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戦後の少年犯罪略史

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警察庁「平成16年中の少年の補導及び保護の状況」(http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen25/syounen16.pdf)より

最近、青少年の犯罪が増えているのか? 減っているのか?
いろいろな説があるようですが、まずはデータを確かめてみましょう。

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上のグラフにあるように、刑法犯罪で検挙された人員数を人口比で見るとこんな特徴が見えます。

戦後、昭和26年(1951年)と昭和39年(1964年)に小さなピークがありながら右肩上がりで増加してゆき、
昭和57年・58年(1982・83年)に最大のピークを迎える。
14歳以上20歳未満の人口比で1000人当り約19人。

その後、いったん減少するが、平成4年(1992年)を底にふたたび増加しはじめた。
平成10年(1998年)と平成15年(2003年)にピークが見られ、1000人当り約17人前後。
これから先、増えていくかもしれない、予断を許さない感じです。

それぞれのピーク時に多かった犯罪の内容を見ると以下のような特徴が見えます。(http://kangaeru.s59.xrea.com/toukei.html#hiritu)(罪名の右側の件数は少年人口10万人当り検挙数)

・昭和26年(1951年)…①窃盗725、②傷害49、③横領28、詐欺28、…(殺人2.6、強姦8.7)
・昭和39年(1964年)…①窃盗677、②傷害83、③恐喝75、④暴行69、…(殺人1.8、強姦21.0)
・昭和58年(1983年)…①窃盗1091、②横領106、③傷害62、④恐喝46、…(殺人0.5、強姦4.0)
・平成15年(2003年)…①窃盗732、②横領321、③傷害67、④恐喝34、…(殺人0.7、強姦1.9)

いつの時代も窃盗が一番多いようです。
昭和26年の頃は、前年に朝鮮戦争が勃発するなど戦後の混乱がまだ続いていた時期で、朝鮮特需が経済復興のきっかけになりはじめた時期です。殺人など凶悪犯罪が多かったようです。
昭和39年のピークまでは「傷害」が2番目だが、昭和58年以降は「横領」が2番目で件数がかなり増加している。
昭和39年までは殺人、強姦などの件数が比較的多く、特に昭和39年は強姦が非常に多い。(ちなみに昭和27年(1952年)から昭和47年(1972年)頃まで強姦の件数は2桁を超えていた。)
昭和58年の頃は殺人、強姦ともにかなり減っている。

戦後の最大のピークになっている昭和58年(1983年)頃は校内暴力がピークになっていた時期。
既に豊かさは実現されていたが、受験競争などに対する批判の声が高まり、ゆとり教育などが取り入れられ始めていた。
しかし、相変わらず学歴重視の風潮が残存し、それらに対する子ども世代の反抗心が高まっていた時期と言えます。
貧困の圧力があった頃に比べて、傷害や殺人、強姦といった凶悪な犯罪は既に沈静化していることも、大人社会に対する反抗という色彩が濃厚だったことを裏付けていると見れます。

さて、平成バブルが崩壊した平成4年(1992年)頃に底を打って以降の動きは今後どうなるのでしょう。
子どもの数自体が減っているから実件数は減っていますが、人口比の件数は明らかに増加してきています。

「横領」が特に大きく増えてきているといったことから、あまりエネルギーを要しない、安易な犯罪に向かっている様子が見えます。(ただし、殺人の件数は昭和58年よりも増えており要注意)

青少年だけでなく大人も含めた社会全体の活力が低迷したまま、規範意識が希薄になり自己中だらけになっていく状況を反映しているように見えます。

大人たちが旧い規範で押さえつけようとしても効果がないのは明らかでしょう。
閉塞した社会状況を打開する可能性を探索するというような、みんなが収束できる活力源になるような課題を示していくことでしか突破できないのではないでしょうか。

by わっと

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