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自殺率は社会状況によって大きく変化してきた

最近のマスコミで、若者の自殺が増えているといった報道がされているようですが、データを仔細に見ると全く違う状況であることが明らかです。

図 各国自殺率の長期推移グラフ [1]

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日本の自殺率の長期推移を見ると以下のような特徴があります。

 続き、を見る前にこちらを一押し、お願いします。

・1936年に日中戦争がはじまるまで自殺率は穏やかに上昇していたが、戦争がはじまると国家総動員体制のもとで一気に減少した。
・敗戦直後から高度成長が始まる1955年頃までの期間は急増し、当時の主要国の中で一番高くなった。
・高度成長が始まると、低下しはじめ1970年頃まで継続して低下。
・その後、1974年のオイルショック以降増加に転じ、83年頃の景気悪化でさらに上昇したが、バブル景気の時期は低下。その後、98年の金融危機以降急増し、以降先進国の中で最も高い自殺率になっている。
確かに、最近の自殺率の高さは特徴的と言えるようです。

次に、自殺率を年齢別に見ると以下のようになっています。

図 年齢別自殺率(男子のみ)の長期推移グラフ

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・日中戦争までの時期は年齢の高い世代ほど自殺率が高く、戦時中も全ての年代で自殺率が低下。
・戦後の時期は20代の若者の自殺率が急増。当時、主要国の中で最も高い自殺率となった原因は若者たちの自殺であったことが明らか。
・高度成長が始まると、若者の自殺率は一気に下がり、70年以降は年代別に見て最も少ない。
・70年以降、経済情勢の悪化の度に自殺率が増えたが、その中心は50代、40代、60代といった中高年だった。特に、98年の金融危機には50代の自殺率が急増し、以降年代別の中で最も高いレベルになっている。

データを見ると、若者の自殺率がとりたてて高くなっているわけではなく、むしろ、50代を中心とした中高年の自殺率が高いことが分かります。

かつて、第二次大戦の敗戦後の時期は、将来の展望が見えない中で若者の自殺率が急増したが、現在のパラダイム転換の下では中高年の自殺率が高くなっているのが特徴的です。
もう一つ言えることは、戦時中、国全体の目標が明確になった時期や高度成長が始まり社会全体が豊かさを求めて一丸となった時期は自殺率が低下していることです。

これらのことは、人間にとって共認が必要なことを示唆しているように思われます。現代の密室家庭では、生きる目的すら見つけられない、という事を中高年世代の自殺数が物語っているのではないでしょうか。

by わっと

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