身につまされる思いの人は多いのではないでしょうか?

ここで紹介した岩村氏の調査によれば、30歳~40歳の主婦の意識が60年以前生まれと以後生まれとでは、「食」に限らず生活の様々な分野の価値観、感覚、行動に大きな違いがあることが明らかにされています。その大きな違いとは何でしょうか?

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その違いは主婦たちの親世代にあるそうです。きちんと昔ながらの食事を作っていたはずの親世代において何が変わったのでしょうか?

以下は2005年の読売新聞の記事で岩村氏が分析している内容です。

>(母親たちの)平均年齢は65歳で、子供のころ終戦を迎えた人が多い。結果は「昔の母親」のイメージを覆すものだった。

>食糧難で幼少期にまともな家庭料理を味わえず、その反動もあって洋食にあこがれた。親に料理を教わらず、料理教室や本に情報を求め、自分が家庭を持つと、冷凍食品やインスタントのだしを当たり前のように使っていた。

> なぜ母親たちは「昔ながらの食卓」を否定し、受け継がなかったのか。キーワードは「戦後」だ。教科書の墨塗りに象徴される価値観の大転換を子供時代に経験した。

>「母親たちは個性を尊重する新しい教育観で子供を育て、『価値観は変わるから、親がやってきたことを伝えても意味がない』『子供に押しつけてはいけない』と考えるようになった」と分析する。

「個性の尊重」

戦後のこの価値観の転換が母親たちの教育意識を変え、その親に育てられた今の主婦たちの意識につながっているという分析は正しいと思います。家庭が社会から断絶して聖域化していく過程や「個食」にみられるように家庭内にあってもバラバラな個に分断されていく背景には、この価値観が横たわっていますよね。

しかし家庭が聖域化した理由はもう一つあって、市場拡大によって生産(職場)と出産・子育て(家庭)が分断されてしまったという、これまでの生物史上にない大きな問題があります。

この生産の場(闘争過程)と消費の場(生殖過程)の分断が、農業生産時代の農家にあったような、それ自体が一個の生産体であり自然圧力や様々な闘争圧力が働いていた場を喪失させ、何の圧力も働かない家庭(聖域)を作り出してしまったのです。

じゃあ、どーしたらいい?

りうママさんから率直な想いをコメント頂きましたが、この答えはこのブログで提起されている追求テーマそのものなんです。「家庭における食の崩壊」一つとっても、根本原因は全て先記に行き着くことがわかります。

家庭の中で答えを出そうとしても答えは見つかりません。つまり・・・

答えは家庭の中にはなく、外にしかない!

ということであり、それは闘争と生殖の場を包摂した共同体の再生にしかないと思います。

巷の「食育」ブームはどんな内容であれ全て目先なのであり、全く意味がないどころか事態を悪化させるばかりです。目先に捉われず、共同体の再生に向けて一歩でも二歩でも前進することが答えに近づくことだと思います。

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